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暑い夏に、肝が冷える登山映画はどうでしょう?MERU メルー/FREE SOLO

ドキュメンタリー映画って、副交感神経を刺激してくれる大好物な映画のジャンルなんですけど、たまにクライムサスペンスやノンフィクション歴史モノと並ぶかそれ以上の緊迫感をくれるドキュメンタリーがあるんです。今回ご紹介したいのはそんなドキュメンタリーの登山モノ。

さすがに映画として公開されてるくらいだし、死なないだろう…

と思いつつ鑑賞していても…複数回目の鑑賞でも…なかなか緊張感の拭えない、肝が冷える、まさにそんな映画。『MERU メルー』と『FREE SOLO』、ぜひご覧いただきたいです。

監督ジミー・チンについて

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※写真はJimmy Chin Official Webサイトより

『MERU メルー』と『FREE SOLO』の2本の映画は、同じ監督たちによって撮られています。それがフォトグラファー、映画監督であり、ザ・ノース・フェイスに所属している世界的なクライマーのJimmy Chin(ジミー・チン)と、彼の奥さんであるエリザベス・チャイ・バサルヘリィです。

ジミー・チンは活躍するそれぞれの分野で名前が知られているという事も驚きなのですが、まずは287万人のフォロワー(2021年7月現在)を抱える、彼のInstagramアカウントを見てみて下さい。

フォローしたくなりますよね…。(私はしてます。)

ジミー・チンは「ナショナル・ジオグラフィック」の山岳カメラマンであり、その世界でもトップのクライマーです。なので美しい自然や地球の風景が見られるのはもちろん、一部の登山家たちのみが目にすることのできる世界を、彼の作品からは体感することができるのです。

『MERU』

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(C)2015 Meru Films LLC All Rights Reserved.

【映画概要】
難攻不落の「世界一の壁」と呼ばれるヒマラヤ・メルー峰シャークスフィン登頂の模様を捉えたドキュメンタリー。北インド高度6,500メートルにそびえるヒマラヤ・メルー峰のシャークスフィンは、連続する障害壁などから多くのクライマーにとって悪夢の山とされ、だからこそ挑戦せずにはいられない難攻不落の壁として知られている。(中略)

本作の監督も務め、「ナショナル・ジオグラフィック」の山岳カメラマンでもあるジミー・チンは、2台の小型カメラでこのチャレンジの一部始終を記録。大自然の脅威に果敢に立ち向かう3人のクライマーたちの姿を圧倒的な映像で描き、2015年のサンダンス映画祭で観客賞を受賞した。

※概要文は映画.comより引用

挑戦する彼等を見てまず驚くのは、可能な限りリスクをコントロールしながら安全第一で冷静に登山に勤めているという点。端から見ると命知らずで無鉄砲な挑戦を、技術と度胸で乗り越えているのかと思っていましたが(そういう人もいるのでしょうが)愛する家族の元に帰るというのが大前提でのチャレンジです。そこが元々持っていたイメージとは全然違いました。

劇中では、監督自身の雪崩に巻き込まれた体験談を聞くこともできます。雪崩に巻き込まれるのが珍しければ、そこから生還する人はさらに珍しく、死がすぐ側にある事に、慣れているように見える彼等の姿勢は驚愕です。

雪崩生還直後の映像も劇中に収録されています。流石に手が震えているようでしたが、本当に死と隣り合わせなんだという事を、鑑賞側も実感します。

『FREE SOLO』

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(C)2018 National Geographic Partners, LLC. All rights reserved.

ロープや安全装置を一切使わずに山や絶壁を登る「フリーソロ」と呼ばれるクライミングスタイルで世界的に知られるクライマー、アレックス・オノルドの緊迫感あふれるクライミングに密着したドキュメンタリー。

ナショナル・ジオグラフィック誌の表紙を飾るなど、世界で著名なクライマーの1人として活躍するアレックス・オノルドには、1つの夢があった。それは、世界屈指の危険な断崖絶壁であり、これまで誰もフリーソロで登りきった者はいない、米カリフォルニア州ヨセミテ国立公園にそびえる巨岩エル・キャピタンに挑むこと。(中略)

オノルドが登攀する様子を臨場感あふれるカメラワークで収め、第91回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を受賞。監督は、山岳ドキュメンタリー「MERU メルー」も高い評価を得たエリザベス・チャイ・バサルヘリィ&ジミー・チン。

※解説文は映画.comより引用

長編ドキュメンタリー部門のオスカー受賞作品です。メルーは雪山の中、3人チームでの登頂にフォーカスした作品でしたが、こちらは1人、命綱もなしです。ホントに肝が冷えますよ。

ロープ無しで挑戦をする本番の前には、同じコースをロープありで何ヶ月も何回も練習します。で、普通に失敗するんですよ、同じ場所で何回も。その場所での「本番挑戦シーン」はめちゃくちゃ緊張します。

監督ジミー・チン率いる撮影部隊の葛藤も、この作品の魅力の1つです。

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※画像は/Filmより

撮影クルーも全員登山家で、フリーソロに挑戦するアレックスとは気心の知れた仲間です。なので全員「友達の死ぬ瞬間を撮ってしまうかもしれない、自分たちの撮影の存在が障害になり、友達を殺してしまうかもしれない」と思いながら撮影をしています。

もちろん挑戦する本人アレックスとも、どこから撮影すれば気に障らないか、そもそも撮影が入らない方が良いかなど入念な打ち合わせをして臨んでいますが、いつ死んでしまうかも分からないその状況に、カメラを見ていられなくなる撮影クルーも出てきます。

挑戦者のみならずそれを支えるクルーも本気なのだと実感するシーンです。

おわりに

ご紹介した2本は「雄大な自然の美しさによる安堵感」と「死と隣り合わせの緊迫感」が共存し、鑑賞後は緊迫感から解放された心地よい疲労感と余韻が残る何とも不思議な映画です。

自然が好きな方、ハラハラするのが好きな方にはぴったりな映画です。
梅雨も明けると夏本番。暑い夏のお供に、是非!


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