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やりがいある仕事のために必要なことは?『図解 人材マネジメント入門』【無料公開#18】

電子版5月28日、書籍版6月26日発売の『図解 人材マネジメント入門』では、人材マネジメントの理解と実践に役立つ100のツボが紹介されています。その中でマネジメントする側・される側双方に役立つ30のツボを、毎日1つずつご紹介していきます。

Q:やりがいある仕事のために必要なことは?

A:「中核五次元」を満たした仕事を設計すること


どうやってやりがいのある仕事を作れば良いのでしょうか。「仕事の報酬は仕事」という言葉が社内共通言語となっているリクルート社から学んでみましょう。

ハックマンとオルダム「職務設計の中核五次元」

『心理学的経営』はリクルート社の人事役員として組織文化を作ってきた大沢武志による実践書です。同書では仕事を設計する原則としてハックマンとオルダムの「職務設計の中核五次元」をあげています(図表037)。

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「スキルの多様性」「タスクアイデンティティ」「仕事の有意義性」「自律性」「フィードバック」。
この5つを満たす仕事は「やりがい」が高まる可能性が高いのです(ただし当人の能力と技能が著しく低い場合、成長への欲求が弱い場合、賃金や作業条件など環境条件に不満を持っている場合には、やりがいは高まりません)。
私はコンサルタントとして数十社の仕事を分析してきましたが、この中核五次元は業界・企業規模・職種にかかわらず共通していると感じています。

「若者を仕事に駆り立てる」心理的条件

同書は「なぜリクルート社の社員はそんなに元気なのか?」という世の中の問いに答えて書かれたものです。その「若者を仕事に駆り立てる」秘訣とも言える心理的条件が次のとおり示されています。

自己有能性:挫折感や自身の喪失などの葛藤を乗りこえ自己効力感を体験できること
自己決定性:自由裁量の幅が大きいだけではなく、自己責任性を伴うこと
社会的承認性:努力、苦労、成果が認められることで心理的充足と情緒的安定を得ること

自己効力感、自己裁量、自己責任、心理的充足、情緒的安定…。
昨今も流行として耳にする言葉たちですが、40年以上前から日本企業であるリクルート社で実践されてきたのですね。
まさに変わらぬ原則(不易)であると言えるのではないでしょうか。

次回はやりがいと似た概念である「モチベーション」の高め方を考えます。

<著者プロフィール>

坪谷邦生(つぼたに・くにお)

株式会社壺中天 代表取締役、株式会社アカツキ 人材マネジメントパートナー、株式会社ウィル・シード 人事顧問、中小企業診断士、Certified ScrumMaster認定スクラムマスター。 1999年、立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。2001年、疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。2008年、リクルート社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、急成長中のアカツキ社で人事企画室を立ち上げる。2020年、「人事の意志を形にする」ことを目的として壺中天を設立。 20年間、人事領域を専門分野としてきた実践経験を活かし、人事制度設計、組織開発支援、人事顧問、人材マネジメント講座などによって、企業の人材マネジメントを支援している。 主な著作『人材マネジメントの壺 ARCHITECTURE』(2018)、『人材マネジメントの壺DEVELOPMENT』(2018)など。

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