見出し画像

鯉が跳ね、リンゴが占うチェコ・クリスマス

チェコのクリスマス(主に食)の習慣をご紹介する本記事はデンマークにお住まいのひぐちさんが企画された「#Let's シェア!外国のクリスマス」に参加しています。

チェコのクリスマスの食習慣、と言っても簡単にまとめ上げられるものではないし、私が把握してない伝統もまだまだあるはずですが、少しでもお読みになる方の発見につながる記事になればいいなあ、と思います。

マンガ・チェコのクリスマスの食べ物

まず最初に、チェコのクリスマスについてマンガで

の二人が紹介します。
ちなみに、今回は横文字の言葉も多いことから、マンガは横書き、左から右へ(もちろん上から下へ)流れていきます。ご了承ください。

食べ物の名前の訳は意訳です。「クッキー」と訳している「cukroví」は、「お菓子」と訳そうか迷ったのですが、日本語で「お菓子」と言ってしまうととても意味が広いですし、「cukr(砂糖)」の意味を活かして「砂糖菓子」と訳してしまうと、これも何か金平糖のようなものだけをイメージしてしまいそうなので、単に「クッキー」としました。
「vánočka」も、チェコ語で「クリスマス」を意味する「Vánoce」から来ていますが、言葉自体の意味は?と考えると正確には訳しきれない、というのが正直なところなので「クリスマスに焼かれるパン」ということにしました。
鯉のところに書いてある「Vánoční kapr」の直訳は「クリスマスの鯉」です。

Vánoční cukroví

Vanilkové rohlíčky

こちら、マンガの中でレシピを紹介しているお菓子の写真です。墨絵教室の生徒さんが自分で作ったものを持ってきてくれたので撮影させてもらいました。(それで右側に筆が写っています。)
レシピの材料では「ナッツ」と書きましたが、クルミ、ヘーゼルナッツ、アーモンド、と何でもいいみたいです。聞いた話によると、クルミバージョンが一番おいしいそうです。この生徒さんのは絶品でした。本人は「崩れやすいの」と言っていましたが、いい具合にサクサクほろほろ。

他の生徒さんが持ってきてくれたものもお披露目。

持ってきてくれる間にかなりひっくり返ってしまった模様。

もちろん、お店でも売っています。「もう私自分で作るのやめたの」って言う年配の女性も結構いらっしゃいます。クリスマスのパンのほうも同様で、これは手がかかる上に、若い世代が食べたがらないので作るのをやめた、という方もいらっしゃいました。
まるで「お菓子を作るのは当然女性」というニュアンスで書いてしまいましたが、男性でも作る人はいらっしゃいます。

クリスマス鯉の売店・ルポ

チェコに来てすぐ、海がなく魚より肉料理のほうが断然メジャーな国で、クリスマスという大切な伝統行事でわざわざ魚を食べる、というのに驚きました。このクリスマスの鯉、チェコだけではなくスロバキア、ポーランド、オーストリア、アルザス地方などで食べられているそうです。鯉を食べる習慣は中世に、魚はキリスト教の象徴であることから修道院のそばに池を造って鯉を飼い始めたことから始まったとか。
この鯉のフライ(カツ、と言ったほうがイメージが近いかもしれません)のレシピも、19世紀にオーストリアの料理家の出した本に書かれたものから現在までほぼ変わっていないそうです。
これも、特に若い世代は食べたがらない。チェコ人に「クリスマスに鯉食べるの?」と聞くとたいてい「自分は食べない」という返事が返ってきます。でもお父さんが食べるからお母さんは作ってるよ、なんて返事も。でも毎年これだけ鯉の売店が出て、多くの人が買っていきますから、伝統は守り続けられているようです。

では以下、写真と共に鯉売店のルポルタージュです。(写真撮影の許可はいただいたものの、肖像権についてはお話ししなかったので、顔にはモヤがかけてあります。)

撮影させてもらった売店。お兄さん、鯉をさばいているところ。

こんな風に、外で売るわけですが、どこに鯉がいるかというと

売店横の水槽。その中では

鯉が元気に泳ぎ回っています!
この鯉、どのように売買されるかというと、まずお客さんが鯉を見定めてこれがいいかなと指名、店員さんがすくい上げます。その様子を連続写真でご紹介。

おっちゃん、網を構える。
網を突っ込む。
かかった!
引き上げる、が
跳ねる!
何とか収まった…。

そしてまだ鯉が生きている状態でこのように

量りに乗せ、お客さんがこの重さでOK、買います、と言ったら店員さんがさばいて重さで売ります。だいたい1Kg120コルナ(約600円)くらいだそうです。
料理する瞬間まで新鮮な鯉を保ちたい人はバケツに生きた鯉を買い取って、24日まで生かしておくそうです。

この鯉のフライ、19年チェコで暮らしていながら、食べたのは一回だけ。もう16年くらい前のことで記憶はあやふやですが、「おいしい」と思った覚えがあります。でもチェコ人に「どうだった?」と聞かれて「おいしかった」と答えるとみんな「へぇ」と、意外そうな顔をします。おいしくないけど伝統だから食べてるだけなのに外国人がおいしいと言うなんて、という「へぇ」なのか、魚の国ニッポンから来たヤツがこんなモノおいしいって言うんだ、という「へぇ」なのか、よく分かりませんが。

おわりに

以上、だいたい代表的なものは網羅したかな?と思われるチェコのクリスマス食習慣情報でした。
よろしければ、皆さまもマンガで紹介したリンゴ占い、24日の夜にお試しあれ。私はやりませんが。来年も絶対良い年になると信じて疑わないので、リンゴに証明してもらう必要はないのです。

ではでは皆さま、楽しいクリスマスをお過ごしください。


豆氏のスイーツ探求の旅費に当てます。