吉川歩

アフリカと日本を行き来しながら暮らしています|1993年生|毎週日曜更新

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固定された記事

自己紹介|本と旅先

(2024.03.31更新) はじめまして、吉川歩(あゆみ)と言います。たくさんあるnoteからこの記事を選んで頂きありがとうございます。noteをはじめて早一年三ヶ月。ここでは…

吉川歩
1年前
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いざはじめての名建築【池袋・自由学園明日館】

今週もこんにちは。暖かい日も増えてきましたね〜 本日は番外篇です。建築好きの友人に誘われて、池袋まで行ってきました。前から見てみたかった建築があるというのです。…

吉川歩
3日前
31

ゆっくり荷造りをはじめる

2024.05.06 月・祝 久しぶりに何もない一日だった。朝起きて、自転車をこいでカフェに行き、珍しく新書を読んだ。日本の農業が今どうなっているかを解説した本で、著者は…

吉川歩
10日前
41

【おすすめ本】50年かけて書く、15年越しに読む(埴谷雄高/死霊)

今週もこんにちは。今日は朝から仕事です。日曜日なのに〜GWなのに〜〜😭 それはさておき。きれいでも小粒な作品より、荒削りでもスケールの大きな作品が好きです。それは…

吉川歩
2週間前
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ボダボダはそこにいる|ウガンダ生活

今週もこんにちは。関東は今週後半から急に暖かくなりました。みなさん、お元気でお過ごしですか。 ウガンダで道を歩いていると、ヒュイッ! と口笛を吹かれることがあり…

吉川歩
3週間前
57

しばらくカツカレー

2024.04.15 月  仕事で帰りが九時を過ぎた。会社を出ると同居人からLINE、明日の朝の食パンが残り一枚なので買ってきてほしいと言う。最寄駅にいくつかあるスーパーはど…

吉川歩
1か月前
43

【おすすめ本】本棚の遠い女性たち(アトウッド/侍女の物語)

今週もこんにちは。関東はよく晴れた週末です🍡 今週の一冊はマーガレット・アトウッド「侍女の物語」(1985年発表)。男性が支配する、出生率の低下した近未来で、自由を…

吉川歩
1か月前
55

アフリカのことばを触る|ウガンダ生活

今週もこんにちは。なんだか今週は疲れました🥱 新年度ですね〜〜 仕事で、一年のうち五ヶ月ほどをウガンダ北部のアチョリという地域で過ごしています。そう話すと、よく…

吉川歩
1か月前
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アジア料理店と引越し病

2024.03.25 月 会社近くの安中華屋が、**楼という店名から漢数字が三つ並んだ不思議な店名に変わっていた。「一二三」とか「七七七」みたいな名前である。メニューや価…

吉川歩
1か月前
52

【おすすめ本】僕が僕になるまでの長い助走(西加奈子/サラバ!・夜が明ける)

今週もこんにちは。日本に帰ってきました。思ったより、寒い! セーターを着ています。 帰路の飛行機と車で西加奈子さんの本を続けて読みました。「サラバ!」(2014年)…

吉川歩
1か月前
47

ピーナッツソースのなぞ|ウガンダ生活

今週もこんにちは。思い立ち、ヘッダをデザイナーさんに作ってもらいました。いい感じです。 さて、今日も今日とてごはんの話。僕はウガンダ北部のアチョリと呼ばれる地域…

吉川歩
2か月前
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朝食にみちばたのチャパティ

2024.03.04 月 アチョリの一年には、四季ならぬ三季がある。二度の雨季と一度の乾季である。目安としては、11~3月が乾季、4~7月が第1雨季、7~11月が第2雨季。3月上旬の今…

吉川歩
2か月前
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【おすすめ本】ことばに追われて、救われて(李良枝/石の聲)

今週もこんにちは。 李良枝(1955-1992)は韓国人の両親を持ち、日本で生まれた作家です。初めて韓国を訪れたのは25歳の時。以降、37歳で夭折するまで、韓国という場所が…

吉川歩
2か月前
48

アフリカ動物ずかん【サファリ旅行記】|ウガンダ生活

今週もこんにちは。関東は三寒四温だと聞いています。みなさんはいかがお過ごしですか。 アフリカで仕事していると「旅行できないの?」とよく聞かれます。でも、一人で働…

吉川歩
2か月前
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この木なんの木、ソーセージの木

2024.02.05 月 日本からお土産でもってきたボールペンをウガンダ人の同僚たちに配った。ペンは青と赤があったが、圧倒的に青が人気で赤が余ってしまった。なぜみんな青を…

吉川歩
3か月前
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【おすすめ本】「わからない」をしりたくて(古井由吉/杳子・妻隠)

今週もこんにちは。関東は今週大雪だったみたいですね。みなさん元気でお過ごしでしょうか。 今回取り上げるのは古井由吉「杳子・妻隠」。古井さんは「杳子」で1971年に芥…

