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294 屋台ラーメン


はじめに

昔食べた屋台ラーメンの味がどうしても忘れられません。
今日は、そんな懐かしの味と共にであった友人についてお話してみたいと思います。

はじめてのバイト

高校生の頃の話です。大学が決まり、1カ月以上時間に余裕のある時期を高校生として過ごしていたころの話です。私の通っていた学校は、当時、バイトが許されていました。
私は、1カ月の約束で学校から少し離れた駐車場やビルの管理をしている会社に清掃のバイトをすることにしました。時間は、夕方の4時から夜の7時までの1日3時間のバイトでした。時給は800円でしたが、掃除をすることも好きでしたし、時間を有効に使えるのでとても充実した気もちで臨めました。また、初めてのバイトでしたのでお金を頂くことの楽しみも手伝って、バイトの時間はとても新鮮な心もちでした。
清掃の作業では、高い場所の作業を主に任されました。他の人より少し、背が高いという自分の特性を理解して任された作業は、やりがいがありましたし、自分にできることがあるということだけでも目的意識が高まったことをよく覚えています。

バイトの最終日

高校の卒業式も終わり、大学に旅立つ前日の夜、バイトは一カ月の契約を終えました。25日間で1日2400円のバイトを25日間した結果、バイト代は約10万円になりました。高校生の私にとっては、10万円という金額は使い方に万の道を与える可能性に満ちた金額でした。
しっかりとした厚みのある封筒を手に、私は、帰り道いつも気になっていた屋台ラーメンで食事をすることにしました。恵比寿ラーメンという名の軽トラックを改造したタイプの屋台ラーメン屋さんで中華そばを頼み、簡易ベンチに腰を掛けているとシンプルな中華そばが出てきました。1杯500円の中華そばとは思えないほどボリュームも味もしっかりしていて、そのうまさとありがたさをいつも以上に感じたことを今でも覚えています。多分、労働をしてお金を得るという行為が、私の感覚を変えてくれたのだと思います。
500円でうまいものを提供する、500円を稼ぐことがどれだけ大変なことか、そうしたものの価値観や労働の尊さみたいなものは、若くして体験して損はないと高校生ながらしみじみ思いました。
同時に、大学生になれば高校生以上に様々な仕事を体験できることがとても楽しみになったことも、あの時だったように思います。

教育と労働、教育とお金というキーワードは水と油のように扱われがちな時代が長く続きましたが、現在、大学在学中の企業や高校生の起業家など勉学と両立しながら社会との関りを早くから深めている子どもたちが増えています。これもまた、新しい教育の在り方として注目すべき姿だと感じます。

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