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投資先UsideUのコラボロイドを体験してきた

DNX Venturesの上野です。
昨年秋にDNXに仲間入りし、DNXの投資先70社以上の先進的な技術やソリューションを、すこしずつ勉強&体験させてもらっています。そのどれもが、世の中に新しい価値を提供するものばかりで魅力的。今回体験させてもらったUsideUの提供する「コラボロイド」の体験は、そのなかでもさらにユニークで、かつ、サービスの説明を受けた時と体験したのとで大きく印象が違っていました。体験しないと伝わらないかも、と感じた彼らのサービスを、今回は私の体験レポートでご紹介いたします。

コラボロイドとは?

「コラボロイド」とは、弊社の投資先UsideUが開発してきたアバター接客販売システムのこと。ディスプレイに映し出されたアバター店員が、お客さんに合わせて身振り手振りで話しかけ、相談にインタラクティブに応えてくれます。
仕組みは、ディスプレイに設置されたカメラとマイクを通じて、画面の向こうのオペレーターを繋ぎ、オペレーターの動きや表情、声を読み取り、アバターに変換して届けてくれるというもの。社会的な労働力不足によって、顧客ひとりひとりのニーズに応えられる商品知識を持った販売員が不足しているなか、デジタルの力を用いてこれを補うべく提案しています。

こちらがUsideUが開発・提供するコラボロイド。
オペレーターの表情を読み取り、アバターがさまざまな表情を見せる。
手を振るなど、オペレーターの身振りの再現度も高い。

海老名ららぽーとで実証実験?

そして今週、海老名ららぽーとでは、このコラボロイドをつかった実証実験が行われています。
この実験は、ららぽーと公式通販サイト “&mall” 特別企画として、ECサイトと連携したインタラクティブサイネージを提供。サイネージに取り付けたカメラから、AIがお客さんの性別および年齢層を推定し、その相手に応じた商品提案を行います。そのうえで、その提案によってお客さんの購買行動に変化があるかどうかを検証しています。

また、追加実験として先日20日からスタートしたのは、さらにAIアバター店員が店舗への呼び込みを行うとともに、店舗内のお客さんに対して対話を通して商品説明を行い、アバターを通じた接客でも購入の後押しとなるのかを検証するとともに、お客さんのニーズを満たすデジタルストアの運用課題を確認する検証です。

さっそく現場に訪れてみると、ららぽーと4階にある今回の実験スペースには、他のショップと異なり無人のスペースにデジタルサイネージとマネキンが並んでいました。このスペースは1日1万人を超える通行量があり、年齢や性別さまざまなお客さんが行き交っていました。

会場で行われていた星座毎にラッキーコーディネイトを提案してくれる企画。
デジタルサイネージ上に、カメラが認識した年齢や性別に応じて商品が紹介される。


今回の検証では、実現したいゴール、つまりECサイトへの新規会員登録やその先にあるECサイトでの購入促進まで、3つのステップがあります。

①無人の店内にお客さんを招き入れることができるか
②コンテンツをゲーム感覚で楽しんでもらいつつ、QRコードを通じてECサイドへのアクセスを誘導できるか
③ECサイトへの新規会員登録や購入を促せるか

そこで、新規会員登録者のうち半数以上が半年以内に何かしらの購入を行なっているとのデータに基づき、コラボロイド導入後の数値目標は、「新規会員登録を増やすこと」に設定しました。

意外と心地よいアバター接客

さて、オープンするとさっそく店頭のアバター店員が呼び込みを始めました。優しい女性の声で「いらっしゃいませ」「おはようございます」「今日は一気にあたたかくなり、すっかり春の気候ですね。花粉もたくさん飛んでいるようです。みなさんマスクで予防してくださいね」と、周囲に呼びかけ始めます。さらにお客さんが前を通りかかると、お客さんに向けて話しかけます。「赤ちゃん連れの赤い服のお母さん、本日はお買い物ですか?」「白いスカートの女性の方、スカートとてもお似合いですね」。

