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186 平常心


はじめに

今日の教育コラムでは、受験につきものの緊張や焦り、不安といった心もちとは対極にある「平常心」という言葉について少しお話ししたいと思います。
まずは、平常心という言葉の意味から確認してみましょう。平常心とは、何ものにも囚われず、自分の心にまっすぐに向き合っている時の素直な状態から生まれる心のありようだと言えます。
つまり、何も考えていない、動じていない「無心」とはまた別の意味なのです。悲しいときには悲しいと思うでしょうし、うれしいときにはうれしいと感じるはずです。これを、自然なかたちで自分の心と向き合って感じることができればそれは、平常心ということになるわけです。

自分の心と対話することの大切さ

受験に向けて取り組む日々は、大げさなようですが成功と挫折の繰り返しです。一問解けたと思えばまたわからない問題が現れ、そして乗り越えていくのです。このような過程で平常心がいかに重要かは、自分との対話の場面を見ていくとわかってきます。
例えば、物事が上手くいかないときほど、周囲の言葉に左右されたり、惑わされたりしやすくなりますが、勉強するであるとか答えを出すというような場面では、最終的な決断を自分で決めていくわけです。
また、失敗は成功の原動力となりますが、失敗から学ぶという姿勢の大切さを自分自身が理解していなければ、ぶれずに目的に向かって前へ進んでいくことはできません。
そして、そんな毎日に疲れてきたときは、平常心を保てなくなっているはずですから、くつろいだり、空気を換えたりして一人でゆったりと心を落ち着かせる時間をつくりことが大切になります。
最後に、一つ確かなこととしていくら一生懸命に頑張ってもなかなかうまくいかないときがあります。目的を達成できない状態になることそのこと自体を心得ておくことが大切です。努力は報われないときもあるけれど、努力を続けていれば、期待した以上かもっと別の形で報われることだってあるのです。

想定と想定外

まず、受験とは想定外なことが起きるものだと想定しておきましょう。想定とは、とある情況や条件だったらどのようになるかと、仮に考えてみることを意味します。
想定をたくさんすればするだけ、その通りになったら安心するかと思いがちですが、なかなかそんな単純なものではありません。あれもこれも想定するのはとても難しいですし、考えすぎて不安が募ります。
単純な話、想定通りには物事が進まないことが日常だと認識しておくだけで平常心を保つことに一歩近づけます。そのうえで、大切な想定だけをしておけばさらに想定通りの時に安心して取り組めるというわけです。

平常心の大切さ

受験生のだれもが不安を抱えています。不安のない人などいないと言えます。不安感情というものは、人間の感情の中でもコントロールがきかず、人の判断力を狂わせる姿の見えない怪物のようなものです。私たちは、この不安感情により生活を一変させるような経験をしたことがあります。
それがコロナ禍の生活です。家族や知り合い、自分の健康や生命を失うということへの恐れと、未知のウイルスへの恐怖が私たちの社会をパニックにさせたのです。今から冷静に考えると必要のない行動をたくさんしたり、恐怖の感情を抱いたりしてきたことを後悔している人も多いかと思います。
平常心を失うとすればそれは、不安感情の高まりからでしょうし、不安感情に打ち勝つには平常心を保つことが重要になるでしょう。
日々の努力が自信となり、それが平常心につながることを受験を体験した多くの人々がよく語りますが、きっとその通りなのでしょう。受験を通して身につくもののなかには平常心という生涯に渡って大切となる心のありようもあるということをぜひ意識してもらえたらと思います。

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