見出し画像

組織を活性化させるには?『図解 人材マネジメント入門』【無料公開#28】

電子版5月28日、書籍版6月26日発売の『図解 人材マネジメント入門』では、人材マネジメントの理解と実践に役立つ100のツボが紹介されています。その中でマネジメントする側・される側双方に役立つ30のツボを、毎日1つずつご紹介していきます。

Q:組織を活性化させるには?

A:秩序を壊し秩序を作る循環のプロセスを持つ


大沢武志『心理学的経営』によれば「実際に組織を活性化させるということは、きれいごとではない」ものです。「ドロドロした、汗と泥にまみれた葛藤の中にこそ、その原動力」があります。
キーワードは「カオス」。秩序を作って秩序を壊すエネルギーこそが活性化の源です(図表087)。

画像1

カオスと自己否定

活性化している組織は「カオス(無秩序)」の状態にあります。

変化に対応するために、これまで学んだものや、既成概念を捨て去る「自己否定」という特徴があります。長い時間をかけて環境に適応し、成功体験を積み上げてきた組織は、その学習を習慣や常識として浸透させています。これらは貴重な経営資源なのですが、組織が変化に対応し進化するときには逆に障害となります。

自己否定とは、既成の価値体系や暗黙の行動規範への疑問の提示、過去の成功体験の否定、現状の厳しい批判です。それによって自己革新を可能にする風土が作られていきます。

既成の秩序を自ら壊す危機感と緊張に満ちた「カオス状態」こそが活性化の始まりです。

自己組織化による秩序化

組織活性化は自己否定から始まりますが、人間はこのような心の不協和を維持し続けることができません(認知的不協和の理論)。

人間の行動は認知体系を構成する諸要素が矛盾なく整合するように自律的に調整されていきます。無秩序な状態から秩序を回復する「自己組織化」が起きるのです。

活性化した組織は、秩序を作って秩序を壊すサイクルを持っています。既存の秩序に安住せず自己否定して秩序を壊し、自己組織化によって秩序を作る、そしてまた秩序を壊す。その循環のエネルギーこそが組織活性化です。

不活性な組織

逆に不活性な組織とはどんなものでしょうか? 

それは固定化した階層組織、型にはまった役割、規則・制度・ルールなどで「管理」された組織です(M.ウェーバーの言う官僚制組織)。

無駄を排除して効率化を志向すると、情緒やエネルギーは押し殺されてしまいます。
不活性組織は過去の成功に安住し、外部に対し閉鎖的になり、既成の価値観や形式に拘泥してしまうという特徴を持っています。
そうなってしまわないよう「カオスに身をさらせ」これが組織活性化に向けた大沢武志からの力強いメッセージです。

次回は、自律的なチームについて考えていきます。


<著者プロフィール>

坪谷邦生(つぼたに・くにお)

株式会社壺中天 代表取締役、株式会社アカツキ 人材マネジメントパートナー、株式会社ウィル・シード 人事顧問、中小企業診断士、Certified ScrumMaster認定スクラムマスター。 1999年、立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。2001年、疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。2008年、リクルート社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、急成長中のアカツキ社で人事企画室を立ち上げる。2020年、「人事の意志を形にする」ことを目的として壺中天を設立。 20年間、人事領域を専門分野としてきた実践経験を活かし、人事制度設計、組織開発支援、人事顧問、人材マネジメント講座などによって、企業の人材マネジメントを支援している。 主な著作『人材マネジメントの壺 ARCHITECTURE』(2018)、『人材マネジメントの壺DEVELOPMENT』(2018)など。

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?