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385 頑張れ吉村知事3 バス確保できず


はじめに

「頑張れ吉村知事3」ということで、今回も大阪での取り組みについてすこしふれたいと思います。大阪ではライドシェアという取り組みを進めようとしています。慢性的なタクシー不足の対策としても注目を集めていますし、賛否両論あります。しかし、こうした新しい取り組みに挑戦する姿勢は、ぜひ応援したいものです。
この取り組みは、実は今後の運輸業界にも重要な影響を及ぼすと考えています。今、運輸業界では深刻な2024年問題が発生しています。この問題については、以前に教育コラムでもお話ししました。ライドシェアが運輸業界の問題の解決につながるというよりも、新たな方法を模索し社会的な課題に立ち向かうという姿勢が重要だということが今回お話ししたい点です。
今日の教育コラムでは特に、修学旅行のバスですら確保が難しくなってきている現状について少しお話してみたいと思います。

2024年問題

今後ますます、私たちの生活を直撃する問題があります。
それが、物流・運送業界の「2024年問題」です。他の業界にも言えることなのですが、働き方改革法案によりドライバーの労働時間に上限が課されるようになり、時間外労働が抑制されています。残業時間や交代に関する規定も厳しくなっています。このことで生じる問題全体を2024年問題と言います。ドライバーの方に限ってみてみれば時間外労働時間が年間960時間に制限されますので、一人当たりの走行距離が短くなり、長距離でモノが運べなくなることだって考えられるわけです。
そこで、最近話題になっている出来事がバスの運転手不足です。

修学旅行や学校行事でバスが確保できない

東京のある公立中学校の修学旅行の際にドライバー不足の影響で予定変更が生じたというニュースがありました。この事実を関係する保護者が、ネット上に登校したことで表面化した問題ですが、皆さんはどのように思われましたでしょうか。
現在、バスの運転手さんは不足しています。年間通して休みが不定期で労働時間も前後することが多く、利用者の対応も大変な仕事です。また、賃金も低いという問題があり、残業の減少で収入も低下していると聞きます。お盆やお正月も働くような生活になかなか若手の運転手の人が続かないという話も聞いたことがあります。
ここのところの賃金の改定などで若干ですが給料も上がったという話ですがそれでもやはり労働に見合ったものではないと聞きます。
そうした中で、学校行事で行われる修学旅行に貸し切りバスを出すよりも、海外からのインバウンドに対応して観光用の貸し切りバスを出す方向に転換している会社も多くなっていると聞きます。
たとえそれが、学校から事前に修学旅行でのバスの予約を受けていたとしてもキャンセルを出して、他の利用者にバスを出すということも起きているようです。今では、学校などの両側が見積もりを見比べて、バス会社を選ぶ側ではなく、バス会社が貸す相手を選ぶ状況になっているわけです。

十分な料金をはらう

実は、このようなバスの確保ができず、学校行事が中止や延期になるような事態は様々な地域で起きています。
2024年問題つまり人手不足を原因にあげる人もいますが、私はそれに加えて最も重要なのが学校行事に貸し切りバスを出しても儲けが薄いという点にあるように思います。
バス会社からしてみればより利益の多い仕事を選びます。修学旅行の発注をする際に学校は何社か選び見積もりをとり、より安価な会社を選ぶことがあります。また、値段を値切るようなこともあるでしょう。また、長年付き合っている会社は、値段を必要な分だけ上げることができない可能性もあります。このように、学校行事に関わると儲からないことというのは山のようにあるのです。ただでさえ学校は使ってあげているという意識でいます。それが、人手不足や物価の高騰が重なり、立場が逆転しているのです。
教師や学校が上から目線で旅行会社やバス会社に接していた姿勢を改めて、使わせていもらっているという意識をもう少し持たなければ、まともに修学旅行の移動でさえもままならないことになるでしょう。
子どもの安全と安心な旅にお金を出し惜しみしていてはいけないということです。国や自治体もこうした事態を踏まえて学校行事に関する補助金などを整備していくべきではないかと思います。

自分の周りでも

身近なところで先日横浜に行った時のことです。バス停に行列ができていました。実は、横浜市では、市営バスを平日1日当たり290便ほど減便になったようです。
この問題も同じような構造で、まず2024年問題で人手不足と時間外労働の規制により物理的に便を減らす必要が生じています。加えてバス運転手の皆さんの労働環境の改善や賃上げが適切に行われていないために求人状況が改善されません。
今後も各地で同じような現象が起きる前に各バス会社に体力があるうちに対策を講じていかなければ深刻な事態となるでしょう。利用する側も料金の値上げは覚悟しておかなければ、移動手段そのものを失いかねません。
今後も、円安と資源等の高騰に起因するインフレが進んでいくと実質賃金は下がり続け、スタグフレーションの状態が続く可能性もあります。その一方で日本は、観光による経済成長に依存する率が工業に匹敵するほど伸びつつあります。運輸や交通に関わる人材の需要は今後も伸びていくわけですからこの問題を解決していくことは、経済的な効果も生み出す重要なことだと言えるのではないでしょうか。

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