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ランチのアッコちゃん:柚木麻子:「BUTTER」の人、なんですよね…

「ランチのアッコちゃん」(120/2021年)

BUTTER」、超好きなんです。で、同じ作家さんですよね、凄いですよね、柚木さん。読書履歴を見返したら「本屋さんのダイアナ」「さらさら流る」も読んでました。他に比べると非常に軽快なのが本作品なのですがテーマは似ています。他人がどう思うかは気にせずに、とりあえず自分が元気になるように生きるのが大切、ってことだと理解してます。

本作品は短編4つ。「ランチのアッコちゃん」「夜食のアッコちゃん」はさえない世渡り下手の三智子がアッコちゃんによって覚醒していく物語。「夜の大捜査先生」と「ゆとりのビアガーデン」は前2編とは別の話。

結局は一所懸命にやれることを見つけたもの勝ちってこと。そのためにはあまり他人のことは気にしないのが一番。だいたい、他人は自分が思うより自分の事に興味がないから。自分にとっての自分は「1/1」だけど、他人にとっての自分は「1/たくさん」、このシンプルな決まりを分かった上で、アッコちゃんみたいに自ら周りを巻き込んでいくことが大事なんだけど、この物語の主人公に共通しているのは巻き込むことが目的じゃない。

多分、自分から「一緒にやろうよ」的なアプローチはしていない感じがします。勝手に周りが吸い込まれていく。でも、この場合、リアルな良くない奴らも引き付けちゃうこともある。ただ、本作ではそこは省かれています。だから元気が出るんです、安心して読めるから。

こういうタイプ、オトナのファンタジー小説ですよね。ファンタジーを「子供騙し」「現実じゃありえない」って否定するような弱い人間にはなりたくないものです。現実では起きないことを読んで、理解して思いを拡げる力を失ったら人は衰退していくのみです。元気に生きていきましょう!

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