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【時間差一夫多妻制!?】300万人の日本人男性は、結婚相手が見つからない

2040年には、独身者が人口の5割になり、既婚者(64歳まで)は3割になる─。
この衝撃的な数字を見て、みなさんはどのように感じたでしょうか。
これからの日本は「一人で生きる」ことが当たり前の社会になる、という予測をテーマに据えて、独身研究の第一人者・荒川和久さんと気鋭の脳科学者・中野信子さんに対談をしていただきました。
その内容をまとめた12月18日発売の『「一人で生きる」が当たり前になる社会』より、第1章「「ソロ社会」化する日本」を無料公開いたします。

日本は高齢者よりも独身者が多い「独身国家」になる

荒川:
若い世代でもソロ(独身)が増えていくでしょうね。以下の図2は20年後の内訳を表した円グラフです。

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円グラフの右側が独身者ですね。2040年には15歳以上の人口が約1億人で、独身が4600万人。有配偶が5200万人ということです。日本は超高齢国家とかいわれていますが、高齢者人口は3900万人ですね。3900万人の高齢者よりも独身の4600万人のほうが多いわけですよ。
だから、実は「日本は高齢国家ではなくて独身国家です」と言えるんじゃないかと思います。そういうことを、この間、経済産業省の方とお話ししたら、「なるほど」と言っていました。お役所は年齢で考えるから、あまり配偶関係で区分けをしないんです。
では、グラフで高齢ソロ男と高齢ソロ女の数字を見てみましょう。高齢ソロ男は490万人、高齢ソロ女は1260万人ですね。

中野:
有名な話ですよね。独身の高齢男性の寿命が短いのは、おそらく配偶者と死別したからでしょう。死別したのちの男女の平均余命が違うからですね?

荒川:
妻と離別や死別をすると、男性は余命が短くなります。逆に、女性は強いということですよね。
当然ながら、未婚者も増えます。最近では、「生涯未婚率」という言葉は「50歳時未婚率」に変わりました。たぶん、「生涯未婚と言うんじゃない!」というクレームが入ったんだと思うんですよね。「50歳を超えても結婚できる人もいるだろう。可能性はある。だから生涯未婚なんて言うな!」みたいなクレームが。

中野:
どこから入ったんですか?(笑)

荒川:
わかりませんが、一般人から官庁にクレームが入って、厚生労働省が使うのをやめたと勝手に推測しています。僕に言わせると、50歳を超えて結婚できる割合は1%もないですから、生涯未婚と言ってもいいと思いますけどね。

図3のとおり、2015年の男性の未婚率は23%、女性が14%。2040年には、男性3割、女性2割です。男性の3人に1人、女性の5人に1人は生涯未婚となります。

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300万人の日本人男性は、結婚相手が見つからない

中野:
これは、結婚における男性の格差社会が訪れているということですね。男性は何回も結婚する人と、結婚しない人に分かれる。女性はそうでもないという事実。

荒川:
そうです。男性は再婚相手に初婚の女性を選び、再婚女性は再婚の男性を選ぶ。なので僕は、これはもはや「時間差一夫多妻制」だと言っています。離婚・再婚を繰り返す人は何回も結婚するのに、1回も結婚できない人はずっとできない。

中野:
この傾向は確か、北欧でもっと顕著だと聞きました。男性は裕福な人が何回も結婚する。一方で、一夫ゼロ妻男性が多い。つまり、男性社会の格差が拡大し、男性どうしの間に戦いが訪れているというわけですね。

荒川:
実際、今もそうなっていますよね。300万人の男性は、どうあがいても結婚相手がいないという状況がある。図4のとおり、未婚男性と未婚女性の各年齢別の人口差があります。この差分を見ると、各年齢で男がはるかに多い。ずっと「男余り」です。

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それが逆転して「女余り」になるのは75 歳ですが、これは、おじいちゃんになると急にモテるわけではなく、悲しいかな、男が先に死ぬからです。生きているうちはほとんど「男余り」ということですよ。累計すると、340万人の男は余っていく。20代〜30代でもすでに145万人余っているというのが「男余り現象」。ちなみに、中国は3000万人以上の男が余っていますよ。

中野:
それはすごい。男性だけで一つの国ができちゃう規模ですね。東京都の人口も上回っている。いろいろな事情で結婚をしない人がそれだけ多くいるわけですね。

荒川:
やはり中国が一番多いのかなと思って調べたら、インドはさらに上でした。余っている男が5000万人です。アメリカも900万人くらい男余りですね。全世界合わせると、2億人くらいの未婚男性が余るといわれています。余った男だけで国をつくれますね。

12月27日公開の 【都道府県別MAPあり】全国でいちばん男性があまっている県は何県か? に続きます。


著者紹介

荒川和久
独身研究家/マーケティングディレクター。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。韓国、台湾などでも翻訳本が出版されるなど、海外からも注目を集めている。著書に『結婚しない男たち―増え続ける未婚男性「ソロ男」のリアル』(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会―「独身大国・日本」の衝撃』(PHP新書)など。

中野信子
1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士、認知科学者。東京大学工学部応用化学科卒業。同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に勤務後、帰国。現在、東日本国際大学教授。著書に『ペルソナ』(講談社現代新書)、『サイコパス』(文春新書)、『キレる!』(小学館新書)、『悪の脳科学』(集英社新書)、『空気を読む脳』(講談社+α新書)ほか。
テレビ番組のコメンテーターとしても活躍中。

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