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企画は「つかみ」が9割~ストーリーをどう始めるか~

VTRの構成を考える際、最も悩ましいのは「冒頭」です。

あなたも経験ありませんか? noteや企画書に文章を書くとき、あるいは面白い出来事を誰かに伝えたいとき、話をどう始めたらいいか迷っちゃうようなこと。

毎週、僕のもとには何人ものディレクターさんたちが構成の相談にやって来ます。彼らが最初に持ってきたもののうち、実に9割は冒頭を作り替えることになるんです。

それくらい「つかみ」は難しいですし、だからこそ重要といえます。

カラオケののど自慢大会でもそうじゃないですか。いくらサビを上手に歌えても、冒頭をトチると「……カーン」で終了。VTRの構成も同じです。後半にどんなに面白いシーンがあっても、つかみが弱かったら、チャンネルを変えられてしまいます。

では、一体どうしたらいいのか。僕が過去にお手伝いした企画で、印象的だった例をいくつか挙げたいと思います。

*2015年『報道ステーション』放送/オートレーサー・谷口武彦さん企画

73歳(当時)にして現役バリバリのおじいちゃんレーサーを、松岡修造さんが取材しました。コーナーで転倒し、後続に轢かれるというとんでもないアクシデントでも、骨折一つしなかったという伝説を持っています。経歴は決して華々しいものではありませんが、無事是名馬の精神で走り続けてきた、という内容。

その冒頭は、地元・静岡のスナックで谷口さんが歌っているところから始めました笑 そして、次のカット。このおじいちゃんがなんと、爆音を鳴らしながらマシンを駆る! いわゆる「ギャップ萌え」を狙ったつかみでした。

*2014年『報道ステーション』放送/スキーモーグル・上村愛子さん企画

ソチ五輪直前、5度目の五輪出場に挑む上村さんに、修造さんがロングインタビュー。バンクーバー五輪を期に一旦は休養を宣言し、夫・皆川賢太郎さんとの結婚生活を送っていた上村さん。再び競技に戻ってくるまでの心境を語ってくれました。

冒頭は、上村さんをスタジオに招き入れるシーンを使いました。実はモーグルの凸凹した斜面を美術さんが巨大セットで再現してくれたんです。入ってくるなり上村さんも「あっすごい!」とリアクション。このとき出来上がった空気感がつかみとなりました。

*2012年『報道ステーション』放送/プロ野球・原辰徳監督企画

原監督の原点ともいえる1プレーについて、長嶋一茂さんが取材しました。1981年、中畑清さんとのポジション争いを制する決め手となったダイビングキャッチ。その瞬間を唯一人のカメラマンが捉えていた、という内容です。

冒頭は、プロ野球開幕前という時期だったため、巨人のキャンプから。熾烈なポジション争いは、原監督自身も経験してきたことだということで、ダイビングキャッチの写真を提示しました。どんな物語が始まるのだろう?という期待を抱かせるつかみでした。

☆☆☆

ストーリーをどう始めるか、投稿3回目にして深すぎるテーマに手を出してしまいました……笑

僕は「画の強さ」、次に「タイムリーさ」、ついでに「違和感」を意識するようにしています。それらを最大限引き出すためには、どんな収録、どんな編集、どんな言い回しをするか。そこもまた深~いテーマなので、またの機会にということで。

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