吉川歩
3か月前
41
固定された記事

自己紹介|本と旅先

(2024.03.31更新) はじめまして、吉川歩(あゆみ)と言います。たくさんあるnoteからこの記事を選んで頂きありがとうございます。noteをはじめて早一年三ヶ月。ここでは改めて自己紹介をしたいと思います。 去年、30歳になりました。20代を振り返ると、つくづく冒険の連続でした。名古屋で育ち、北海道に進学。その後は、ブラジルのスラム街やオランダの田舎町、アフリカや中南米の農村。そんな珍しい場所で暮らすことになったからです。 でも旅そのものが好きというよりは旅先で人

いざはじめての名建築【池袋・自由学園明日館】

今週もこんにちは。暖かい日も増えてきましたね〜 本日は番外篇です。建築好きの友人に誘われて、池袋まで行ってきました。前から見てみたかった建築があるというのです。「名建築を見に行く」という発想自体が新鮮でしたが、「名建築」ってわりと一般的な言葉なんですね。とても楽しかったので、今日はその話を。 その名も自由学園明日館。1921年に建設された女子校自由学園の校舎で、設計者は僕でも名前くらいは知っている、近代建築の巨匠アメリカの建築家フランク・ロイド・ライト。現在は重要文化財に

ゆっくり荷造りをはじめる

2024.05.06 月・祝 久しぶりに何もない一日だった。朝起きて、自転車をこいでカフェに行き、珍しく新書を読んだ。日本の農業が今どうなっているかを解説した本で、著者は化学肥料を使わない有機農業を「安全だから」「美味しいから」と手放しに称賛するのではなく、むしろ批判的に「知的で面白いから」という理由で続けている農業人だ。 早めに帰宅して、近所の公園までランニングする。なんか、身体重いなあ。今日は10時半くらいに寝ようかな。 2024.05.07 火 珈琲館に入ったら、お

【おすすめ本】50年かけて書く、15年越しに読む(埴谷雄高/死霊)

今週もこんにちは。今日は朝から仕事です。日曜日なのに〜GWなのに〜〜😭 それはさておき。きれいでも小粒な作品より、荒削りでもスケールの大きな作品が好きです。それはぼくの性格かもしれないし、仕事で効率性や完成度を求められるから、本くらいはのびのび読みたいと思っている反動かもしれません。 今日の一冊は埴谷雄高(1910-1997)の「死霊」(しれい)。著者が36歳で発表し始め、87歳で亡くなる直前までなんと半世紀以上にわたり書き継いだエネルギーの塊のような未完の大作です。

ボダボダはそこにいる|ウガンダ生活

今週もこんにちは。関東は今週後半から急に暖かくなりました。みなさん、お元気でお過ごしですか。 ウガンダで道を歩いていると、ヒュイッ! と口笛を吹かれることがあります。振り返ってみるとバイクの兄ちゃんが親指を立てている。「乗っていかないか?」とボダボダ(バイクタクシー)に誘われているのです。 ボダボダはウガンダ人にとって自転車やバスより身近な移動手段。バイクの後ろに乗って料金を支払い、運転手に好きなところへ連れて行ってもらいます。首都カンパラでは、嘘か本当か、人口150万人

しばらくカツカレー

2024.04.15 月  仕事で帰りが九時を過ぎた。会社を出ると同居人からLINE、明日の朝の食パンが残り一枚なので買ってきてほしいと言う。最寄駅にいくつかあるスーパーはどこも九時で閉まるので、帰り道にローソンへ寄った。 駅から駐輪場までの途中にあるローソンだ。店舗としては小さめで、夜は海外の方とシニアの方の二名体制で回しているようである。なぜか、野菜が安い。この間はピーマンが八個入りで百円(!)だった。 いつもの「超熟」が売り切れていたので4個入りのロールパンを買って

【おすすめ本】本棚の遠い女性たち(アトウッド/侍女の物語)

今週もこんにちは。関東はよく晴れた週末です🍡 今週の一冊はマーガレット・アトウッド「侍女の物語」(1985年発表)。男性が支配する、出生率の低下した近未来で、自由を奪われ、囚われの身となった女性たちの戦いを描いたディストピア小説です。 アトウッドは元々詩人としてデビューしたカナダの作家。1939年生まれの大ベテランですが、80歳だった2019年に(!)、本書の続編「誓願」でイギリス最高峰の文学賞ブッカー賞を受賞しています。 ▼▼今回の本▼▼ 本作のフォーカスは「女性」

アフリカのことばを触る|ウガンダ生活

今週もこんにちは。なんだか今週は疲れました🥱 新年度ですね〜〜 仕事で、一年のうち五ヶ月ほどをウガンダ北部のアチョリという地域で過ごしています。そう話すと、よく聞かれるのは「英語は通じるの?」ということ。はい、英語は通じます。でも、それとは別に現地語もある。 現地語を少しでも話せると「おまえしゃべれるのか!」とみんな喜んでくれるのが嬉しくて、ちょこちょこ勉強しています。 それがアチョリ語。話者100万人弱と言われるマイナー言語です。 正しい書き方がないことば アチョ

