516 斎藤知事の選挙戦始まる⁉
はじめに
斎藤知事の出直し選挙に向けた動きが活発化しているという見方があります。今日の教育コラムでは、公職選挙法などと関連付けながら斎藤元彦知事の9月19日の不信任決議案の可決以降の「メディアジャック」とも受け取れる行動について少しお話してみたいと思います。
選挙の事前運動の禁止
公職選挙法の129条では、「事前運動」が禁止されています。この事前運動の禁止に違反した場合は、刑事事件として摘発・起訴されます。判決にまで至ると1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処せられ選挙権及び被選挙権が停止されます。大変重い罰です。また、立候補を予定する人だけではなくその支援者などについても禁止されており、事前運動に当たるかどうかは適切に判断して行動する、注意しなければなりません。
事前運動と一口に言ってもどのような内容かを知っていなければ、違法行為を止めることはできません。そこで、どのような選挙運動がいけないのかを少し詳しく見ていきたいと思います。
〇選挙運動
選挙運動とは、特定の選挙について特定の候補者の当選を目的として、投票を得る、または得させるために直接または間接的に必要かつ有利な行為をすることを言います。
この投票を得るための行動は選挙の公示・告示日から選挙期日の前日までとされています。この期間を選挙運動期間と一般的に言います。つまり、この選挙運動期間より以前に選挙運動を行うことが、禁止されている事前運動と呼ばれるわけです。禁止の制限は、公職選挙法で定められている通り、一切の事前運動が禁止されています。
〇法の趣旨
次に事前運動が禁止されている理由について考えてみます。その理由は大変にシンプルで公正な選挙になるためには、選挙運動の開始時期を特定しなければならないというものです。立候補者が同じ時間をかけて自分の考えを有権者に訴えかけていくことこそが重要なのです。時間だけでも平等でなければそれ以外の組織力や資金力など様々な面で平等性が担保できないわけですから公正な選挙になるわけがないのです。
有権者に政策を訴える、人となりを見てもらう時間が等しく与えられることは、民主主義を実現するために必要な公正な選挙を成立させるために重要だということです。ですから、公平に与えられる公約などを述べる機会としてテレビ放送などの政見放送などでは時間が均等に候補者ごとに与えられるわけです。また、候補者による討論会なども放送する場合は、主張する時間や質問が均等になるように配慮されているわけです。
政治活動を行う者にとって自分の政治活動が事前運動に当たらないかどうかは極めて注意深く活動する必要があるわけです。ここで勘違いしてはいけないのが、交差点などで朝立っている政治家の方が話をしている行為です。この演説の中で選挙の時の応援を呼びかけたり、一票をよろしくお願いしますなどと話した場合は、選挙期間でなければ事前の選挙活動となります。
しかし、この判断は大変難しく選挙期間より前につまり事前に選挙の応援を呼びかけるチラシやはがきを配ったり、選挙に出るつもりですとアピールしたりする行為が明確に確認でき、最終的には裁判所がその事実を認めれば確定しますが、なかなかこうした分かりやすい物ばかりではないのです。
斎藤知事の行動
7つの疑惑が告発され、百条委員会が設置され、9月19日の議会で不信任決議案が全会一致で可決されました。翌日は登庁せずXの投稿を更新し、今後の身の振りようを考えていることを示しました。
そして、9月20日に斎藤知事はMBSの情報番組「よんチャンTV」へ出演されました。また、その日はNHK大阪の「かんさい熱視線」に生放送の中継で出演されました。加えて、9月21日には日本テレビ系列の番組「ウェークアップ」に生放送で出演しました。
「県民の付託を受けた任期がまだあと1年ある」と県政を前に進めていくための意欲を見せている斎藤知事からは、いずれの結果になろうとも出直し選挙への強い意欲のようなものを私は感じています。
また、先に列記したような番組への出演時に斎藤知事は、故人への謝罪は一切なく自信の実績をアピールする時間が多く見られました。中には、告発文章を誹謗中傷性の高い文章であり、公益通報として扱わなかったことは正しい判断だったと主張するシーンもありました。
3年前の就任からの既得権やしがらみとの戦いの中で反対勢力が生まれ、その罠にはまったと言わんばかりのこの主張は、多くの視聴者に出直し選挙では実績を判断してほしい、自分は間違っていなかったというメッセージを発しているに等しいのではと私には思えてしまいます。
また、9月24日、本日の知事への囲み会見では、自身のメンタルは皆さんが言う様な鋼のメンタルではなくここまでかなりつらく、ダメージを受けてきているといった高感度を上げるためなのか自分こそが被害者であるというメッセージを発信したいのかと受け止められないか心配になるような場面も見られました。
次の動画は、MBSの配信しているものですが、「鋼のメンタルと言われていますが、私も人間ですから思い悩んでいます」というメッセージと共にまだまだ悩んでいるという言葉が確認できます。
まだまだ、テレビへの露出の機会を確保しながら自動的に失職する9月29日を待つのかとすら思ってしまう程です。
番組内で、元西播磨県民局長が作成した告発文書に対する県の初動対応は正当性があったと主張した点、さらに県庁舎再整備計画の撤回、外郭団体役員の退職年齢規制、自己の給与カットなど業績を訴えた点を見た時に、記者会見でこれまでも言い続けてきた知事の持論を一方的に生番組や1対1の対談形式で放送することに大変な違和感を感じました。
再出馬の意向を明らかにした場合、選挙の事前運動を疑われてしまいます。公職選挙法違反にならないためにもやはり、答えを出すまでの時間は10日間ギリギリまで必要なのでしょう。
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