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障害のある方とのコミュニケーション

12月3日から12月9日までの1週間は、障害者週間です。
障害者の福祉についての関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化、その他あらゆる分野の活動に積極的に参加する意欲を高めることを目的とした週間です。

障害のある方とのコミュニケーションでは、その障害特性に合わせて工夫が必要になってきます。今日はいくつかの障害に絞って、障害特性に合わせたコミュニケーションについてお話をしていきたいと思います。

1.聴覚障害のコミュニケーション

聴覚障害とは、聴覚に何らかの障害が生じている状態です。「聞こえにくい」や「全く聞こえない」といったように、聞こえ方は様々で補聴器や人工内耳等を使用して聞こえを補っている方もいます。

聴覚障害者のコミュニケーションにおける特徴としては、

・外見からは聞こえが悪いことが分かりにくいために、「声をかけたにもかかわらず返事をしてもらえなかった」と誤解を招くことがある
・補聴器や人工内耳を使用しているからとはいえ、健聴者と同様に聞こえているわけではない
・音声言語を獲得する前に聴覚障害となったか、獲得後に聴覚障害となったかによっても、コミュニケーションの方法が変わる
・聴覚障害者全員が手話を使えるわけではなく、音声言語・手話・筆談・読話など様々な方法を利用されている

などがあります。

コミュニケーションの手段としては、手話が有名ではありますが、その他にも筆談や読話、筆談、要約筆記などがあります。

コミュニケーションにおいては、下記のように工夫をされると良いでしょう。

・音声言語だけではなく、文字・絵・図・映像などの視覚的な情報も加えて伝える
・表情や口形が見えるように、マスクを外して、はっきりと口を動かして話す
・筆談の際には、見やすい文字で、分かりやすく端的に書くようにする

2.視覚障害のコミュニケーション

視覚障害とは、視覚に何らかの障害が生じている状態です。「見えにくい」や「全く見えない」だけでなく、「細かい部分が分からない」「色が分からない」「見える範囲が限られている」など、様々です。

聴覚障害者のコミュニケーションにおける特徴としては、

・全盲(全く見えない)の方は、視覚刺激ではなく、音声や点字などの聴覚や触覚からの刺激を利用して情報を得ている
・弱視の方は、音声や拡大文字などから情報を得ている
・視覚障害者全員が点字を活用できるわけではない
・障害の特性によっては、大きな文字ではなく、白黒を反転させた文字などを活用する人もいる

などがあります。

コミュニケーションの手段としては、点字が有名ではありますが、その他にも拡大鏡を使用して文字を読んだり、そもそも拡大文字(文字を拡大したもの)を使用したり、視覚情報を音声で録音した音訳などがあります。

コミュニケーションにおいては、下記のように工夫をされると良いでしょう。

・声をかける際には、正面から声をかける
・視覚情報を必要とする「これ」や「あっち」などの指示代名詞は使用せず、「前・後ろ・右・左」など具体的な位置を示す言葉を活用する
・物のやりとりにおいては、相手の手に触れて手渡しする

3.失語症のコミュニケーション

失語症とは、脳の言語中枢が損傷を受けることによって、聞く・読む・話す・書く・計算するといった言葉に関連する機能の全てに、程度の差はあるが障害をきたした状態を言います。

失語症者のコミュニケーションの特徴としては、

・長い文章や複雑な内容は理解しづらい
・言いたいことは頭の中にイメージできているが、言葉が出てこない
・文字を読むことが難しい(特に仮名文字が漢字より理解しづらい)
・言いたい言葉とは別の言葉が出てきてしまう
・黙っていれば、外見からは失語症であることがわからないために理解されづらい

などがあります。

コミュニケーションにおいては、下記のように工夫をされると良いでしょう。

・静かな環境でゆっくり短く話す
・相手の話をよく聞き、先回りせずに待つ
・言葉だけではなく、表情や身振り、文字などを活用する
・カレンダーや地図、写真なども活用する

4.コミュニケーションにおいて大切なこと

いくつかの障害に合わせたコミュニケーションの方法を書いてきましたが、コミュニケーションにおいて大切なことは、工夫をすることよりも、まず、相手をしっかりと尊重する事ではないでしょうか?
障害の有無にかかわらず、コミュニケーション相手と直接やりとりすることを大切にしたいと思います。どのようにコミュニケーションをとったら、やりとりが円滑に行えるかを、直接本人に尋ねながら、個々に合わせた方法でやりとりができると良いと思います。

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