反省備忘録:地方での宿泊施設経営・運営コンサルの仕事。

こんにちは!株式会社Hospitality Bridgeの常井大輝(トコイヒロキ)です。
2024年より、福岡県のうきは市の山の中で古民家を経営、運営している方々とご縁がありお仕事をいただいております。コンサルティングという名目でお仕事をしておりますが、偉そうに上からものを言うだけではなく実際に伴走作業までご一緒させていただいております。ですが、やはり色々と難しいこともありますので私の反省と今後のために記事に残しておきます。

今回のご依頼内容は”セールス、マーケティング業務代行”です。
内容はOTAでの販売体制を整える(契約〜販売開始まで)ことが第一です。
この点が現場のスタッフがゲスト対応や新規開業のための準備で多忙なため少し疎かになっておりました。つまり、今回の私は販路開拓をご依頼いただきました。

問題はいくつかございます。
・契約するにあたり企業情報、銀行情報などをこちらにいただく。
・代行は増えているが、販路側からの認証が厳しい。
・リモートで行なっているが、意思疎通が不十分。
・人手が足りないのだが、少し協力をしていただく必要があるため現場スタッフにとっては負担が増す。
・忙しいところに優先して現場スタッフの仕事が増えるためストレスが溜まる。
・マルチタスクが異常なほど積み重なっている現場スタッフだが、こちらへの依頼はシンプルであるため、ストレスが発生する。
・業務改善、効率化などの話をしてもそれを導入すると慣れるまで時間がかかり時間が圧迫される
・新たなマーケティング論を導入しようとするとどうしても新しく覚えることが増えるため実施できない。
・地方では人を雇用しようとしても、労働者の多くは50代以上が多く、若者の確保は困難である。
・経営知識を持ったスタッフが少ないため、コンサルティング知識の定着が難しい。
・今までと違うことを行うのに抵抗がある(大中小企業関係なく日本では問題)

などスタートして2ヶ月ですが、これでもかと思うくらい問題点、課題、反省も多くあります。

今回の気づきは、コンサルティングとはサービスの提供や知識の提供では決してうまくいかないと言うことです。地方における観光マネジメントコンサルティングとは”信頼と人格をクライアント様から獲得した上で、労働力の提供と知識と経験を伴った上で経営、運営の向上するために貢献するチーム”であると仮説しました。
これは地方に行けば行くほど顕著に現れることだと思います。なぜなら、その”知識”や”理論”がなくとも、今までなんとなく生活できていたし、問題なかったからです。

実際思い返してみると、高校生まで日本にいた私ですが、勉強したって大して人生の役に立たないだろうと思っておりました。私立中学、高校にいき、文武両道の学校で茨城県内でも上位クラスの学校で中の中くらいの成績はとりあえず部活動のキャプテンも高2まで勤めていたのでメンツとしてキープしていましたが、そう思っていました。

私の場合は、大学でアメリカに行きHospitality Managementと言う日本にはまだ少ない学問に触れることで、勉強の面白さや、人生に役にたつことを多く学びましたし、その大学で高校まである程度知識を蓄えていたことが、高度教育によりその活用が発生したり、日本で学んでいたことがアメリカでは高度教育に該当していたなど、”今までのことが役に立っている”と言う実感を大学生時代に体感することができたため違う方向を向けたと思っております。

しかしそうではない人、多くの方は大人になっても学校で学んだことは何にも役に立っていないと感じている人が多いです。それは日本の教育が少し違った方向になっている事実でもあります。
もちろん学んだこと全てが役にたつことはありませんが、選択して自ら進んだ道で学ぶことの多くは活かされる機会があります。

経営者の方であれば、それは感じていることが多いと思いますし、もしくは自ら学び直す人も多いです。ですが、従業員である人々は比較的安定した状況が続くため、”難なく”生きてこれてしまいます。これはとてもありがたいことで、日本だからこそこのような雇用形態が実装できていると感じております。”難なく”と言うのは、語弊を生んでしまうかもしれませんが、経営者の不安定さと比べた時との話です。人生では多くの人が困難に直面していることでしょう。”難”は誰にでもありますので、怒らないでください。。。

地方においてコンサルティングをすると言うことは、つまり全く教育背景や社会経験が違う人たちと仕事をするということです。
同じ狭き日本でも軋轢が生じます。
つまり、何が必要かというと、”まずは相手を理解することから始める”、”経営者と現場スタッフの乖離がないか把握する”ことが大切だと感じています。

私の失敗は、経営者の判断と指示を受けたことで、すぐに動いてしまったことです。現場の大変さを理解しているつもりでしたので、自己判断でこのくらいであれば現場も大丈夫だろうと言う自分の物差しで現場判断をしてしまったところ、現場での対応が難しいということでご迷惑をおかけしたところです。
クライアント様である経営者目線からすると、私は間違ったことはしておりません。むしろ提案と新たな知識、経験、理論の提案含め、伴走までしていることに大きな感謝を伝えてくれます。ただし、現場スタッフからはおそらく大ブーイングだと思います。自分の物差しと現場物差しは大きく違っていました。例えて言うなら、経営者がセンチで測るところを現場はインチで測っていたような間違いです。わかっていたつもりが本当の理解ではなかったのです。

そのため必要なことは、コンサルティングは経営者目線と運営目線の両方を持つ必要があり、いわゆるその事業の”社長代行”のような存在であると考えました。この観光業における重要ポイントは何度も記事に書いたかもしれませんが、”人”です。サービスは人が提供し、人の頑張りによってサービス価値の変動が発生します。人が提供するので、提供時のメンタルや幸福度で与える幸福度も変わってきます。
マーチャンダイスの事業とは違い、サービス品質の検品というものはできないので、インターナルマーケティングという内部向けのマーケティングも米国では重視されています。日本ではまだそういう風潮が少ないのですが、数年で顕著に現れるでしょう。オーバーツーリズムのようなトレンドワードにも上がるかと思います。

要は、現場スタッフの幸せを考えた経営が必須になってくるのが観光業の特徴になります。他の大きい産業では理解が進み、実践されています。オフィスの充実や、働き方改革など進んでいますが、一番必要な分野だと思うのですが、観光業では発展が遅れています。

地方でのマネジメントコンサルティングを行う上で反省点とともに今後の意識づけを含めてこの記事の残します。


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