論文|日本語版Utrecht Proactive Coping Competence Scaleの作成および因子構造の検討
論文が公開されました。ポジティブ心理学におけるコーピングであるProactive copingの行動を測定する尺度である Utrecht Proactive Coping Competence Scale(UPCC)の日本語版項目(UPCC-J)を作成したという論文です。
従来のストレス研究では,何かあった後に対処をするといったコーピングに注目されていましたが,何か起こる前にポジティブな認識で対処することもある!ということで提唱された Proactive coping に関する研究です。Proactive coping の詳細については以下のレビューでまとめております。
Proactive coping にはプロセスを示したステージモデルがあり(Aspinwall & Taylor, 1997),介入に使われたりするのですが,UPCC はこのモデルをもとに作成されていて,因子がステージに対応している構造になっています。モデルに含まれるステージは①「資源の蓄積」,②「注意の認識」,③「予備的評価」,④「予備的コーピング」,⑤「フィードバックの活用」があり,本尺度のリソースの活用因子が①,将来の評価因子が②,③,現実的な目標設定因子が④,フィードバックの活用因子が⑤となっています。
Proactive coping の測定では,Proactive Coping Inventory(Greenglass et al., 1998)が主に使われており,「信念」を測定する尺度と言われています。一方,本研究で日本語版を作成した UPCC は「行動」や「スキル」を測定する尺度とされています。
ただ「信念」と「行動」の違いや UPCC の開発経緯,使われ方の現状がけっこうややこしく(レビューの時点でもそうでしたが),そのあたりを本文内で説明しております。
これから日本で Proactive coping を研究したいという方は是非読んでいただけるとありがたいです。(あまり言うべきではないのかもしれませんが,正直 Proactive coping はいろいろ問題がありすぎて研究をおすすめできないです…。)
介入など以下早期公開のURL(学会HP)を貼ります。例年の発行・公開の日付を見るかんじ,たぶん2月末には J-stage で公開されそうですので,公開されたら変更します。
尺度の利用について
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