見出し画像

男性の育児休業について考えてみた。


1.男性育休とは

男性育休とは、配偶者の出産・育児のタイミングで男性が子育てのために取得する休業を指します。
2021年に育児・介護休業法が改正され、2022年10月から新たに出生時育児休業(産後パパ育休)の制度が創設されました。この改正により男性も取得できる権利が明確化されたことで大きな注目を集めています。

・男性が育児休業を取得できる期間

男性の場合、育児休業は子の出生の日から取得できます。

特に子の出生後8週間以内に4週間までの期間は出生時育児休業として取得でき、2回まで分割で取得可能です。これにより、産院での付き添いや官公署への手続きのための休みが取りやすくなるほか、退院後にこれからの育児を含めた生活の基礎を共に築けるようになりました。

また、上記の出生時育児休業とは別に、子が1歳になるまでの期間は育児休業を取得できます。この育児休業についても分割取得が可能であり、育児休業の開始時期も柔軟に設定できるようになっています。

さらに、配偶者も育児休業を取得している場合、後から育児休業を開始した人の育児休業を子が1歳2カ月になるまで延長できます。この制度を「パパ・ママ育休プラス」といいます(参照:育児・介護休業法のあらまし 両親ともに育児休業をする場合(パパ・ママ育休プラス)の特例|厚生労働省)。

なお、子が1歳時点で保育所への入所ができないなど一定の要件を満たす場合は、男性であっても最長2年まで育児休業を延長可能です。

2.企業が男性育休を推進するメリット

企業が男性の育児休業を推進するメリットには次のようなものがあります。

● 社員のワーク・ライフ・バランスが向上し、定着率アップにつながる
● 「働きやすい企業」のイメージアップにつながり、採用に有利になる
● 業務の属人化を低減させ、業務量・バランスの標準化につながる

しかし、育児休業に関しては世論の関心の高いテーマでもあるため、企業のリスクマネジメント上はメリットに関わらず積極的に取り組む姿勢が重要です。

・推進することによって助成金も

企業は育児休業を推進するために、両立支援等助成金を活用できます。この助成金は中小企業に勤める労働者が育児休業を取得した場合に支給されるもので、出生時両立支援コース、育児休業等支援コースが利用できます。

例えば、男性労働者が出生時育児休業を取得した場合には20万円が、男女問わず育児休業を取得・復帰した場合は60万円が企業に支給されます(参照:2023年度 両立支援等助成金のご案内|厚生労働省)。

実際、株式会社DIPSでも、過去3名の男性社員が育児休業を取得しており、厚生労働省、東京都、千代田区、それぞれの助成金で合計150万円ほど受給しております。

3.労働者側から見た男性育休

・男性労働者が育休を取得するメリット

男性労働者が育児休業をすることで得られるメリットには下記のようなものがあります。

● 出産を終えたパートナーの心身のケアができ、子育てでのストレスを軽減できる
● 配偶者とともに子を迎えての生活基盤の構築、ルールメイクをすることができる
● 配偶者の職場復帰の意向に沿った育児休業のスケジュール調整ができる
● 育児者という視点を得ることで公私ともに視野を広げることができる
● 育児を通した新しいコミュニティーの獲得で人間関係を広げることができる
● タイムマネジメント意識が育ち、時間あたりの生産性向上が期待できる

もちろん、育児に関わることは単純なメリット・デメリットで考えるべきことではありません。しかし、生まれてきた子どもを含め生活の基盤を配偶者とともにつくることができることは、その後の男性の育児参加や女性の就労スタイルなどに大きな影響を及ぼします。取得にあたっては配偶者ともよく相談して休業を迎えることが望ましいでしょう。

・最大67%の給付金の支給&社会保険料の免除制度

こうした育児休業期間中について、実は経済的な支援策も充実しています。

出生時育児休業の期間中は、パパ・ママ育休プラスによって延長された期間も含めて育児休業給付金が支給されます。育児休業給付金の受給要件などは原則として下記のとおりです。なお、本人に疾病などがある場合や育児休業期間中に会社から受けている給与がある場合は一定の減額がおこなわれることがあるため、詳細はリーフレットを確認してください。

