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376 カスハラ


はじめに

カスタマーハラスメント(カスハラ)という言葉をしておきましょう。
この言葉は、今後の社会の在り方をかえていく重要な言葉です。
意味合いとしては、顧客や取引先などからのクレームの中でも悪質なものがこのカスハラに当たると考えてよいでしょう。そもそも、この問題は昔から言われてきているわけですが、具体的な解決策を各社が設けてくることができていませんでした。今日の教育コラムでは、カスハラについて少しお話をしてみたいと思います。


クレームの中には、その要求する内容が妥当性を欠いているものがあります。またクレームというレベルを超えて、無理な要求を暴言や暴力、嫌がらせなどを行うことで、実現させようとしてくる実現するための手段・態様が社会通念上不相当であり、それらによって従業員の就業環境が害されるものを指します。

カスハラの増加の背景

カスハラが増えた背景には、SNSの普及が要因のひとつであると考えられています。SNSを通じて、客が店や授業員を簡単に批評できるようになりました。サービスを提供する側に対する評価が、可視化していったことで、行き過ぎた言葉を用いたり、大量の批判を集めることが可能になりました。
そうした大量の声がいつも正しいとは限りません。真実とは違ったとしても圧倒的な批判の数は、真実以上の真実を形作っていきます。
それが、売り上げや評判に大きく影響し、会社や経営者はその脅威に屈してしまうのです。SNSで悪い噂を流すという行為自体がサービスを受ける側の特権の様になっているわけです。そうしたものも含めて、カスハラ、カスタマーハラスメントというわけですが、この行為は会社やそこで働く人々の人生そのものを狂わせてしまう力を持っています。
ですから、そうした悪質なカスハラに対抗する手段を会社や企業は整備する必要があり、今その努力が社会の中で効力を発揮しつつあるのです。

JRの取り組み

いかに紹介するのは、JR東日本が策定した「JR東日本グループカスタマーハラスメントに対する方針」の一部です。

「JR東日本グループカスタマーハラスメントに対する方針」の一部

この内容で重要なのが、「カスタマ―ハラスメントが行われた場合にはお客様への対応をいたしません。」という一文です。
カスハラの内容をJRとして定義した上で、その内容に該当した場合は客としての扱いをしないという強いメッセージが述べられています。逆に言うとこのくらいの対応をしないと職員の安全や安心が守れないような出来事が実在しているともいえるわけです。
こうしたカスタマーハラスメントの考え方は、今後も教育の現場や医療の現場、飲食業界や宿泊業界などなど様々な現場で広がっていくことでしょう。これまで、日本社会では「お客様は神様」という言葉があまりにも強い意味を持ち続けていたのかもしれません。消費者や利用者を神様と位置付けるあまり、言いたいことも言えない関係がいびつなクレーマーを生み出していたのかもしれません。この転換期に日本ビジネスの在り方を根本から見直す必要があるのかもしれません。

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