これを読めばエンタープライズ向けの営業も怖くないぞ!!っていう話。壁3つ編
今回は、いわゆる中小企業(以下、SMB)担当の営業や企業が、エンタープライズ、いわゆる大企業を開拓を進めようとするときに必ずぶつかる壁について詳しく説明していこうと思います。
実はこのあたりの情報は一般論が多く、具体的な内容まで語られることが少ない領域でもあります。
私の目的はリード獲得でもフォロワー獲得でもなく、日本のSaaSのさらなる発展なので、全部無料で公開しちゃいます!
本noteは2部構成を予定しており、
1部(本note)は具体的にぶつかった壁×3
2部(次回note)は壁を乗り越えた具体的なノウハウ
を予定しています!
そんな偉そうに書いている私も、SMB担当の時は、「俺、最強の営業かもしれない!」と思い上がるくらい売れていました・・・
(その時のノウハウはコチラ)
しかし、エンタープライズ担当になった途端に大企業の壁にぶつかり(ぶつかるどころか大事故を起こしてます。)それを乗り越えるために試行錯誤をしています。
ですので、実体験に基づく内容だとご理解ください。
また、日本国内のSaaSの営業がエンタープライズ市場に展開する必要性については、以下noteで過去に考察してます。
はじめに、営業の本質から。
営業の本質的な価値ってなんでしょうか。
価値を提案する?
課題解決?
寄り添う?
優秀なヒアリング?
顧客の成功のため?
真摯さ?
全部間違ってないですし、よく聞く美しいフレーズですね。
でもどこか芯を食ってないですよね。
なぜなら、外向けに発信する綺麗事なので。
自分たちの提供するサービスが間違いなく顧客に必要なもので、
競合サービスと比較して確実な優位性を持っているなら、
いつか、その顧客は自分たちのサービスを買うはずなんです。
じゃあ営業いらないじゃん。いつか買うなら。
時代の流れはセルフサーブじゃん。
って言われそうですが、一理ありますが、極論過ぎます。
私が考える営業の本質的な価値は、
・1分1秒でも早く
・1円でも高く
・確実に受注する
図で表すとこんな感じになります。
いつか買うであろう顧客に、今売る。
いつか買うであろう金額よりも、高く売る。
いつか買うであろう時期を、確実にする。
この時間と、金額と、確実性、
ここに営業の本質、そして営業の価値があるのです。
・1分1秒でも早く
・1円でも高く
・確実に受注する
となると、これに繋がらないことはすべて無駄です。
また、世の中に出回っている営業の情報は、手段が多いんです。
フェーズ管理、商談の管理、インサイドセールス、ヒアリング方法・・・これら全ては、1分1秒でも早く、1円でも高く、確実に受注するための手段でしかありません。
ですので、本質があり、それを実現するための手段がある。
この順序だけは間違えないでくださいね!!
そして、この本質さえ守ればエンタープライズも怖く有りません!
(私は手段に頼りすぎて壁にぶつかったも同然なんです・・・)
これ以外の本質のアイディアをお持ちの方はぜひ、教えて下さい!
