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凡人にはできないこと

よく行くバーがある。
昔の洋楽系ロックがよくかかっているお店で、名盤、名曲と出会える素敵なお店だ。いつかこのバーのことも記事にしたいなとは思う。

そこで出会った、2枚のアルバムを聴いていて、自分の凡人さを自覚したというか、天才ってすごいよねという話を書けたらと思う。

Nirvana『MTV Unplugged in New York』

超絶有名ロックバンド、Nirvana。
少し洋楽知っている人で、知らない人はいらない人はいないだろう。

自分も知っていたけど、有名な『smells like teen spirits』と赤ちゃんジャケットのアルバムしか知らなかった。

個人的には、80年代のハードロックブームを終わらせて、気だるげパンクロックを流行らせたということであんまり好きじゃなかったんだけども…
Unpluggedがめっちゃ良いよ、ということでお店で聴かせてもらった。


感想としては、今までのNirvana像が覆されるくらい、カッコよかったです。
まず、1曲めがこれ。


こんなに声カッコよかったけ?って感想がまず出た。こりゃスターになるわ、と納得のカリスマボーカル。バンドもシンプルな構成をカッコよく聞かせる実力もある。

早速Amazonでポチって聴いているが、めっちゃ良い。
Youtubeに映像付きであるものの、やはり音質がダンチなので、ぜひともCDで聴いてほしい。


このアルバム(というかライブ)では、代表曲である「smells like teen spirits」を演じていない。
自分だったら、人気曲だし、自分に期待されているのはこれかな…って思って収録しちゃうだろう。

全然そんな媚びはなく。
ラストの曲は昔のブルースのカバー曲で終わる。

この半年も経たない内に、カート・コバーンは死んでしまうのだが、たしかに、「あ、こいつ死ぬな…」って感じがある。
そんな雰囲気を曲に持たせられるなんて、天才ってすごいなぁと…


George Martin 『In My Life』

お次は、ビートルズのプロデューサーである、ジョージ・マーティンが作成したコンピレーションアルバム。残念ながら廃盤。

収録曲のほとんどがビートルズのカバー。ジム・キャリーみたいな有名俳優から、ジェフ・ベックのような凄腕ギタリストまで、超豪華メンバーである。


各曲のアレンジはさすがというのものなのだが、メイントピックとしてこの記事で扱いたいのは、ラスト1曲の『In My Life』。

これもビートルズのカバーではあり、それをオーケストラ風にアレンジしているのだが…
これが超絶おったまげなアレンジ。

まず、ボーカルはいない。
アレンジされた曲調にのせて、歌詞がつぶやかれるのみだ。淡々と。
語りかけるように。

でも、何故かすごく感動的だ。ただ歌詞を読んでいるだけなのに。
それまでのオーケストラ風インストと、きれいに繋がれて、まるで映画のラストシーンのような感動がある。
それもそのはず、この歌詞を読んでいる人は、ショーン・コネリーだ。


ショーン・コネリーをゲストで呼べるという時点で凄まじいし、このアレンジと発想も天才だ。
そして、自分の凡才っぷりをひしひしと感じてしまった。

だって、ショーン・コネリーを呼べますよ、と言われたら、どんな曲を「歌わせよう」と考えてしまうだろう。
間違いなく、「つぶやかせて」終わろうとは思わない。
絶対にもったいないと思ってしまう。


客の期待に応えない

この2枚のアルバムを聞いて思ったこと。
凡人にできないことがここにはあるなと思った。

客が期待していることなんか、関係ない、自分がやりたいことをやる。
こういうことを平然とやれる人が、凄まじい名作を世に生むんだろう。天才と言われるんだろう。

超絶有名な話だが、自動車を世に広めたフォードの言葉としてある
「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは「もっと速い馬が欲しい」と答えていただろう。」
これと同じことだなと。

客が求めているのは、市場にあるもので、新しいものは、客からの要望を聞いているだけでは決して生まれない。そういうことなんだろうと。


客のことなんか気にせず、自己中心的で、やりたいことを素直にやること。
周りの目を気にして生活している凡人の自分には絶対にないものだし、凡人と天才を隔てていること、凡人にはできないことだなと思った。



1つ補足すると、人気曲ばかりのセットリストにするミュージシャンのことを馬鹿にしているわけではない。
それも、1つの「プロ」としての正解だと思うし、尊敬している。

昨年夏のフェスに行ったとき、小田和正さんが「盛り上がらない曲(誰も知らない曲)は極力やらないようにしてるんです」とMCで言っているのを聞いて、カッコイイなと思った。
それが観客からお金をもらっているプロとしての意地なんだろうなと。

どっちもすごいことだし、優劣なんかない。自分だってクラプトンにLaylaはエレキで弾いてほしいし。





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