私も続いて前を通りかかってみました。すると、「髪の長いお姉さん、こんにちは!」と明るく声をかけてくれました。アバターは視覚的な情報だけだとどうも機会的で冷たい印象を感じてしまいましたが、不思議と私に向けて届けられた声は心地よく、彼女に一気に親近感がわきました。
UsideU CEOの高岡淳二氏は「声の力ってすごいんですよ」と話してくださいましたが、まさしく、「自分に声をかけてくれている」という体験は、これまでのデジタルへの認識を大きく転換するものでした。ティッシュ配りのお兄さんをスルーしたときと同じように、素通りするのが申し訳なく感じるほどでした。

まずいいリアクションを見せてくれたのは子どもたち。
アバター店員は「今日はお友達と2人で来たの?」と話しかける。
子どもたちも「え、僕らのこと見えているんだ!」と楽しそうに会話を続けていた。

はじめは遠くで見ていた女の子たち、気になって近づいてきてくれた。
「今日はなんのお買い物に来たのかな?」
「リュックを探しにきました!」とさっそくお買い物トークがスタート。

話しかけられたお客さんは皆一様にドキッと振り返り、「この画面が喋ってるの?」と驚きを見せる方も。驚いて足早に立ち去っていく人も、興味深く会話を始める人もいらっしゃいました。体験したことのないディスプレイからの声かけに、比較的素通りする人も多かった初日でしたが、皆気になって振り返り続けているのは非常に印象的でした。また、固定観念や隔たりなく子どもたちが会話を始めるのはもまた、興味深い傾向でした。

目指すはきちんとしたコンバージョンレート向上

しかし、UsideUが目指すのはエンターテイメントではありません。子どもたちを楽しませ、ショッピング体験をワクワクするものにするだけでは意味がないというわけです。彼らがこだわるのは、「コンバージョン」。課題解決ができて初めて成功。そのため、AIアバターを介して新規会員登録を増やすため、工夫を凝らしていました。

アバター店員に慣れてきたお客さんに、「店内では春のラッキーコーディネイトをご紹介しています。もしよかったら覗いていきませんか?奥にもうひとりお姉さんがいるので、ぜひ彼女ともお話ししてみてくださいね」と提案。店内のもうひとりのアバター店員へとバトンをつなぎます。
店内で接客を行うアバター店員は、デジタルサイネージ上で提供されるコンテンツの楽しみ方やQRコードの読み取り方、新規登録をするとどんなベネフィットがあるかまで丁寧に教えてくれます。

店内では異なる容姿・声のアバター店員が出迎える。
「ちょうど桜が咲き始めるこの季節、ピンクがおすすめですよ」と提案。
「後ろに実物も展示していますのでご覧になっていってくださいね」とつづく。

コラボロイドという非常にユニークなサービスも、実は「ツール」にすぎません。高岡氏は、「コラボロイドの最大の強みは、デジタルでありながら、きちんと『人』が接客をしていることにあります。だから、お客さんと接客する際のスクリプトや話の方向性も自在に変えることができるんです」と説明。ここが、UsideUの提供価値の大きなポイントであり、コミュニケーションコストに関わる課題解決のソリューションというわけです。さっそく、実際にお客さんの反応をみながら、「商品のリコメンドではなく、使い方の説明を重視した接客にしよう」とコミュニケーションの良化を進めていました。

AIが日常のタッチポイントに浸透し、インタラクティブにコミュニケーションをとる体験は、非常に未来的でした。私がそうであったように、アバターとのコミュニケーションを体験するときっと、意外と心地よいということをわかっていただけるのではないかと思います。そうした体験が増えればきっと、未来はずっと進んでいく。みなさんにも、ぜひこの機会に体験していただけたら嬉しいです。


[開催概要]
実施期間:2019年3月20日(水)〜31日(日)
実施場所:三井ショッピングパークららぽーと海老名 4F EBICEN flatto

UsideU

株式会社UsideUは、デジタルサイネージを用いて狭小空間で接客案内を行うデジタルストアを実現するサービスを提供しています。
>> UsideUウェブサイト
>> プレスリリースページ(PR Times内)


文・上野なつみ

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