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201 キットカットとタイ焼き


はじめに

今日の教育コラムは、関連性を考えることの面白さについて少しだけお話してみたいと思います。
今回取り上げる題材は、キットカットとタイ焼きです。この二つの関連性を考えてみますと、互いに甘い食べ物だということはすぐに思いつきます。他にもあるかと考えてみると関連性は意外と思いつかないかもしれません。
今の教養での限界まで関連性を考えた後に少し調べてみると次のようなことが見えてきます。

イギリスで誕生したキットカット

キットカットは、イギリスで誕生した食べ物です。4つに分かれているチョコレートのお菓子ですが、この溝は食べたい分だけ少量、口で割って食べるためにあります。
また、溝が深くついていて包み紙の上からでも簡単に割れるのは、キットカットが、当時のイギリスの工場で働く多忙な労働者が仕事をしながら、またはちょっとした合間にエネルギーを補給する目的に食べられていたためです。手が汚れている状態でも、簡単に包み紙から食べる分だけ出して口でわって食べることができますので、とても便利だったわけです。
座ってゆっくり休憩などとっていられなかった人々にとって、一口の幸せだったというわけです。さて、それではタイ焼きはどうでしょうか。

タイ焼きのしっぽは食べない

タイ焼きは、大判焼きのような形の丸いものに生地だけの耳が周りについていたものが原型でした。この耳の部分はあんこが入っていません。そこは、手で持つ部分で、あんこの入っている丸い部分を食べたら、耳の部分は鳥やい野良犬にあげていました。つまり捨てていたんです。
次第にタイ焼きの形に変化していく中で、タイ焼きのしっぽの部分がその役割を果たすことになります。当時の江戸っ子はとてもせっかちで、仕事の合間やお昼に手を洗って何かを食べるくらいなら、お昼をとらないという具合の人も多かったくらいです。
ですから手が汚れたまま、タイ焼きを頭からしっぽの手前まで食べて、あんこの部分が食べ終わるとしっぽの部分は汚れた手で持っていたので、野良犬や鳥にあげていました。犬がそのしっぽを嬉しそうに食べているほのぼのとした光景まで含めて、休憩時間やお昼のひと時を楽しんでいたのです。

関連性を見てみる

2つの国の2つの食べ物は甘いものという共通点以外に労働者の生活スタイルや短時間に食事をとるという点で関連があることが見えてきます。
このように、一見すると関連が思いつかないようなものでも、口にする場所、時間といった大きな概念で見ていくと意外なつながりがあることが見えてきます。
もしも、こうした内容が入試の小論文や適性検査、作文などで出題された場合でも、2つの食べ物の関連性として「働いている人が、汚れた手のままでも、簡単に食べられるように考えられた食べ物で、多くの庶民の間で広がった食文化の一つである。」といったような説明が加えられれば、その人の見識や教養の幅が少しアピールできるように思います。
まずは、思いつく関連性を書いてみて、そののち少し調べてみると気づかなかったものが見えてきます。そうやって少しずつ見方や考え方を広げていくの大切な学び方かもしれません。

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