エンタープライズセールスは全く別の競技だ(壁1)
SalesforceのSMBからZuoraのエンタープライズ担当に転身した私。
Salesforceにいた頃は、毎月、自分が担当するエリアの企業からインバウンドでリードが何件も入り、その中から今買いそうなお客さんをクオリフィケーションしていくわけです。
(クオリフィケーションの解説はコチラ)
これは完全にSalesforceだからできる、強者の理論でしか有りませんでした。
どんなにリードが少ないと言っても、全員で200人以上営業がいて、1人につき、毎月4件以上の新規アポイントがインバウンドで入ってきていました。
日本のSaaS企業でそのくらい潤沢なインバウンドリードがある企業って本当に稀だと思いますし、その状態で売れても営業がスゴイ訳じゃないですからね。
そんな状態で売れてると豪語する営業がいたら、私が明言します。それはあなたの実力だけではない。
そして、営業としてもらったコミッションなりボーナスで、マーケとインサイドセールスにお礼をする会をすぐ実施することをオススメします。
一方、エンタープライズの場合は全く違います。
私が担当したのは年商で1兆円を超えるような超大企業。
自分が担当する企業の役員レベルから、「興味があるので説明に来てくれ!」
なんていう都合の良いリードは来ません。
たまに来たリードも、個人の勉強でホワイトペーパーをダウンロードした新入社員など。
まずここで最初の壁にぶつかります。
今まで通り、インバウンドとか、過去の名刺情報で最初は行けるだろう・・・
と高をくくっていた私は2週間後にその過ちに気づきます。
「やばい、俺行く先が無いやん・・・」
それもそのハズで、
(表現が雑なところはご容赦頂きたいのですが、)
SMBのトランザクションセールスはいわば、釣り堀の中まで魚を誰かが運んでくれて、ヒットしたら釣り上げるだけ。
ヒットから釣り上げるまではものの数秒程度。
一方、エンタープライズの場合は、
自分で大きな魚、それこそマグロがいる場所を探し、いざヒットしたとしても、釣り上げるまでに数時間の大勝負をするわけです。
この時点で同じ営業だとしても、全く別物なわけです。
もう少し具体的にするとこんな感じです。
そりゃぁ、今までの営業と同じスタンスでいたら壁にぶつかるでしょって話です。
ですので、
行くべき顧客をターゲティングし、
更には誰に会いに行くかターゲティングし、
そこに対してアウトバウンドをしていくのです。
私もSalesforceにいた頃、500~4000名の企業に対して、アウトバウンドをするインサイドセールスのチームにいましたが、その際にタッグを組んで
「この営業さん優秀だな。」という方がやっていた手法と結局は同じです。
そして、ここの粒度が非常に重要です。
更には、Zuoraのソリューションの複雑性も相まって、このターゲティングがめちゃくちゃ大変になるのです。
(→具体的どんな粒度で何をしたかは次回解説します!!)
もう一度本質に戻ろう。
1分1秒でも早く、1円でも高く、確実に売る。
ここに、エンタープライズの要素をかけ合わせてみましょう。
・アウトバウンドで、買うべき顧客
・大企業で、購買プロセスが複雑で意思決定まで時間がかかる。
一見、相反するようなこの2つを同時に実現するのがエンタープライズセールスなのです。
なんか、かっこいいですよね。でも本当はめちゃめちゃ泥臭いです。
MEDDICという方法論
外資IT企業在籍の方は1度は聞いたことがあるかと思います。
この内容を確認できたら商談成約率が劇的に上がるという方法論です。
コチラについては、最近、とても良い記事を見つけたのでそちらのリンクを貼らせていただきます。
(2.メソッドを読んでもらえたら良いです~)
また、上記記事は総論がメインでしたので、具体的なトーク例はコチラをどうぞ~~
1番大切なのはChampion(壁2)
MEDDICの中でも1番重要なのはChampionなんです。
逆に、エンタープライズの営業がやることは、
Championをいち早く見つけて、価値を訴求する。
そうすることにより、
「1分1秒でも早く、1円でも高く、確実に売る」を実現するのです。
ここがトランザクションの営業がぶつかる壁の2つ目でもあります。
今までであれば、社長に直接会えて、社長が直接意思決定を行う。
いわば、Champion=最終決裁者(Economic Bayer)であることがほとんどでしたが、
エンタープライズとなると、Champion=最終決裁者であることの方が少なくなってきます。
ザックリ表現すると、社長に対して営業自身がプレゼンできることは稀であって、そのプレゼンは顧客内部の誰かにやってもらう必要があるということ。
