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死にたくなったらダンスホールへ disc 6

傾倒していた音楽や懐かしい景色にふれると、過去の記憶がふと蘇ることがある。自分にとってハードロックは記憶を想起させるスイッチになっており、GUNS N' ROSESを聴くと中学時代を思い出す。コンプレックスとリビドーがだだ漏れで、覇気のない印象しか残っていないが、ハードロックを爆音で聴いている時間だけは、学校のことを忘れて夢中になれた。
もともと苦手意識のあった勉強は中学に進学しても変わらず、むしろ悪化。特に試験期間中は苦痛でしかなかった。限られたごく僅かな人間としか交流せず、日陰で息を潜めて過ごすような3年間だった。そんな青春とは無縁の望みのない時代を救ってくれたのが、音楽と幼馴染の存在だ。夢中になれるものがあったからこそ、生きるエネルギーに繋げることができたし、同じ境遇の友人がいたからこそ、孤立せずにすんだ。
その友人とは長い付き合いになるが、それだけ一緒にいると、どうしても険悪な時期もある。最悪の時は友人の刈りたての後頭部や、微妙な長さの寸足らずなスラックスが視界に入るだけでむかついた。では逆に、友人は僕のどんなところにむかついていたのだろうか。
「まず時間にいい加減やったし、協調性がない。朝機嫌が悪いのもダメやな」
それ、マジのやつやんか。と思った。後頭部の刈り上げとか、スラックスの短さとか、そういうライトなのが欲しかったのよ。とりあえず、「すいまめん」とだけ言っておいた。
音楽に傾倒しはじめた中学時代と比べると、現在はかなり好みが変わったが、『Appetite For Destruction』は、いつまで経っても色褪せない。

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