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講演会「『豊かな文法』のための言語学入門」のお知らせ

2022年3月20日(日)に、教育研究会Festina Lente主催の講演会でお話する機会をいただきました。講演タイトルは「『豊かな文法』のための言語学入門:日本語を見つめて英語に生かす」です。日本語・英語の文法に興味がある方であれば、学生の方でも日本語や英語を教えている方でも、言語学の勉強をしたことがある方でもそうでない方でも、どなたでも楽しめるお話ができればと思っています。以下からお申込みできます。
3月18日追記:会場開催(渋谷)+オンライン配信という開催形式で確定しましたアーカイブで一定期間視聴できます。3月20日追記:お申し込み受け付けは終了しました。

10月31日追記:こちらの講演のアーカイブ動画が発売中です。以下のツイートにあるウェブフォームからお申し込みできます。

Festina Lenteでは2019年11月にも講演させていただいたので、これで2回目の講演となります。この記事では、2019年の講演にも触れつつ、今回お話しようと思っていることをご案内します。2019年の講演はYouTubeで一部公開していますので、講演の雰囲気が気になるという方は、そちらを見てみていただけたら幸いです。

「豊かな文法」のための言語学入門(2022)

大修館書店の月刊誌『英語教育』「実例から眺める『豊かな文法』の世界」という連載を担当していましたが、このたび無事に1年間の連載を終え、2022年3月号で完結しました。連載は、平沢慎也さんといっしょに担当しました。我々2人が共有している文法観を「豊かな文法」と名づけ、それを12回の記事で紹介してきました(なお、平沢慎也さんが最近出版した『実例が語る前置詞』(くろしお出版)の紹介文を書いているので、よかったらそちらもご覧ください)。

ちょうど連載が終わったところで今回の講演の機会をいただいたので、せっかくならここでも「豊かな文法」の紹介ができればと思いました。今回の講演では、「豊かな文法」について紹介するとともに、「豊かな文法」という文法観を提案するきっかけについてもお話したいと思います。「豊かな文法」という発想は、平沢さんと2人で考えたものですが、私に関して言うと、大学で英語の授業をやった経験が「豊かな文法」について発信したいと思った原点なので、そのあたりのエピソードに触れてみたいです。

そのうえで、「豊かな文法」の背後にある言語学の考え方などをお話しします。英語はもちろんですが、日本語の文法について考える時間も設けますので、日本語・英語どちらの観察も楽しんでいただけたら幸いです。特に、日本語について意識的に考えることが、英語といった外国語の学習にも生かせるということがお伝えできればと思います。

今回の講演では、コメンテーターとして連載の相方である平沢慎也さんに参加していただけることになっています。こういった場で平沢さんとお話できるのは、私自身も楽しみです。

なお、連載を事前に読んでいなくてもわかるように話をしますので、未読の方もお気軽にご参加ください。もしこれをきっかけに連載に興味を持っていたという方がいらっしゃったら、Twitterで連載内容をまとめていますので、こちらを見ていただければ幸いです。連載を読んでくださった方には、復習用としてもどうぞ。

言語学という選択肢(2019)

2019年には「言語学という選択肢」という講演を行いました。こちらの講演はYouTubeで一部公開しています。講演の雰囲気を知るのに参考にしていただけるかもしれません。

2019年の講演では、「文法ってそもそも何だろう、言語学を知って文法について考える時間を持ってみませんか」という話をしました。講演全編はFestina Lenteで販売もされていますので、もし全部見てみたいという方がいらっしゃればFestina Lenteのウェブサイトをご覧ください(お申込み連絡先の案内があります)。

Festina Lenteウェブサイトには、平沢慎也さんによる紹介文も掲載されているので、以下に再掲します。

野中大輔(2019)『言語学という選択肢』紹介文
 この講演は,英語を学んでいる僕たちに選択肢を与えてくれる。言葉との戯れを楽しんでみるという選択肢だ。テストで良い点を取るためでもなく,「ラクして1週間で英語ネイティブ☆」になるためでもなく,ふと立ち止まって,ゆっくり考えて,疑問を頭のなかでコロコロと転がしてみる。その手本を示してくれる。
 たとえば文法のこと。人は文法を必要・不要と言うけれど,そもそも文法って何だろう? ちゃんと英語を使いこなせるようになるための文法ってどんなものだろう? そして単語のこと。「旗を振る」「さいころを振る」「塩を振る」… 同じ「振る」でも結構違う。どうして日本語母語話者は日本語の多義語に悩まされないのだろう? 英語の辞書の多義語ページはあんなにもおぞましく立ちはだかっているというのに。そもそも母語話者は単語を文法に当てはめて喋っているのだろうか?
 言葉の裏方に潜むシステムについてのこうした疑問に答えを出すためには,ある種の特別な勉強が——つまり言語学という分野の勉強が——必要になる。母語を使いこなせているからといって,言葉のシステムをちゃんと分かっているわけではないのだ。勉強というと大変そうだが,そんなことはない。この動画に収録されている会場の笑い声と,頻繁に紹介・引用される言語研究者同士のノリ良く弾む日常会話が示しているように,その勉強はただただ楽しいのである。とはいえ,言語学の第一歩を踏み出すかどうかは皆さん次第である。なにせこの講演は言語学をあくまでも選択肢として提示しているのだから。
(慶應義塾大学 平沢慎也)

Festina Lenteウェブサイト

今回の講演は、2019年の講演とは取り上げる文法項目などは重ならない予定なので、前に講演に参加していただいた方もまた新鮮な気持ちで聞いていただけるかと思います。

楽しい週末だったと思っていただけるように

今回は2022年3月20日(日)の講演についてのご案内でした。週末のお休みにわざわざ話を聞いていただく以上、楽しい週末だったと思っていただけるような話ができればいいなと思っています。ウェブ上で見かけるような、身近な日本語の表現も取り上げますので、肩ひじ張らずに参加していただけたらうれしいです。

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