(もちろん、面会の機会をもらうこともありますが・・・)
そう、エンタープライズ企業が相手となると、顧客内部で自分に変わって営業をしてくれる人=Championが必要になります。
では、Championってどんな人か。
・出世欲がある
・頭の回転が速い
など、様々な要素がありますが、もっと明確に表すと以下の通りです。
外資系企業の方なら必ずChampionという言葉を使うと思いますが、
意外に曖昧な表現をされることが多いChampion。
私も営業をしてきて、上記以上に明確にChampionを表現されたことがなかったので、上記考え方を教わったときは感動でした。
(教えてくださったKさん、本当にありがとうございます。)
また、Champion以外で、自社にとって好意的な人をCoachといい、
このCoachとの対話の中でChampionを見つけていくことになります。
しかし、CoachはChampionには成れません。
なぜなら、最終決裁者に対しての影響力が無いから。
このあたりの具体的なクオリフィケーションのトーク例だけで、
丼飯20杯くらいイケてしまいそうなので、次回以降、別記事で書いていきます・・・
永遠と続く意思決定のプロセス(壁3)
ここまでで2つの壁を書いてきました。
・アウトバウンドの壁
・Championの壁
**
3つ目は万里の長城の如く続く、意思決定のプロセス**です。
ここまでたどり着いたときには、
買うべき顧客の、然るべき相手に価値を理解してもらった状態です。
ですが、エンタープライズはまだここから長い道のりがあります。
Salesforce時代には、Mutual Close Planと言われる、
注文書受領までのタスクを洗い出し、顧客と営業で共同で進めていこうっていう考え方に基づいてクロージングを行っていました。
しかし、万里の長城の如く長く続くプロセスを確実に顧客側も把握していることは珍しいです。どこかで抜け漏れや、落とし穴があったりします。
しかし、顧客の意思決定のプロセスをはじめから理解していたら、Mutual Close Planの考え方自体がそもそも変わるというお話です。
実際には、顧客の意思決定までのプロセスを、3つに分解して考えるという手法です。
これは具体的にやったことのノウハウのため、詳細は次回に続きます~。
(これも教えてくださったKさん、ありがとうございます。)
追記:続編書きました。
あとがき:私はエンタープライズ担当に嫉妬していた。
私は社会人になってから今まで、ずっと中小企業担当の営業をしてきた。
そして、中小企業担当としての誇りを持っていた。
それこそ、自分が相対する方は社長や取締役などの経営者で、経営者の方が何を考えているのか、であったり、創業の思いなどを聞かせていただくことが多く、本当にやりがいのある仕事だと思っていた。
Salesforceの関西支社に所属していたときは、中小企業担当ながら、エンタープライズ担当をすべて含めて、半期の売上が1位だった。
ある種、「売上=人格」の会社だったため、エンタープライズ担当の営業のことを、「あいつら何やってんの?俺の倍くらいの基本給もらってのんびり偉そうにしやがって。」なんて本気で思っていた。
(実はこの時点で思いっきり僻んでるし、嫉妬しているんですけどね・・・)
そんなある日、エンタープライズ担当のおっちゃん(以下Aさん)が、僕の半期の売上の倍額をたった1つの商談で決めてきた。
当時の私は、毎月予算が設定されており、それこそ「今月終わったらまた来月!」と、20営業日でせっせと働く、それこそハツカネズミ状態だった。
それを知っていたAさんが私に一言、
「その働き方、ブルーカラーだと思う。いつまでも続けらんないでしょ?早くホワイトカラーになりなよ。」
この言葉は私にとって非常に大きかった。
「俺の方が売ってる」
「俺の方が頑張ってる」
「なのに・・・あつらの方が給料が多い」
「これって、自分にできないものを最初から批判してるよな」
「完全に嫉妬してるだけだな」
と気づき、エンタープライズセールスを志すこととなった。
(経験も無いのに上辺だけ語るのはダサいし、経験が無いのに批判するのって、結局嫉妬なんですよね。)
そして、当時Salesforceで史上初の20代営業部長という肩書を捨てて、ただの担当営業としてZuoraに転職をすることになる。
退職のご挨拶をする際、多くの方の第一声は「え!?なんでやめるの?」という反応だったが、
このAさんは、「本当におめでとう!!」と一言目がお祝いだったのが印象的。
三宮のビストロとスナックに連れて行って頂いたご恩は忘れません
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