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仕事にやりがいを持たなければダメなのか?『図解 人材マネジメント入門』【無料公開#20】

電子版5月28日、書籍版6月26日発売の『図解 人材マネジメント入門』では、人材マネジメントの理解と実践に役立つ100のツボが紹介されています。その中でマネジメントする側・される側双方に役立つ30のツボを、毎日1つずつご紹介していきます。

Q:仕事にやりがいを持たなければダメなのか?

A:無理にやりがいを持つ必要はない


『「やりがいのある仕事」という幻想』

「やりがいのある仕事」のことを幻想だと言い切っているアンチな本をご紹介します。作者の森博嗣は、大学准教授だったため学生や卒業生から仕事についての悩みをよく相談をされたのだそうです。この『「やりがいのある仕事」という幻想』という本は、そんな悩める若者たちに向けて書かれた本ですが、働く人にとっても人材マネジメントに関わる我々にとっても参考になる内容だと感じました。森博嗣は悩む学生たちをこう見ています。

昔は悩む暇などなかっただけのことで、今は、悩めるだけでも豊かになった証拠では、と認識しているけれど、それを書いたら身も蓋もないか(書いたが)。

そう、森博嗣は身も蓋もない人です。この仕事論もアンチだけど鋭く、そこがとても刺激的でした。仕事のやりがいについて、考えすぎて行き詰まったときに読むと頭に違う風が吹くと思います。少し引用してみましょう。

「仕事は楽しいものだ」「仕事を好きにならなくてはいけない」という幻想を持っていると、ちょっとした些細なことが気になって、「なんとかしなければ気持ちが悪い」と悩んでしまう。僕が、相談を受けるものの多くは、これだった。つまり、苦労と賃金を比較するというよりは、理想と現実を比較しているのである。さらに分析すると、その理想というのは、勝手に妄想していたものだし、また、現実というのも、よく観察された結果ではなく、勝手に思い込んでいるものにすぎない。

人は働くために生きているのではない

この本の一貫した主張は「人は働くために生きているのではない」だから「仕事に(無理に)やりがいを見つける必要はない」ということです。
そんなことで悩まず、もっと自由に生きてはどうかと(その先に、本質的なやりがいがあると)。

「やりがい」に囚われる不自由

他者の前提を無条件に受け入れる囚われた思考は不自由だと森博嗣は言います(図表039)。

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仕事には「やりがい」が必要だという前提に囚われているのはとても不自由なことです。
そして、その前提に乗っていれば会社から「やりがい」が与えてもらえると思い込んでいる人は、決して「やりがい」に辿り着かないでしょう。
迷いながらも自らオール(甲斐)をもって漕いだ先にのみ、それはあるのではないでしょうか。

次回はこれからの仕事のやりがいについて考えます。

<著者プロフィール>

坪谷邦生(つぼたに・くにお)

株式会社壺中天 代表取締役、株式会社アカツキ 人材マネジメントパートナー、株式会社ウィル・シード 人事顧問、中小企業診断士、Certified ScrumMaster認定スクラムマスター。 1999年、立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。2001年、疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。2008年、リクルート社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、急成長中のアカツキ社で人事企画室を立ち上げる。2020年、「人事の意志を形にする」ことを目的として壺中天を設立。 20年間、人事領域を専門分野としてきた実践経験を活かし、人事制度設計、組織開発支援、人事顧問、人材マネジメント講座などによって、企業の人材マネジメントを支援している。 主な著作『人材マネジメントの壺 ARCHITECTURE』(2018)、『人材マネジメントの壺DEVELOPMENT』(2018)など。

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