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『英語教育』執筆記事公開(2021~2022年)

これまで大修館書店の月刊誌『英語教育』に何度か記事を書かせていただきましたが、このたび執筆記事をウェブ公開する許可をいただきました。本ページに、2021年度に1年間担当した連載記事と2022年に書いた2つの記事へのリンク (1)~(3) を掲載しましたので、アクセスしていただけたら幸いです。今回は、それらの記事を、関連する書籍や論文などにも触れながら紹介します。また、2024年の新作記事についての告知もしたいと思います。
3月6日追記:新作記事についても公開の許可をいただいたので、こちらからまとめてアクセスできるようにしました。


1. 実例から眺める「豊かな文法」の世界

2021年4月号から2022年3月号まで、「実例から眺める『豊かな文法』の世界」という連載を担当しました。平沢慎也さんとの共同連載で、我々2人が共有している文法観を「豊かな文法」と名づけ、それを12回の記事で提示しました。2人が見つけた英語の実例を紹介しながら文法を語るというのがこだわりポイントです。以下のリンク (1) から1年分の記事がダウンロード可能です。

(1) 実例から眺める『豊かな文法』の世界」(連載統合版)

なお、この連載に関連した「『豊かな文法』のための言語学入門」という講演も行いました。この講演では、「豊かな文法」の言語学的背景や「豊かな文法」に基づく授業例の紹介、平沢慎也さんとの対談などを行いました。アーカイブ映像(有料)もありますので、もしご興味を持っていただけましたら以下の記事をご覧ください。

この講演会で平沢さんと対談した際に翻訳の話題が出たのですが、それがきっかけで翻訳に関する論文「認知文法から考える「意訳/直訳」問題:「直訳」は本当に「直」なのか?」を共同で執筆することになりました。こちらの論文もウェブ公開中ですので、よろしければ連載記事とあわせて見ていただければと思います。

2. 書評『謎解きの英文法 助動詞』

2022年1月に久野暲・高見健一著『謎解きの英文法 助動詞』(くろしお出版)が刊行されました。「謎解きの英文法」は英文法の謎に迫る本として英語学習者、英語教師、言語学者から好評を得てきたシリーズで、今回の助動詞を扱ったものがその最終巻(11巻目)です。『英語教育』2022年6月号では、こちらの書評を担当させていただきました。

(2) 書評『謎解きの英文法 助動詞』

大変悲しいことに、この本は高見健一先生の最後の著作となってしまいました。私は大学院生のときに高見先生の授業を4年間受講しており、授業外でも大変お世話になっていました。高見先生に何か恩返しをすることができればと思っていたのですが、それはもう叶わないというのが残念でなりません。

2023年7月には、高見先生に縁のある方々が寄稿した論文集『ことばの謎に挑む:高見健一教授に捧げる論文集』(開拓社)が編まれました。私も執筆者の一人として参加させていただき、「explainは交替するのか、しないのか:与格交替への使用基盤的アプローチ」という論文を書きました。動詞explainが二重目的語構文(いわゆる第四文型の構文)に現れるのかどうかを扱ったもので、高見先生が以前『英語青年』にお書きになった記事「Donate, purchase等は本当に二重目的語を取らないか?」が執筆のきっかけとなっています。

高見先生から受け取ったバトンを引き継ぎ、今後も自分にできることを少しずつ積み重ねていきたいと思います。

3. 複数の辞書を見る愉しみ

2022年9月号では「あらためて生徒に伝えたい 辞書の引き方A to Z」という特集が組まれました。私は以下の記事を寄稿しました。

(3) 複数の辞書を見る愉しみ:「知らない単語を調べるための道具」から「よくある言い回しを調べるための道具」へ

「生徒に伝えたい」という特集ですが、私に関しては「生徒に辞書を勧めるというより、先生方向けにあらためて辞書の魅力を伝える感じで」というお話を編集部からいただいたので、授業での辞書活用法などのお話は他の方にお任せして、「豊かな文法」の連載に近い感覚で執筆しました。

連載では、よくある言い回しに注目することの重要性を述べましたが、どうすればよくある言い回しに気づけるようになるのかについては、あまり語ることができませんでした。今回の記事では、辞書を使って言い回しを学ぶ方法を紹介していますので、連載を補足することができたように思います。

記事のタイトルに「愉しみ」という表現を使ったのは、『英語教育』2016年11月号で組まれた特集「語法文法研究の愉しみ」を意識してのことでした。この特集には、高見健一先生と真野泰先生の対談「謎めきの英文法:動能構文、不定詞と動名詞、冠詞をめぐって」や西村義樹先生の記事「語法文法とは何か:認知言語学の視点」などが掲載されており、とても勉強になりました。図書館などで『英語教育』のバックナンバーを見ることができる方には、おすすめしたいと思います。

4. 新作記事

もうすぐ発売される『英語教育』2024年2月号には、野中・平沢の新しい記事「英文和訳の出題と評価:〈意味〉の多面性に向き合う」が掲載される予定です。「豊かな文法」の連載では、英文を日本語に訳すことの意義について触れ、英語の実例にはすべて日本語訳を付けていましたが、この記では英文和訳問題の出題とその評価に焦点を当てています。
3月6日追記:2月号はこちらからダウンロードできます。]

今回は、野中が実際に授業で取り上げた英文を示し、その訳について二人で検討するという会話形式の記事です。連載にも対談形式の記事が含まれていましたが、今回は対談のようなフォーマルな形ではなく、二人が普段話すような口調になっているので、また新鮮な気持ちで読んでいただけるのではないかと思います。

現在『英語教育』では「教師のための辞書活用法」という連載が行われており、2月号は萩澤大輝さんの担当回が掲載されます。萩澤さんの記事で、野中・平沢の記事についての補足コメントを書いてもらっているので(ページ下部の欄外コメント)、どちらも読んでいただけたらと思っています。

なお、萩澤大輝さんもこれまでの担当記事をウェブ公開しています。英語教師の方だけでなく、幅広く英語を勉強する方にとって有益な情報が書かれていますので、こちらもおすすめです。

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