たった一文を意識するだけで、あなたの文章は劇的に変わります。
昔、僕の原稿はちょいちょいこんな指摘を受けていました。
「なんだか、構成がつるつるしている」
変わった言い回しですよねー。意味はというと……、
つるつる=凸凹がない
凸凹がない=尖っていない
尖っていない=印象に残らない
ってことみたいです。
この〝つるつる病〟が発症すると、取材はおもしろかったのに、原稿はつまらないという現象が起きます。現場でおもしろく感じた部分は入れているのに、なぜかつまらない。
不思議でしょう?
実はこの病にかかる方、僕を含め業界にはたくさんいるんです。
治療法は、あります。「おもしろがる」意識を持つことです。
ちょっと練習してみましょう。
『桃太郎』の冒頭部分をイメージしてみてください。一般的には、このように伝えようとするのではないでしょうか。
ハイ、ストップ。まだ桃太郎が生まれていないけど、ストップ。
この時点でもう〝おもしろがれる〟部分があるでしょう?
そう、川上から大きな桃が流れてくるという異常事態!
つるっとスルーしてしまってはもったいない。普通ではありえないことなので、ここは際立たせましょう。では、どうしたらいいか。
最もシンプルな手段は「振り」を入れることです。
例えば、②と③の間にこう足してみる。
たった一文、振ってあげるだけでも印象的になったと思いませんか。③の文頭に「あろうことか」とか「なんと」を入れたら、さらに強調されます。
もうひとつ〝おもしろがり方〟を紹介しましょう。『桃太郎』のつづきです。
ハイ、ストップ。桃太郎が生まれたばかりだけど、ストップ。
ちょっと疑問が浮かびませんか?
おばあさんは、どのようにして川から桃を取り上げたのか?
「どんぶらこ、どんぶらこ」という表現から、桃はなかなかの大きさで、川はそこそこ流れが激しいことが想像されます。
おばあさんが「ざぶん」と飛び込んだとは考えにくい。
そこで大事になってくるのが「ディティール」です。
調べてみると、実はこんな描写があるんですね。
おばあさんは「あっちの水は辛いよ、こっちの水は甘いよ」と声をかけて、桃を川岸まで呼び寄せたのだそうです。
またしても、たった一文で印象的になったでしょう?
〝つるつる病〟の治し方ってこういうことなんです。
まずは、おもしろがれそうな箇所を見つける。そして、それを引き立たせる一文を足す。
その一文一文の積み重ねが、文章全体の〝個性〟にもつながっていく。
ぜひ意識してみてください。書くときも、話すときも、かなり印象が変わってきますよ。
ということで、今回はここまで。桃太郎、鬼退治に行っていないけど笑
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