アジア料理店と引越し病

2024.03.25 月 会社近くの安中華屋が、**楼という店名から漢数字が三つ並んだ不思議な店名に変わっていた。「一二三」とか「七七七」みたいな名前である。メニューや価格はそのまま(例:豚肉ときくらげの炒め物定食八〇〇円)で、変わったのは名前と看板だけだった。ビルの二階にあり、窓がなく、床が少しべたべたしていて、全席喫煙可で、ランチを頼むとまずレタスと大根のサラダが出てくる店だ。 同じ日の夜、ランニングしたら、別の場所にあったインド料理屋がいつも走るコースの途中に移転して

【おすすめ本】僕が僕になるまでの長い助走(西加奈子/サラバ!・夜が明ける)

今週もこんにちは。日本に帰ってきました。思ったより、寒い! セーターを着ています。 帰路の飛行機と車で西加奈子さんの本を続けて読みました。「サラバ!」(2014年)と「夜が明ける」(2021年)です。西さんは「サラバ!」で第152回直木賞を受賞しています。 「サラバ!」は主人公の歩(あゆむ)の一風変わった家族や友人、恋愛や成長を描いた長篇小説。「夜が明ける」は主人公の「俺」とその親友アキの人生を貧困や過重労働をテーマに描いた作品です。 ▼▼今回の本▼▼ 個性的な「サラ

ピーナッツソースのなぞ|ウガンダ生活

今週もこんにちは。思い立ち、ヘッダをデザイナーさんに作ってもらいました。いい感じです。 さて、今日も今日とてごはんの話。僕はウガンダ北部のアチョリと呼ばれる地域にいますが、常々書いているとおりここは料理がバリエーション豊富。薄味で日本人の口にも合うおいしさです。 そんなアチョリ料理に欠かせないのがオディと呼ばれるラッカセイ(ピーナッツ)&ゴマを挽いて作るペースト。野菜や魚、肉を煮たりするのに使いますが、一口にオディといってもいろんな種類があります。図にまとめたものがこちら

朝食にみちばたのチャパティ

2024.03.04 月 アチョリの一年には、四季ならぬ三季がある。二度の雨季と一度の乾季である。目安としては、11~3月が乾季、4~7月が第1雨季、7~11月が第2雨季。3月上旬の今はマンゴーの木が小さな緑の実を、ネムノキが蝋燭のような赤い花をつけている。ねむの花は乾季の終わりに咲くんだよ、と地元の人に言われた。 まだ乾季のはずなのに、最近は毎日のように雨が降る。空気も湿っぽく、洗面所に干した洗濯物が乾かない。ちなみに、ウガンダでは乾季の終わりを告げるネムの花は俳句だと夏

【おすすめ本】ことばに追われて、救われて(李良枝/石の聲)

今週もこんにちは。 李良枝(1955-1992)は韓国人の両親を持ち、日本で生まれた作家です。初めて韓国を訪れたのは25歳の時。以降、37歳で夭折するまで、韓国という場所が彼女の創作の源泉になりました。100回目の芥川賞も受賞しています。 本作「石の聲」はそんな彼女が残した最後の作品です。未完で、20歳の在日韓国人であり詩人のスイルの葛藤を描いた1章のみが完成稿になっています。 ▼▼今回の本▼▼ 本作のキーのひとつは、日本で生まれ育った韓国人の主人公スイルと韓国の微妙

アフリカ動物ずかん【サファリ旅行記】|ウガンダ生活

今週もこんにちは。関東は三寒四温だと聞いています。みなさんはいかがお過ごしですか。 アフリカで仕事していると「旅行できないの?」とよく聞かれます。でも、一人で働いているわけではないので、自由には動けない。何よりなかなか忙しいです。それでもたまにはと、先日、マーチソン・フォールズ国立公園を訪れました。 下図の青塗りの部分。ウガンダは日本より30%くらい小さいですが、存在感があります。中央を通っているのはナイル川。少し前までは川の南北で生態系が違っていたけど、最近はそうでもな

この木なんの木、ソーセージの木

2024.02.05 月 日本からお土産でもってきたボールペンをウガンダ人の同僚たちに配った。ペンは青と赤があったが、圧倒的に青が人気で赤が余ってしまった。なぜみんな青を選ぶのか聞いたら、青ペンは子供の頃に学校で使うのでなじみがあるそうだ。逆に赤ペンは「採点する先生の色だ」や「裁判官が使う色だ」と言う。「日本だと生徒も赤ペンで自分の解いた問題を採点するよ」と言ったら、驚かれた。 出張のたびに小さなお土産を配るのだが、みんながどう反応するか、観察するのがささやかな楽しみ。チョ

【おすすめ本】「わからない」をしりたくて(古井由吉/杳子・妻隠)

今週もこんにちは。関東は今週大雪だったみたいですね。みなさん元気でお過ごしでしょうか。 今回取り上げるのは古井由吉「杳子・妻隠」。古井さんは「杳子」で1971年に芥川賞を受賞しています。新潮文庫のオビには、ピース又吉さんが「脳が揺れ比喩ではなく実際にめまいを感じました」という応援文を寄せています。 「杳子」は精神を病む杳子と男子大学生の壊れやすい恋を描いた作品。「妻隠」も男女間の機微がテーマですが、こちらは夫婦間で、二人の心の奥深くにあるズレが日常の中で炙り出されていきま