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なぜ不満に思われても人事評価を行わなくてはならないのか?『図解 人材マネジメント入門』【無料公開#2】

電子版5月28日、書籍版6月26日発売の『図解 人材マネジメント入門』では、人材マネジメントの理解と実践に役立つ100のツボが紹介されています。その中でマネジメントする側・される側双方に役立つ30のツボを、毎日1つずつご紹介していきます。

Q:なぜ不満に思われても人事評価を行わなくてはならないのか?

A:処遇による格差の根拠を明確にするため


人事評価に不満はつきもの

世の中の半数程度の社会人は人事評価に不満を持っているそうです(『人事評価制度に対する意識調査』(2017/5/26、リクルートマネジメントソリューションズ))。
私も毎年数多くの評価面談に同席しますが、涙を見ない年はありません。
先日も、優秀な若手社員が「僕は、評価されるために仕事をしているわけではありません!」と強い口調で言い切ったシーンに立ち会いました。
さあ困ったな、と思いながらも彼の気持ちもわかる気がしました。
私自身も他者から評価されることに葛藤してきたからです。

「仕事をやってもやらなくても同じ」という悪平等をなくすもの

では、そんな不満を与えながらも企業が人事評価を行うのはなぜでしょうか? 
それは「仕事をやってもやらなくても同じ」という悪平等を回避するためです。
評価が嫌だ。その気持ちはわかりますが、ではどうなれば嬉しいのでしょうか? 
人事や経営層が直観で給与を決めた方が良いのでしょうか?(直観も厳密にいえば評価です)。
そして給与以外の処遇に必ず差はつきます。
例えば仕事のアサインや勤務地などにおいて完全に同じ条件(処遇)は不可能です。
それらを何の根拠をもって行えば良いのでしょうか。
処遇には必ず格差がある。それを決める根拠が評価結果です。
ごまかさず、何によって差をつけるかを明確にしている企業こそ誠実ではないでしょうか。

人材マネジメントにおける判断の根拠となる

図表011 は人事評価が他の機能とどう繋がっているかを示しています。

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人事評価が人材マネジメントの中心にあり、その結果が他の要素に強い影響を持っていることがわかります。
人事評価の結果は人材マネジメントにおける判断の根拠となる情報なのです。

次回は、人事評価の目的について確認します。



<著者プロフィール>

坪谷邦生(つぼたに・くにお)

株式会社壺中天 代表取締役、株式会社アカツキ 人材マネジメントパートナー、株式会社ウィル・シード 人事顧問、中小企業診断士、Certified ScrumMaster認定スクラムマスター。 1999年、立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。2001年、疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。2008年、リクルート社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、急成長中のアカツキ社で人事企画室を立ち上げる。2020年、「人事の意志を形にする」ことを目的として壺中天を設立。 20年間、人事領域を専門分野としてきた実践経験を活かし、人事制度設計、組織開発支援、人事顧問、人材マネジメント講座などによって、企業の人材マネジメントを支援している。 主な著作『人材マネジメントの壺ARCHITECTURE』(2018)、『人材マネジメントの壺DEVELOPMENT』(2018)など。

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