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224 ジャパンアズナンバーフォー


はじめに

日本が「世界2位の経済大国」などと社会の授業で学んでいたのは、いつの頃だったでしょうか。GDPの数値を読み取らせ、日本の経済力の大きさを誇らしげに子どもたちに説明していた自分の姿がまだ少し思い出せるくらいですから、数10年前のことでしょうか。
今日の教育コラムでは、日本のGDPをドイツが上回り、ついにこの短期間で世界第4位にまで衰退してしまった日本経済について少しお話してみたいと思います。

第3位になった時期

あれはたしか、2008年のことです。名目GDPは米国が約14兆ドル、日本が5兆ドル、中国が4兆ドルとなり、日中の差が一段と縮小しました。
2010年には上海万博が開かれ、ついに中国が日本を追い越し、米国に次ぐ世界第2位の経済大国に浮上することが確実になりました。
このころ、日本の経済産業省が2009年6月に発表した通商白書によれば、中国が年率8%の経済成長を遂げている一方で、日本の成長率はマイナス成長でした。

そして世界4位へ

そして、「世界3位の経済大国」といわれてきた日本が、今年2023年には、名目GDPでドイツに抜かれ、4位になるという見通しが示されました。
日本を代表する企業の経営者からは「日本はもはや先進国ではない」という指摘もされています。「ジャパン・アズ・ナンバーフォー」に後退するわけですが、このような状況委になるとよく「どうすれば日本は再浮上できるのか。」という問いが立てられます。
しかし、こうした問いに数十年の間、誰も答えられないでいるのが現状です。いえ、答えていても政治がそうした意見を取り入れて行動に移すことができないのかもしれません。
そして今、政治の世界ではお金に困った政治家たちがパーティー券を売るというノルマを達成することに必死になって生活しているのです。私たちの国は、この先どのような未来をたどっていくのでしょうか。
経済力は、国力につながり防衛や文化や教育の水準にも関わる問題です。
日本人が国内で旅行を楽しむ人が増えているのは、国外で買い物や食事を楽しむために必要なお金と世界の物価があまりにもかけ離れているためです。たとえ海外に行っても飲食を節約して過ごす様な話は多く聞かれます。このような経済的に弱い立場にある日本が今目標にすべきことはいったい何なのでしょうか。目標が最も明確だった近代の日本と言えば、戦後の復興期になるわけですが、その時代について最後に少しお話してまとめとしたいと思います。

戦後日本

終戦後の日本の目標は、政府も国民も明確に認識していました。それは、戦争で、荒廃した日本経済を立て直すことにありました。
連合国軍総司令部(GHQ)が主導して進めた経済政策や生活救済資金や産業復興資金を提供は、国民の生活と日本の経済復興を後押ししました。また、それまでの日本の政治の在り方にも改革の手を入れました。
例えば、農地改革、財閥解体、労働組合の活動支援などがそうしたものの具体的な例です。これらについては中学校の3年生までに社会の中で詳しく学びます。
国力を高めて行くためにも、食糧生産の回復と成長は重要な視点でした。そのために、農地改革を行い、地主が所有していた農地を小作農家に分け与えていきました。これにより、「農民の生活が向上する」という効果が現れたのです。
また、財閥解体の措置は、経済の民主化の動きを加速させました。一部の巨大な組織に利益の独り占めをさせないことで、新規企業の参入を促しました。このことで、中小企業の設立や育成が促進されたわけです。
そして、労働組合の育成や活動を支えるという取り組みにより、労働環境の改善や賃金の引上げが実現し、労働者の生活が向上していきました。加えて、産業の面においても戦後復興の中では、欧米の知的財産や技術を応用して「物の量的拡大と物の質的向上」を国としての命題として掲げてきました。その結果、日本の応用技術は飛躍的に発展し、物の量は増え、物の質が向上し、経済が発展したわけです。
このように経済が発展、改善されていくということは、国民の生活環境や労働条件が好転していくことにつながるのです。政治とは、国民が共に向かう目標を設定し、後押しすることだと改めて思うわけです。
今、わが国には国民に分かりやすくその目標を示す力をもったリーダーが、もしかするといないのかもしれません。


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