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これからの「働きがい」を考える上でのポイントは?『図解 人材マネジメント入門』【無料公開#21】

電子版5月28日、書籍版6月26日発売の『図解 人材マネジメント入門』では、人材マネジメントの理解と実践に役立つ100のツボが紹介されています。その中でマネジメントする側・される側双方に役立つ30のツボを、毎日1つずつご紹介していきます。

Q:これからの「働きがい」を考える上でのポイントは?

A:業績の観点からも、働く人一人ひとりの「働きがい」「仕事のやりがい」と向き合うことが求められていく


すべての従業員が働きがいを感じる会社

一般的に、「働きがい」はリーダー層(経営層と管理職層)が高く、一般従業員が低い傾向があります。
しかし、両者のギャップが小さい会社ほど好業績である(売上高成長率が3倍程度高い)ことがGPTW社の調査からわかりました(図表040)。

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同社のマイケル・C・ブッシュ社長は特定の層だけではなく「すべての従業員」が働きがいを感じ、「人の潜在能力が最大化」している「全員型働きがいのある会社」をこれからの理想モデルとして掲げています。

企業は一人ひとりと向き合う

働きがいの構成要素のうち「働きやすさ」は企業の努力によって改善が進められています。
しかし「仕事のやりがい」はどうでしょう。
仕事のやりがいは働く人自身が感じるものであって、他者から与えられるものではありません。画一的に促進することはできないでしょう。
自社のミッションにマッチした人材を採用し、働く人一人ひとりと向き合い、魅力的な目的・目標に向けて握手し協力し合う、個別的で、かつ対等な関係が企業には求められていくはずです。

仕事の本質に没頭し自分が活きるプロセス

外してはならない原則はなんでしょうか。青山拓央『幸福はなぜ哲学の問題になるのか』にはこうあります。

仕事における個々の行為が、それ自体を目的とし、それ自体において徳(アレテー)が十全に発揮される「活動」であるならば、その仕事は生きがいにつながります。

アレテーとは、実践的な習慣づけによって伸ばされた「卓越性」のことです。その卓越性が十全に発揮されるとき、人間は「エウダイモニア」に至ります。エウダイモニアとは古代ギリシアの哲学者アリストテレスが提唱した本質的な幸せのことです。
仕事の本質に没頭し、自分の卓越した能力が十分に活きるプロセスこそ、やりがいであり、生きがい、幸福につながる。それは2300年前から変わらない人間の姿のようです。

次回からは組織開発に関する10のツボをご紹介します。

<著者プロフィール>

坪谷邦生(つぼたに・くにお)

株式会社壺中天 代表取締役、株式会社アカツキ 人材マネジメントパートナー、株式会社ウィル・シード 人事顧問、中小企業診断士、Certified ScrumMaster認定スクラムマスター。 1999年、立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。2001年、疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。2008年、リクルート社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、急成長中のアカツキ社で人事企画室を立ち上げる。2020年、「人事の意志を形にする」ことを目的として壺中天を設立。 20年間、人事領域を専門分野としてきた実践経験を活かし、人事制度設計、組織開発支援、人事顧問、人材マネジメント講座などによって、企業の人材マネジメントを支援している。 主な著作『人材マネジメントの壺 ARCHITECTURE』(2018)、『人材マネジメントの壺DEVELOPMENT』(2018)など。

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