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スポーツにおけるキャリアについて

■大人の学び
キャリアについて話す前に、大人の学びにはキーワードが3つあることを知る。(子供の学びとは違う)
外化(学んだことをアウトプットすること)
アンラーニング(過去の知識を捨て、新しく学び直すこと))
生活にビルドインする(時間の置き換えを行うこと)

学んだことは入れるだけでなく、書き出したり、人に話したりすることで、整理され、自分のものとなる。大人というのは、色々と知識があるので、新たに学ぶ時に、それが邪魔になることもある。まっさらな気持ちで学ぶ。そして、知識を入れ込んで、人に話しただけでは、意味がない。自分の生活に、学びをどのように入れ込むかというのが大事である。

■キャリアの定義
さて、キャリアの定義とは?キャリアという言葉が使われる場面は「セカンドキャリア」「キャリアアップ」「キャリア官僚」などあるが、色々と定義されている。

職業、進路など仕事に関わる人生のこと(産業カウンセリングのテキスト)
職業経歴であり、仕事に対する自己イメージやアイデンティティのこと
ある人の生涯にわたる期間における仕事関係の諸経験と結びついた態度や行動における個人的に知覚された連続(D.H.ホール)

もちろん、職業経歴や資格などが分かりやすいファクトだと思うが、仕事における哲学や思想なども含まれていそうだ。

■キャリア・アンカー
次にエドガーシャインの「キャリアアンカーを知るために必要な3つの問い」について紹介する。

・あなたが好きな仕事は何ですか?
・あなたが得意な仕事は何ですか?
・あなたが意味や意義を感じる仕事は何ですか?

キャリア・アンカーとは、「仕事において何を最も大切にするか」ということ。アンカーは錨のことである。この質問に回答すると、キャリア形成において、何を軸にしていくのかが測れる。「好き」と「得意」は違うものであり、「得意」というのは自己評価ではなく、他人による評価が分かりやすいだろう。

井上大輔「マーケターのように生きろ」では、マーケットに必要とされるキャリアを積んだり、持ち込んだりするのが得策だと説くものもいる。

■選手のセカンドキャリアとクラブの経営ビジョン
スポーツの現場では、昔と今と大きく違う点に、「全員野球」だとか「ベンチ入りメンバー全員で戦った」という言葉に表れているように思う。昔は、運動神経の良い順にスタメンになり、1試合出場し切って、後は補欠といった扱いだった。

スポーツのセカンドキャリアにはコーチやスタッフになる場合もあるが、どうしても「裏方」というイメージがある。補欠ではなく、ベンチメンバーみたいなものだとも思えば、全員で会社経営に携わることができるのではないか。そのためには、選手もスタッフも含めたチーム全体、企業としての共通なビジョンを持つことが重要だろう。裏方はない。全ての人に役割が与えられ、スポットライトが当たっているべきだ。

そこで、「J1クラブ(スポーツ)の経営者は、なぜ、アスリートのキャリアを考えないといけないのか?」を考える。

クラブは地域との関係性が非常に重要である。経営者は「街づくり」を意識しており、その観点で言うと、試合で活躍し、地域での影響力のある選手が地域のために働くというのは、地域とクラブの関係性がより強固なものとなる。

また、選手がクラブ以外でのキャリアを積むことになった場合、選手ほど、クラブを応援してくれる部外者は、なかなか他にはいないだろう。応援してくれる人は、幅広く、色々な場所に散りばめられている方が、経営の多様性や成長に繋がる可能性がある。

今の社会では、これまでと経営の姿が変わってきている。昔は、とにかく試合に勝ち、儲かっていれば良かったが、最近ではSDGsに絡む内容でなければ、協賛が取れないようなことも。社会が必要とするクラブでなければならない。選手のキャリアも持続可能であるべきなのだろう。

経営はサッカーに例えることもできる部分があるのでは。財務(バックス)がしっかりしていれば、攻めに余裕ができ、挑戦的な営業(フォワード)を仕掛けることもできるかも知れないが、逆だと、どうしても手堅い攻めしかできなくなり、小さい売上を追うことになる。

■キャリア危機
「モチベーション」と「コミットメント」と「キャリア」の大きな違いは、扱っている時間の長さにある。モチベーションは上がったり下がったり、短く激しい。コミットメントはそれ以上。キャリアはさらに長い。

好きで得意で意義があれば、評価されなくてもがんばるはずであるが、もっと有効的に大きくキャリアを積む方法がある。それは、キャリアの危機にさらされることだ。無理矢理にでも発達の課題を与えられ、乗り越えなければ、キャリアを失う訳なので。それをくぐり抜けた時、大きなチャンスを掴むことができるだろう。引退した時や転職する時というのは、キャリアチェンジのチャンスなのである。

■まとめ
選手は試合やチームワークの中で学ぶことが多い。学んだことは外化することで、後輩のためにもなるし、自分へのリマインドにもなる。監督やコーチが変わったりすると、それと共に戦術なども変わることもある。その時は、新しく学び直す(アンラーニング)癖をつけておけば、引退し、次のステージで奮闘する時にも役に立つかも知れない。そして、学んだことを試合の中で活かすことが何よりも重要(ビルトイン)。これらは、どの段階でもキャリアを形成する上で役に立つだろう。

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