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開発者からの便り④コーヒーの科学③

ディレカの開発者である田村喜久雄が生前、HPに掲載していたコラムを
noteにて再掲いたします。

科学を知ればコーヒーが変わる!
第三弾:「コーヒーと健康」
~田村喜久雄のコーヒー愛が止まらない!~

(2020年7月HP掲載)

コーヒーはヒトの健康にどう影響するのか?
コーヒーの科学の中でも、この疑問ほど人々の興味を集めてきたものは他にないかもしれません。

健康を考えるとき、大事な「三箇条」があります。
①コーヒーには健康に良い面と悪い面の両方がある。
②いくら健康に良い面があっても、飲み過ぎは体に毒。
③どこからが飲み過ぎでどこまでが適量かは個人ごとに異なる。

この三箇条はコーヒーに限らず、健康を考えるときすべてに当てはまる原則です。「これが結論‥‥」と言いたいところですが、じつはこれは話しのゴールではなく出発点です。

見失ってはならない本題があります。それは「コーヒーを飲むとヒトはどうなるか」を考えることです。
これは健康情報番組などでよく取り上られる「コーヒーに含まれる○○という成分にxx作用がある」という話と混同しないよう注意してほしいという意味です。

誤解しないてほしいのですが、成分レベルの作用に意味がないと言っているわけではありません。
例えば、コーヒーの作用にはカフェインに因るものも多いため、カフェイン単独の作用を知ることは、コーヒー全体の作用を理解するためにも有用です。

しかし、それはあくまで「コーヒ―そのものにも同じ作用があること」が大前提です。健康良いと言われる成分も、逆に有害な成分も、含まれる量が少なければコーヒーを飲んで同じ作用が出るとは限りません。
それにもし、本当に、本当に「コーヒーに含まれる○○という成分にxx作用がある」なら、その成分だけをサプリメントか何かで摂る方がよっぽど確実でしょう。

ただ、それはどちらかというと薬の開発などの、
いわば「薬学」的発想であり、「コーヒーを飲むとヒトはどうなるか」とは別物です。
また健康情報番組などは、マウスなどヒト以外の動物や癌細胞での実験結果が紹介されることがしばしばありますが、これにも注意が必要です。
ヒトでの実証実験が困難な場合は、この手の結果を参考にすることもありますが、
ヒトにはそのまま当てはまらないことがよくあります。

繰り返しになりますが「コーヒーを飲むと」「ヒト」はどうなるか、という本題が大事なのです。
「私は効果を信じるが、科学的な証拠はない」。正確さより話題性を優先する番組の姿勢に批判が集まる結果になりました。
怪しい「健康情報」に消費者やメディアが振り回されるのは、
どの国も同じなのかもしれません。・・・・・
もう少しコーヒーの話が続きます!

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