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164 ノーベル賞


はじめに

2023年のノーベル賞の発表が行われました。この賞は、毎年ちょうど今頃の10月に発表されますが、日本人の受賞者がいるときには、テレビなどでも大変に話題になりますので、研究の中身や受賞された方々について知る機会もあるかと思います。
多くの子どもたちに、学ぶ目的を見つける意味でも、世界中の研究者の中からどのような方々が、どのような研究により受賞したのか、功績を残したかに関心をもってほしいと考え、今日の教育コラムではノーベル賞について少しお話してみたいと思います。

ノーベル賞と授賞者から学ぶ、おすすめサイト

上に紹介した2つのサイトには、ノーベル賞とはどのようなものか、受賞者がれまでに何を研究し、どのような功績を残してきたのかについて大変わかりやすくまとめられています。

ノーベルの遺言

ノーベル賞の始まりは、ダイナマイトの発明によって莫大な富を得たスウェーデンの実業家の遺言によって創設されました。その人物こそが、アルフレッド・ノーベルです。
ノーベルが残した遺産を用いて今から120年以上前に現在のような形で、世界の発展に多大な貢献を残した人物たちに高額の賞金と名誉が送られます。この賞には、物理学、化学、生理学・医学、文学、平和、経済学の6つの分野があります。

日本人の受賞者

日本人で最初にノーベル賞を受賞したのは1949年のことでした。湯川秀樹先生がこの名誉ある賞を授与されたことで、戦後間もない日本の人々に大きな希望を与えました。
湯川先生の受賞理由は、先生が27歳のころに発表された「中間子理論」の功績でした。中間子理論とは、原子核の中にある陽子や中性子を結びつける未知の粒子の存在を予測したものです。この予測は正しく、「中間子」はその後の研究で発見されました。余談ですが、湯川先生は、晩年に核兵器廃絶を唱える等、平和運動にも力を入れられたことでも有名です。

経済学賞の受賞者がいない

ノーベル賞の6分野の内、経済学の分野のみが日本人の受賞者がいない分野となっています。経済学者の数が極端に少ないわけでもありませんし、日本が経済学を駆使して乗り越えなければいけない問題に不自由しているわけでもありません。
では、なぜ私たちの国には、世界の経済の発展に寄与するような理論や方法を生み出す人材に不足しているのでしょうか。その原因の一つは、日本のこれまでの経済学者は、欧米の経済学を解説するような研究者としての役割を担っていたのではないかと思います。
ノーベル経済学賞の最近の受賞内容を見ていくと、実社会のなかでの実用性や実装性、明確に成果を示す現象を伴う研究などが目立ちます。
今、世界が経済学に求めていることは、自由競争の中でいかに経済成長を成し遂げていくかであるとか、世界的に広がりつつある格差や不平等の拡大を是正するであるとか、大量の貧困者や失業者の発生を食い止める方法といったような、未来を左右するような理論と実践の研究なのかもしれません。
経済的な課題がここ数十年山積し、経済成長が停滞していた我が国においてノーベル経済学賞を受賞する人物が出るとすれば、どのような研究の成果を見せてくれる人なのか、今から楽しみではあります。
もしかすると、日本の教育の弱点が経済学賞受賞者不在にあるのかもしれません。

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