米ドル一強の本格的終焉か?【通貨世界大戦】
BRICs、これらの大国はそれぞれ「中国」「ロシア」「インド」「ブラジル」「南アフリカ」ですが、つい最近ここに新しいメンバー国が加わることが決まりました。
日本や米国などが太平洋とインド洋をめぐり繰り広げている中国やロシアに対する新枠組「QUAD」は周知されていますが、BRICsにも新しい動きがありました。
こんな中、BRICsは米国のドル支配を終わらせるべく新しい通貨「R5」を構想しています。今回はそんな新通貨について紹介するとともに、それが本当に米ドル終焉をもたらすのかについて考えていきます。
ちなみに、個人的な予想を最初に言っておくと「米ドルの終焉にはならないだろう」と思っています。しかし、こういった動きは非常に面白いものであり、今後キーになってくる可能性が高いです。
変わり続ける世界秩序
米国のパワーがこれまで以上に弱体化しているという報道は様々なところでされていますが、それを暗示するようなイベントは実際いくつか挙げられています。
一つは、国際石油資本「セブンシスターズ」の変化です。
一方で、現在の国際石油資本は以下のような企業だと言われています。これらは一部で「新セブンシスターズ」などともいわれています。
上記を見てみればわかりますが、ほとんどすべての国が今まで開発国とされてきた側であり、アメリカやイギリス、オランダなどは姿を消しています。確かに、ここ数十年で地球温暖化やエネルギー利用法について様々な変化が起こったためこの変動はおかしくはないと考えることもあるでしょう。
しかし、ここ最近BRICsでは既存の欧米中心世界に対してさらなる変化を加えようとしてもいます。それが「脱ドル中心体制」です。
シンプルに、基軸通貨をドルとする現在の体制から脱却しようとする動きですが、これにはいろいろな意見も出つつ、実際に具体的な案みたいなものまで出てきています。
R5構想
それがR5構想です。このR5とは、BRICs各国の通貨の頭文字をとったものです。なぜこのような新通貨構想が生まれたのかといえば、現在の欧米資本による支配からの脱却であり、米ドル支配を終わらせるためとしています。
文字通り読めばそれは非常に野心的なもので、かなり挑発的な動機です。しかし、実際そのように公言し考案されています。
なんと奇遇なのか、それぞれの国の通貨はすべてRから始まっています。これがR5の意味なのですが、その実態はいまだ議論されつつもあり得ないという意見が多数派となっています。
重要なのはやっぱり「ゴールド」?
世界各国の思惑が浮き彫りになる新通貨構想ですが、BRICsの新通貨をめぐる動きに出てくるのはゴールドと暗号通貨かもしれません。
ゴールドと暗号通貨なんて言われると真っ先に思い出しそうなのが「ビットコイン(通称:デジタルゴールド)」です。となると、新しい新興国通貨はビットコインと何らかの相関が生まれ得るのではないかという疑問も生まれます。
なぜゴールド?となりますが、基本的に新通貨構想の動機が西側諸国への対抗であり、ゴールドを軸足としてロシアや中国などが新しい経済秩序を作ろうとしていると言われています。
実際、インドやロシア、中国といった国々はゴールドの保有比率を上げようと必死になっており、その動きは保有量ランキングを見てもわかります。
アメリカ、ドイツ、イタリア、フランス、日本などを足すと16000トンほどになりますが、ロシア、中国、インドを足しても5000トンにも及んでいないことから、まったくもってゴールドで優位であるとは言えません。
新しい加盟国とR5との関係
ここで、新しくBRICsに加盟した6か国を振り返ってみます。
ぱっと見、なんでこの6か国なんだ?と思うかもしれませんが、R5実現を考えるとその布石だとも思えます。
上記のような項目を考えれば、なぜあの6か国なのかは何となく想像がつくかもしれません。個人的に、エジプトやエチオピアが入っているのは欧州の経済先行き懸念と人口ボーナスのアフリカ諸国との地政学的な接続を考えてからなのではないかと思ったりします。
R5+は米ドルの代わりになるのか?
個人的な予測としてはならないだろうと思います。ここまで説明して、あっさり「ならない」
というのもあれですが、そもそも米ドルの影響力はそう簡単には落ちないでしょう。もしも新通貨が出てくるとすれば、ここ10年とかの話ではなく、21世紀後半、22世紀になってからではないかと考えていますし、もしかしたら、22世紀になっても米ドルの可能性はあります。
途中、ゴールドで一発逆転するみたいな話もありましたが、それもないでしょう。
とはいえ、人口と経済力で西側諸国を圧倒しているBRICs勢が今後世界経済の中心的存在になっていくのは間違いなく、どうなるのかはその時にならないとわかりません。
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