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【漫画感想】デビルマンとかいう鬱漫画
デビルマンを読んだ。読んだ理由はもちろんこのインターネット・ミームから。
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音MAD見てるうちにOPが大好きになり。あの絵柄で39話のアニメを視聴するのはキツイよな~と思っていたらメルカリで漫画がお安く売られているのを発見。
ということで一気読みしました。
漫画力は流石
主人公の言葉使いとか、ヒロインの言動とか、色々と時代を感じて厳しい部分はある。でもソレ以上に漫画がウマイ(当たり前)。
さすが時代を作った漫画家の作品だ。第一話から凄くドキドキする。何をするわけでもない。自分の父親が悪魔研究をしていて、その悪魔の影響で死んだ、という話を聞かされているだけだ。これから起こる物語のイントロなだけ。
でもスッと読めるし、細かい演出でドキドキやワクワクが高まっていく。これが漫画の力というか、作品の持つパワーみたいなものを感じた。タダモノじゃないなと。
その後の話も、複雑な展開や超感動のドラマがあるわけではない。言ってしまえば、悪魔が来てそれを戦うという話だ。ただ、作者の永井豪の根底にあるのがホラー作家としてのものもあるのか、1つ1つの話の演出にドキドキとさせられる。
どんな演出で、どんな悪魔が登場するのだろうか。このキャラはどうピンチになって、そこをどう切り抜けるのだろうか。そんな、エンタメ作品に期待されるシンプルなワクワクを提供してくれる。
発想が素晴らしいとか、よく練られた脚本、とかではなく、漫画力がこの作品の一番の魅力かもしれない。
あのラストをどう解釈するか
どうやら原作とアニメは全然話が違うらしい。
アニメは人間に恋した悪魔が人間に憑依して他の悪魔と話。あまり人類の存亡とかは関わってない。シンプルな勧善懲悪とヒーロー物語。一方で漫画版は、悪魔の侵略から人類を守るため、主人公が悪魔を体に憑依させて戦うというお話。
つまるところ、物語のクライマックスは悪魔と人間の全面戦争になる。
アニメ版のあらすじのようなものが期待していたので、割と人目を気にして戦うパートはあっさり終わり、悪魔との全面戦争に早々に入っていったのは驚いた。(それでも当時の中では長期連載だったのかもしれないが)
この結末が衝撃的な終わり方だ…
まぁ昔の作品なので、ネタバレもクソもないと思うが、読もうと思っている人はブラウザバック。
人間と悪魔の戦争が激化していく中で、人間の中に潜む悪魔を狩りつくそうと、悪魔狩りが激化していく。そんな中で、ヒロイン一家も、デビルマンである主人公たちを庇っていたため、悪魔狩りの対象となる。
そして、両親は拷問死、ヒロインは暴徒に襲われてズタボロにされて殺される。この悲惨な展開。しかも、襲いかかる人間たちの描写がめちゃくちゃ怖い。普通にホラー漫画として一級品だ。
そんな人間たちを見て、主人公は言う。
外道!きさらまこそ悪魔だ!
おれはからだは悪魔になったが…
人間の心はうしなわなかった!
きさらまは人間のからだを持ちながら悪魔に!
悪魔になったんだぞ!
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この悲痛な叫び、演出、凄まじい。
正直、予測できた展開ではあったけども、やはり心を動かさられる。画力とかそういったレベルではなく、迫力が凄い。
結局、こんな悪魔狩りばかり横行して、人間は滅ぶ。割とあっさりと。
最後は悪魔と、悪魔に取り憑かれながらも人間の理性を保持しているデビルマン軍団との戦いになる。
その壮絶な戦いの結果(と言っても凄まじい画力で描かれる1枚絵の連続で1話で終わるのだが)、デビルマン軍団も破れ、世界は悪魔によって支配される。
そんな悪魔の神、サタンが最後に死んでいく主人公に語る。
「神は、闘争心が高く醜い悪魔を滅ぼそうとしてきた。だが、悪魔だって、必死に生きている。だから神とも戦ってきた」と…
そう語る、疲れ果てた様子のサタンの前に、神々が降臨してくる姿が描かれる。そう、デビルマン軍団との戦いで疲弊しきった悪魔たちを滅ぼそうと…
ここでこの作品は終わる。
つまるところ、神によって最後は悪魔も滅ぼされ、全ては無に帰す。とんでもないバッドエンドだ。人間は醜い悪魔となり、自ら滅ぶ。お互いの存続を賭けて戦いあった悪魔と悪魔人間たち、どちらも神の前では無力であり、滅ぼされる。
永井豪は、結局、神の前に人は無力という、ニヒリズム的なことを言いたかったのだろうか。ただそれだけではないような気もする。
最後に主人公の亡骸に語りかけるサタンの顔。そこには、悲惨さや絶望は何故か感じられなかった。穏やかな顔をしていた。
なにかやり遂げたような顔だったと思う。
事実だけ見れば、ドチャクソ悲惨なエンド。でも、自分にとって何か救いが欲しいマンにとっては、少し希望的な解釈をしたい。結局神の前には何かも無意味って、オチだけは嫌だなぁと。
必死に自分たちの意志を持って生き抜き、何かを成し遂げた。そのことに救いを少しでも登場人物たちが感じられていたら嬉しいなと思う。その現れが、あの2人の安らかな顔だったと思う、いや思いたい。
そうじゃないとやってられないですよ…
最後のオチは賛否分かれると思うけども、永井豪のパワフルさをしっかりと感じられた、良作でした。
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