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359 グリーンウォッシュ

はじめに

ヨーロッパを中心に偽物のエコについて関心が高まってきています。
「グリーンウオッシュ」という言葉を聞いたことがある人も多いかと思いますが、これは企業が環境配慮を行っているように見せながら、実はその実態が見せかけだけのものであることを言います。
大変難しい問題で、例えばEUでは過去に日本の大手自動車のCMが差し止めになったこともあります。それは、そのCMの表現の中に森の中をさっそうと走るようなシーンがあり、あたかも自動車が森林の保全や自然環境に配慮したものであるかのような印象を過剰に与えるという理由からでした。これもグリーンウオッシュに当たるということなのです。今日の教育コラムでは、これからの環境教育やビジネスの在り方について少しお話してみたちと思います。

子供だましという言葉があるけれど

Green Washingという言葉の由来を考えると、もともと、汚れたものの表面を白く塗り、取り繕うことを意味する「ホワイトウォッシュ」という言葉がありました。
そこに、グリーンエネルギーなどのように自然をイメージするカラーである緑を当てた造語に由来します。白を緑に代えてグリーンウォッシュといった場合、グリーンエネルギーに見えるけれど、二酸化炭素の削減に見えるけれど、実は見せかけだけで実際は減っていない、または、たくさんエネルギーを消費しているなどという上辺だけの取り組みであるという批判的な言葉になるわけです。よく日本で言われる子供だましと言う言葉が近いかもしれません。

グリーンウオッシュの与える影響

この影響は、一言で言えば誤解を消費者に与える点にあります。環境問題への意識の高さは、購買意識にも影響しています。環境にやさしい又は配慮した商品を手にしたいと考える人は少なくありません。少しくらい価格が高くとも地球規模の気候変動を抑制したいと考える人々や国では、環境に配慮した思考が強くなります。
しかし、見せかけだけの環境への配慮をある企業していたとしたら、消費者はその行為に騙されて、購買行動に出ます。すると実際は、本当に配慮している商品の売り上げが下がり、配慮していない企業が成長し、環境悪化が進むというわけです。消費者は環境に良いという印象を信じて環境を守る行為とは逆の行為をしてしまうわけです。
ですから、本当に省エネなのかまたその数値は正しいのか、実際にはリサイクルできるのかなど、企業は消費者の信頼を得るためにその根拠となるデータを提示する必要があるのです。
グリーンウオッシュであると見られないためには、膨大な調査を自ら行うかまたは、調査機関などのデータを運用する必要があるわけです。これは企業にとってかなりの負担となります。

エコとビジネスを組み合わせること

SDGsという言葉が世界中で広がり、地球規模の温暖化が懸念されている中で、エコを何らかの形で組み合わせたビジネスは、利益を受けやすいわけですが、この期待を裏切る行為についても厳しい目が注がれています。
例えば、次のような商品やサービスについては、エコをうたって販売や提供しようとすること自体がEUなどでは難しくできなくなりつつあります。
具体的には、大手のハンバーガーショップがリサイクルをうたって環境にやさしい紙のストローを採用しました。プラスチックのストローよりも環境にやさしいと感じるでしょう。しかし、そのストローはリサイクルできるような硬さではなかったことが明らかになりました。
また、電気自動車もリチウム電池のリサイクルは現在では、ヨーロッパやアメリカでもできるようになってきましたが日本をはじめ多くの国では完全にはできない国も多く、生産している国によっては通常の自動車の方が二酸化炭素の排出量がトータルで少なくなる可能性もあるのです。
また、例え電気自動車でも充電する電気が火力発電所が多い国ではエコにはならないわけです。また、元から売っているものが環境に配慮していない物であればいくら自然の風景をたくさん映してCMを作ろうともそもそも環境に配慮されていないわけですから、たばこの販売などについては環境改善にはならないわけです。
また、二酸化炭素の排出量の売り買いをして、排出量を削減しているとしても本質的には環境改善にはつながらないわけですからこれも気を付けなければいけません。

こうした本気で地球環境を改善しようとする取り組みを重要とする考えの広がりは、ある種の環境よりも成長を考えている国との分断を生みますが、環境を無視していてはビジネスも成長しない世の中の仕組みを一方で進みつつあるのです。
環境への理解は難しく、こと企業はこれからそうした環境への配慮をより分かりやすく伝える仕事も重要になっていくわけです。

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