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誰がどのように組織開発を行うべきなのか?『図解 人材マネジメント入門』【無料公開#24】

電子版5月28日、書籍版6月26日発売の『図解 人材マネジメント入門』では、人材マネジメントの理解と実践に役立つ100のツボが紹介されています。その中でマネジメントする側・される側双方に役立つ30のツボを、毎日1つずつご紹介していきます。

Q:誰がどのように組織開発を行うべきなのか?

A:人事部門が個人の人材開発を、現場は技術的働きかけを、経営は組織全体の戦略的働きかけと組織構造を担う


組織開発の手法

組織開発の手法を見ていきましょう。
以下はアメリカの大学院でよく教科書として使われている『Organization Development & Change』(Cummings & Worley, 2009)による分類です。

1. ヒューマンプロセス(人と人の間)への働きかけ:コミュニケーション、人間関係、風土の問題を様々な手法で解決する。プロセス・コンサルテーション、チーム・ビルディングなど。
2. 人材マネジメントによる働きかけ:狭義での人材マネジメント(Human Resource Management)。目標設定、評価などを通じて組織開発を行う。
3. 技術・構造的働きかけ:仕事のやり方、組織のデザインに対して働きかける。
4. 戦略的働きかけ:戦略的な変革、合併、提携など、ビジョンと戦略を明確にして働きかける。

組織開発を担当する部門

それぞれの手法は誰が担当するのでしょうか。
部門の役割を考えていきます。図表083をご覧ください。

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図の左側、個人の領域「人材マネジメントへの働きかけ」は人事部門が担当します。図の中央下側、部門/ チームの制度・構造「技術的働きかけ」については現場の品質管理・業務改善・TQM推進部門などが担当します。図の右上、組織全体の「戦略的働きかけ」、そして右下の「構造的働きかけ」は役員会議・経営企画・経営戦略部門などの機能が担当します。

どこも担当していない「隙間」が存在する

さて、点線になっている領域に着目してみましょう。ここは多くの日本企業で手がつけられていない領域です。

まず中央とその右側「ヒューマンプロセスへの働きかけ」。アメリカには組織開発部門が伝統的にありチームビルディングなどの支援をしてくれますが、日本にはありません。上段中央、部門/チームの「戦略的働きかけ」も空いています。

会社全体の戦略の下、自部署は何をするか「戦略にチームの意思を込める」ことを支援する機能も日本企業にはありません。経営企画部門が戦略の落とし込みまではやっていますが、具体的な進め方は部署に一任されています。この先、これらの「機能の隙間」を人事部門が担っていくことが期待されています。人事にできることがまだまだありそうです。

次回は企業の目指すミッション・ビジョン・バリューについて考えます。

<著者プロフィール>

坪谷邦生(つぼたに・くにお)

株式会社壺中天 代表取締役、株式会社アカツキ 人材マネジメントパートナー、株式会社ウィル・シード 人事顧問、中小企業診断士、Certified ScrumMaster認定スクラムマスター。 1999年、立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。2001年、疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。2008年、リクルート社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、急成長中のアカツキ社で人事企画室を立ち上げる。2020年、「人事の意志を形にする」ことを目的として壺中天を設立。 20年間、人事領域を専門分野としてきた実践経験を活かし、人事制度設計、組織開発支援、人事顧問、人材マネジメント講座などによって、企業の人材マネジメントを支援している。 主な著作『人材マネジメントの壺 ARCHITECTURE』(2018)、『人材マネジメントの壺DEVELOPMENT』(2018)など。

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