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歴史から学ぶ組織的「失敗の本質」

著書:失敗の本質 ― 日本軍の組織論的研究
著者:戸部 良一 , 寺本 義也 , 鎌田 伸一 , 杉之尾 孝生 , 村井 友秀 , 野中 郁次郎

この本を読もうとしたきっかけ

  • なぜ組織が失敗するのかを理解したかった。

  • 特に、大きな失敗要素を示すことのできる、戦争戦略を例にして学びたいと思った。

3つの失敗の本質

ポイント1:経験則による成功法則に頼りすぎる
ポイント2:大きく変化できなかった
ポイント3:「失敗の本質」は絡み合っている

ポイント1: 経験則による成功法則に頼りすぎる

  • 偶発的な成功のため、一時的にはヒット商品を出したとしても、成功要因がわからないので、成功を再現継続できず失速する企業のイメージ。

  • 偶発的成功は喜ばしいことである。ただ、その要因を分析もせず「ヒット商品が生まれたから、全面展開しよう!」と、曖昧な解釈で止まってしまうのでは、次の成功を再現することは難しいだろう。

  • これは、戦略の曖昧さである。

  • 何が成功要因となったのかがわからないので、大概はコピーか全面展開と単純施策となる。環境に合わせた工夫などがされないので、思わぬ落とし穴にハマることもある。

  • ゆえに、偶発的な成功に頼りすぎた場合、戦略が曖昧となり、似たような環境でしか成功できないことになる。

  • 「勝利した”体験”でなく”本質(過程・要因)”を見ろ」というメッセージを、本書から感じる。

  • ミッドウェー作戦・レイテ海戦・インパール作戦では、上記の日本軍による失敗が、歴史とともにまとめられている。

ポイント2: 大きく変化できなかった

  • 日米戦争での各軍による戦略変更の描写で、記されていた部分。

  • 結論、アメリカ軍はルールを変更を行い、日本軍は1つ1つ目の前の戦闘で戦い方を変えていた。

  • 戦闘で勝つには技の熟練が必要なため、日本軍は優秀なパイロット(戦闘の達人)を育てる。対してアメリカ軍は逆の発想で、達人が不要なシステムを作ろうとした

  • 具体的には「F6F」という戦闘機を開発。夜間でもレーダーで敵の位置がわかるので、経験が浅くても敵を見つけられる。高い命中制度を不要にするため、機体の近くをかすめただけで爆発するVT信管を採用。回避技術を補うために、高い防弾性を備えた甲板を装備。これらが開発・搭載されたことで、パイロットの教育スピードが短縮。戦闘員の数も増加し、日本軍の戦闘機に対して複数機で圧倒する戦いを見せてきた。

  • 現代であれば、パソコンOSや携帯電話が、最たる例です。ものづくりの国として、高品質の商品を作る日本が、世界に苦戦しているのはここが原因か。

  • 練磨(部分修正などの小さな変化)を得意とする日本企業が世界に勝つには、ルールチェンジ(プラットフォーム、ビシネスモデルの大きな変化)をする必要がありそう。

ポイント3: 「失敗の本質」は絡み合っている

  • 「偶発的に起きた、経験則による成功法則に頼りすぎる」「大きく変化することを避けてしまった 」

  • これらは別々に見えるが、本質とある以上絡み合うことが多々ある。

  • 例えば「偶発的な成功パターンを真似することで、目の前のことにしか思考がいかず、ルール時代を大きく変更することができない」という具合だ。

まとめ

  • 「なぜ日本軍が敗北したのか」という検証から、複数の失敗を学び、その対策から組織づくりに対策を立つ一冊。

※一部内容が難しいところがあるので、読書慣れしていない方は読み疲れします。まずは、以下で全体を理解して、原作を読む方がオススメ。(一部著者の主観が入る)
著書:「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ
著者:鈴木 博毅


取り入れる行動

  • 現組織の現状を整理し、本書の本質と重ね合わせる。

  • 重ねた「失敗の本質」に対して、アメリカ軍の取った対応を一時的に施す。

行動したことによる理想の状態

  • 組織目標の曖昧さがなく、個人も混乱なく働ける状態になっている。


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