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「やりたいことを仕事にしよう」という罠

高校・専門学校・大学などの学校を卒業して社会人として会社に就職する人のほとんどは、まず仕事を頑張ろうとすると思います。しかし、その「仕事の頑張り方」がズレている人が意外と多いです。

なぜなら、商売の本質は、(1)「お客様に価値を提供する(仕事をする)」ということと(2)「代価として、報酬をいただく」ということだからです。(前回記載しました。)

▼ あるある1.「良いものを作ろう」

エンジニアなど、モノづくりをする人にあるあるですが、「良いものを作れば売れる」という発想に陥りがちです。「スペックをさらに上げよう」とか「さらに小型化しよう」とか「多くの機能を搭載しよう」とかです。

「お客様がお金を払ってでも買いたい」となる理由が、本当に今よりスペックが高かったり、今より小さかったり、今より多くの機能があることなんでしょうか?

逆に、営業が「もっとこの機能があれば売れるのに...」という発想になるのは、自分の営業力の無さを露呈しているに過ぎません。求めている人に、商品・サービスの価値を提供することが営業の仕事だと僕は認識しています。

そのお客様が、本当に求めていないのであれば、そのお客様にこだわるべきではなく、別のお客様にアプローチをした方が良いでしょう。そのお客様が実は求めているけど購入・契約に至らないのであれば、もしかしたらニーズの引き出しが足りないのかもしれません。

▼ あるある2.「できることを増やそう」

「良いものを作ろう」ということと近いですが、「自分自身が成長してできることを増やそう」という発想も、陥りがちな考え方です。

仮に英会話を学んで英語が話せるようになったとして、いま行っている仕事は英語が必要な仕事なんでしょうか。英語を話せることで、お客様はあなたの仕事に価値を感じて、今よりお金を払っていただけるんでしょうか?

英語に限らず、何らかの資格を得て、新たにできる仕事が増えたとしても、それだけではお客様はお金を払いません。

例えば、「ある人が調理師免許を取得して飲食店で働けるようになりました」という理由だけで、その人に仕事をまかせたいですか?その人の料理をお金を払って食べたいですか?

お金を払うとしたら、料理が美味しい〜とか、その人を信頼している〜とか、その人が資格を持っているからということとは別の理由になるはずです。

▼ あるある3.「やりたいことを仕事にしよう」

「やりたいことが見つからない」と言う人もいますし、逆に「好きなことを仕事にしよう」と言う人もいます。

しかし、あなたがやりたいことや好きなことというのは、他の誰かがお客様としてお金を払ってまでしてほしい価値のあることなんでしょうか?

就職活動をする学生に人気の「企画職」や「マーケティング職」であったり「コンサルティング業」。もしくは子供〜大人に人気の「Youtuberになりたい」というものや、好きなことを仕事にしているように見える「スポーツ選手」や「ミュージシャン」など。

学生や未経験者が考える企画やマーケティング、実際に経験したこともない人のコンサルティングに多額のお金を払ってまでやろうとなるのでしょうか?Youtuberになったとして、他の人があなたのチャンネルを見る理由はなんでしょうか?

僕自身が好きな、Youtuber やスポーツ選手やミュージシャンは「憧れるプレイ」や「魅せプレイ」をするエンターテイナーです。稀に、ほとんど一般的に知られていない Youtuber やスポーツ選手を僕やごく少数の人だけが知っている(認知している)こともありますが、そういう人は稼がれてはいないことが多いです。

ほとんどの人が言う「好きなこと」や「やりたいこと」は、むしろ自分自身がお金を払ってやる趣味レベルのことが多いです。実際に稼がれている人は、趣味レベルのことを何十年と続けて、「世の中の人に求められるにはどうなればよいか」と考え続けて、徐々に認知されつつ、世の中の人がお金を払いたくなるレベルにまで昇華したものです。

楽に稼げるなんて甘い道はありません。
※ だいたいそういう甘いことを言う人は詐欺師です。

いつどこで誰が何のお客様になるかわかりません。大事なことは、「どうすればお客様、ひいては目の前の人に喜んでいただけるか」と考えて行動し続けることだと、僕は思っています。

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