見出し画像

日本の優良・長寿企業の特徴は?『図解 人材マネジメント入門』【無料公開#27】

電子版5月28日、書籍版6月26日発売の『図解 人材マネジメント入門』では、人材マネジメントの理解と実践に役立つ100のツボが紹介されています。その中でマネジメントする側・される側双方に役立つ30のツボを、毎日1つずつご紹介していきます。

Q:日本の優良・長寿企業の特徴は?

A:実行変革力、知の創出力、ビジョン共有力という「組織能力」を持つ


世界最古の企業は日本にあります(578年創立の金剛組)。そして世界中の創業200年以上のうち56%は日本企業。実は、日本は長寿企業の数が世界一多い国なのです。
野中郁次郎・リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所『日本の持続的成長企業』から優良・長寿な日本企業の特徴を学びましょう。

3 つの組織能力

調査の結果、優良・長寿企業は業績を向上させる3つの組織能力を持っていました。

実行・変革力:業績に直接影響するのは「実行・変革力」です。決定事項をやりきる「実行力」と、先を見越して変化できる「変革力」からできています。その源泉となっているのは、長期とスピードを両立させるリーダーシップを発揮する「経営トップ層」、理念を理解し現場でイノベーションを推進する「中間管理層」、そして環境変化に柔軟な「組織風土」です。

知の創出力:実行・変革力を支えているのは「知の創出力」です。部門や指示命令系統を超えて動ける「横断展開力」、立場を超えて信頼関係を元に話し合い知恵を出し合う「意思疎通力」、従業員同士の話し合いから生まれる「知の交流力」からできています。知の創出力の源泉は、知を連結する「中間管理職」、誇りを持ち率先行動する「一般社員」、そして多様性と一体感を重視する「組織風土」です。

ビジョン共有力:実行・変革力と知の創出力を底から支えているのは「ビジョン共有力」です。将来のビジョンが決定の背景も含めて語られ、実現に向けた動きが共有されるという能力です。ビジョン共有力の源泉は、ビジョンを体現し浸透させ、現場感覚を持ち変革を推進する「経営トップ層」と、ビジョンをブレークダウンし浸透させる「中間管理職」です。
実際の企業の例を図表086にまとめています。

画像1

3 つの価値基準

同書によれば持続的成長企業は、①社会的使命を重視しながら経済的価値も重視、②共同体意識がありながら健全な競争も共存、③長期志向でありながら現実も直視、といった3つの対立する価値基準をあわせ持っていました。この価値基準が組織能力の整合性と一貫性を担保しているのです。

世のため人のため

「人を持続的に生かせる企業、世のため人のために頑張る企業が持続成長する」という当たり前にこそ、企業のエクセレンスの根源がある、それが同書で定量的・定性的に実証された、と野中郁次郎は言っています。

次回は実践的な組織の活性化について考えます。

<著者プロフィール>

坪谷邦生(つぼたに・くにお)

株式会社壺中天 代表取締役、株式会社アカツキ 人材マネジメントパートナー、株式会社ウィル・シード 人事顧問、中小企業診断士、Certified ScrumMaster認定スクラムマスター。 1999年、立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。2001年、疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。2008年、リクルート社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、急成長中のアカツキ社で人事企画室を立ち上げる。2020年、「人事の意志を形にする」ことを目的として壺中天を設立。 20年間、人事領域を専門分野としてきた実践経験を活かし、人事制度設計、組織開発支援、人事顧問、人材マネジメント講座などによって、企業の人材マネジメントを支援している。 主な著作『人材マネジメントの壺 ARCHITECTURE』(2018)、『人材マネジメントの壺DEVELOPMENT』(2018)など。

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?