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組織開発とは何か?『図解 人材マネジメント入門』【無料公開#22】

電子版5月28日、書籍版6月26日発売の『図解 人材マネジメント入門』では、人材マネジメントの理解と実践に役立つ100のツボが紹介されています。その中でマネジメントする側・される側双方に役立つ30のツボを、毎日1つずつご紹介していきます。

Q:組織開発とは何か?

A:行動科学を応用して組織内のプロセスを変革することで組織の効果性を高める計画的な取り組み


組織開発とは何か?

今回から10回は組織開発(Organization Development 略称OD)について考えます。
さて組織開発とは何でしょうか?人材開発とはどう違うのでしょう。
実は人材開発と組織開発の領域は大きく重なっており、特に日本では意識しないままに組織開発的な取り組みが行われていることも多く、あまり区別はつけられていないと言えます。私も人材開発と何が違うのか、はじめはよく分からず「組織開発」という単語が出るたびに混乱していました。
そこで領域を体系化し意識的に取り出して学ぶことに意味があると考え章を立てました(図表081参照)。

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組織開発の定義

まずはその定義を見てみましょう。組織開発は1950年代後半にアメリカで発祥しました。リチャード・ベッカード、ワーリック、エドガー・シャインなどが定義していますが、それらに共通しているのは「行動科学を応用する」「組織内のプロセスを変革する」「組織の効果性を高める計画的な取り組み」の3点です。

「行動科学(behavioral science)」とは、人間の行動を科学的に研究しその法則性を解明しようとする学問です(心理学、社会学、人類学、精神医学などが含まれます)。組織開発ではこれを応用して用います。特に人と人の間のコミュニケーションや意志決定のメカニズムに焦点を当てています。

「組織内のプロセスの変革」とは、過程や工程を変えて効果を高めることです。代表的な例としてはトヨタ社の「かんばん方式」があります。部品に関する情報を表した「かんばん」を用いて、何が使われたかを相手に伝わるように工程を変えたことで、生産効率が大きく向上しました。

最後に組織開発は「組織の効果性を高める効果的な取り組み」です。人材マネジメントの目的は「人を生かすことで組織の中長期の成果をあげること」ですので、組織開発も目指す目的は同じであると言えそうです。

人材開発と組織開発の違い

さて、では人材開発と組織開発の違いはなんでしょうか? 
人材開発では「人」の能力が開発する対象でしたが、組織開発では人と人の間にある「関係性」や「プロセス」が開発する対象です。ここが大きく異なります。

次回は、組織開発とよく似た概念である「チェンジ・マネジメント」と比較することで「組織開発」の特徴を捉えてみます。

<著者プロフィール>

坪谷邦生(つぼたに・くにお)

株式会社壺中天 代表取締役、株式会社アカツキ 人材マネジメントパートナー、株式会社ウィル・シード 人事顧問、中小企業診断士、Certified ScrumMaster認定スクラムマスター。 1999年、立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。2001年、疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。2008年、リクルート社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、急成長中のアカツキ社で人事企画室を立ち上げる。2020年、「人事の意志を形にする」ことを目的として壺中天を設立。 20年間、人事領域を専門分野としてきた実践経験を活かし、人事制度設計、組織開発支援、人事顧問、人材マネジメント講座などによって、企業の人材マネジメントを支援している。 主な著作『人材マネジメントの壺 ARCHITECTURE』(2018)、『人材マネジメントの壺DEVELOPMENT』(2018)など。

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