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ファベーラを訪れたきっかけ【ファベーラ滞在記】

読んでいただきありがとうございます。

このマガジンは、ファベーラ(ブラジルのスラム街)の滞在記です。スラム街と聞くとこわい場所のようですが、そうではなく、普通の人が普通に暮らすまち。その面白さを毎回一話完結でご紹介します。

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この文章を読んでくださる方の中には、「そもそも、おまえは誰だ?」と思われた方もいると思います。なので、今回は、僕がファベーラに関わることになったきっかけを簡単に書きます。

最初にブラジルと関わったのは2018年。僕はまだ大学生で、開発学という変わった学問を勉強していました。卒業研究のテーマを探していたら、指導教官の先生が「ブラジルに来ないか?」と誘ってくれたのです。

この先生というのが妙なひとで、定年間近のおじいさんですが、大学のサイトに一人だけサングラスで写っています。母語がスペイン語で、このひとが話すと英語もポルトガル語もぜんぶスペイン語に聞こえる(でも、なぜか伝わる)。あと車の運転が荒いです。速いわけじゃなくて、荒い。一番こわいパターンです。

こんな人の教えてくれる場所ならきっと面白いだろう。ブラジルのことは全然知らなかったけど(サンバ、サッカー、カーニバル?)心配するのはやめて、えいやで行くことにしました。結局はひとが暮らしている場所なんだし行けばなんとかなるだろう、と思ったからです。

元々中南米が好きなのも影響していたと思います。南米の小説が好きで、学生の頃から読んでいました。次々びっくりするような事件が起きたり、自分とぜんぜん考え方が違ったりするところにワクワクしていました。

海外に興味を持ったのは十代の時ですが、理由は自分でも分かりません。学校や教室でそれなりに生きづらさを感じていたからかもしれないけど、それだけではない気もします。

当時から変わっていない思いがあって、それは「世界はもっと自由で、もっとワクワクするようなことがたくさんあるはずだ」という確信めいた感覚です。いろんな場所に行きたいと思うのは、新しい場所にまだ知らないひとや楽しいことが隠れている、と思うからです。

話がそれましたが、要は、学生の頃の調査でファベーラに行ったという話でした。話が決まれば、あとは怒涛のような実務手続き。ブラジルへ行くことになったものの、とにかくビザの手続きが大変でした。今でこそ日本のパスポートは三ヶ月以内ならビザなしで入国できますが、当時は特別なビザが必要で、裁判所や市役所、大使館を回りました。

大きなできごとの前は、そわそわしますよね。人づてに行ったこともなかった国へ行くことになり、しかもその場所は地球の裏側。イマイチ実感の湧かないままスーツケースに荷物を詰めて、パスポートを持って、航空券を発券して。気持ちだけが浮つき、出発の日は着々と近づいてきていました。

旅というのは、受け手の気持ちや状況と、訪れる場所が結びついて生まれるものだと思います。大変な準備や出発前のソワソワがあったからこそ、今も特別な経験になっているんだと思います。

さて、夜も遅いので今回はここまで。次回からは、少しずつトピックをしぼって書いていければと思っています。

今日のところはおやすみなさい。

(おわり)




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