4.男性育休への課題

日本の育児休業に関する制度は世界でもトップクラスの手厚さで知られています。しかし、実際には過去最高の取得率となった2021年度でも13.97%にとどまり、また取得日数も2週間未満での取得が全体の51.5%に達しており、男性が育児休業を取得するにあたっては課題があるのが現状です(参照:育児・介護休業法の改正について|厚生労働省)。その理由として次のような要素が考えられます。

(1)収入が減額することへの抵抗感

育児休業期間中は原則として無給である場合が多く、かつ、子どもが生まれて生活費の負担が増えることから、経済面の不安を感じる男性が多いようです。前掲の資料でも男性の正社員労働者が育児休業を取得しなかった理由のうち、最も多いものとして「収入を減らしたくなかったから」が挙げられています。

(2)職場の理解がない、取得しにくい雰囲気がある

男性の育児休業取得について、職場からの積極的な働きかけやサポートがないと取得しづらいという現状もあります。自分の抱える業務量が多く休業することで周囲に迷惑をかけそうだという懸念から、やむなく申請自体を諦めている場合もあります。日頃から残業が多く、人手不足の部署で働いている男性や、自分だけが担当している業務が多い男性は、周囲への配慮や実際の職場の人員配置上、育児休業を取得しにくいという課題があります。

5.男性育休の課題解決のためにできること

ここからは、上記の課題に対し男性が育児休業を取得するためにできることを労働者と企業の立場からそれぞれ見ていきます。

(1)労働者の場合

まず、自身が休業を希望する場合は周囲に対しその旨を積極的に発信することが重要です。ここで心がけたいのが、育児休業が法律で保障された権利であることを振りかざすだけでは職場の理解が得にくいため、引き継ぎの候補者選定や実際の引継ぎの時間も含めて早めに動くことです。さらに、育児休業給付金の受給額の計算をするなど、休業による所得の減額が実際にどの程度になるかも見積もっておくといいでしょう。

また、周囲に取得希望者がいる場合は可能な限りフォローすることを宣言し、休業を後押しすることも大切です。育児だけではなく、介護や自身の傷病などの可能性も考慮しながら突発的な休業に対してカバーしあえる体制をつくっておくことが望まれます。

(2)企業の場合

男性の育児休業については、経営側の積極的な発信が何より重要です。また、組織的に従業員が不在になることを想定した体制を整えるなど、取得を申し出やすい雰囲気をつくることも求められます。そのためにも日頃から自社の労働者が抱える業務量・内容を把握するとともに、仕事の進め方の見直しや労働者一人一人の多能工化を進めるなどの取り組みをおこなうことが期待されます。

そのためにも経営者や管理職は男性の育児休業について正しく理解し、日々知識をアップデートすることが必要です。また、定期的に自社の労働者の育児休業取得率が伸びない原因の把握をすることも効果があります。

6.まとめ(個人の見解含む)

時代の流れというのもありますが、男性で育児休業を取得する社員が増えたように思います。
中小企業は、少数精鋭で行っている為、実際長期に渡って育児休業を取得する労働者がいる場合、代替要員を採用しなくてはならず、なかなか長期取得は難しい現状はあります。
そんな中でも期間の短さは関係なく、取得したいと伝えた人が取れている
弊社は良い会社だなと、手前味噌ながら感じます。
感謝感激雨嵐あられです☆

労働者の権利が声高になる昨今。
人事部という立場からすると、少し違和感を感じる事があります。
もちろん、人事という部署は、社員と社長の架け橋にならなくてはならないと思っています。いわゆる、労働者と代表の通訳だと。
人によって考え方は違うと思いますが、私自身は、企業側の立場によった目線が少なからず企業の存続には必要不可欠だと感じます。
日頃の業務の中で、忘れそうになる事もありますが、日々意識しなくてはと思います。

権利だから取得できるという一方的な労働者の立場ではなく、取得したのであれば、それだけ取得できた企業に感謝し、企業に対する貢献を果たすべきだと思うのです。

与えよ、さらば与えられん精神でいきたいものです。