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もはや外伝ではなく続編 『勇者アバンと獄炎の魔王』について

『ダイの大冒険』という名作漫画がある。
その原作の三条陸先生が描いた、『勇者アバンと獄炎の魔王』という、外伝漫画が連載されている。

ちまちま読み続け、ようやく最新刊まで追いついてきた。
超絶激アツ展開になりつつある。やっぱ三条先生は天才。
その天才っぷりを感じた今作品の感想を書きたい。


相変わらず最高なキャラメイクのセンス

三条先生の何が好きって、キャラクターを作るのがめちゃくちゃ上手いこと。特に敵キャラ。

どうしても、味方キャラ、つまり正義のキャラは、人間として「正しい」キャラにしなくてはいけない。キャラとしてクセを出すのが、そういった意味だと難しい。
でも、悪役キャラは己の欲望に忠実に動くキャラを作っても良い。制限がない。だからライターとしても、書いていて楽しいんだろうなぁ。

冒険王ビィトの魔人(ヴァンデル)も良いキャラ達の宝庫だった。
グリニデ様とか、ガロニュートとか。何か尖った魅力あるキャラばかりだ。
今作品の敵キャラも、ハドラー、サボエラと言ったおなじみのメンツもいつつ、オリジナリティあふれる良いキャラも新登場する。

出世欲に取り憑かれた人面樹系のモンスター、「キギロ」。みんなの前では必死にカッコつけたり、不利と見るやすぐに撤退しようとするなど、徹底的な小物ムーブなんだけども、その小物っぷりが愛おしい。

あとは、養分さえあればかけら1つからでも再び再生できるという特徴を使って、何度も復活してアバン達の前に立ちふさがる。
このしつこさ、パトリック・コーラーサワーみたいな不死身さも非常に良い。ああいう愛おしい小物キャラを描けるのはスゴイ。


あとは、冒険王ビィトのグリニデ様と少しかぶっているところもあるが、呪文を猛練習しているトロル、「ガンガディア」も最高だ。
野蛮で粗野で暴力しか取り柄がないトロル族のイメージを持たれるのが嫌いなくせに、結局フィジカルが最高なところが良い。
それを指摘すると更にキレるという。


意外と真面目な敵キャラを作るのが好きなんですよね、三条先生。敵キャラのくせに、自分のコンプレックスと素直に向き合っている。
そこでコンプレックスに打ち勝ち、更に成長していくというのを、敵キャラにもやらせるのが凄い。


ファンサービスがウマすぎる

「お前ら、こういうことしたら喜ぶだろう」と言わんばかりの最高のファンサービスの数々。たまりません。

あの勇者アバンが、アバンストラッシュを完成させるために、大地斬、海波斬、空裂斬を習得する旅にでる、というあらすじだけでも魅力だが、特に3巻以降からのファンサービスの数々が熱い。読んでいて、思わず声が出る。

・マトリフの登場。相変わらずくっそカッコイイ。
・しかもそのマトリフが修行した秘密の里がある
・その秘密の里であの「まぞっほ」も修行していた!?
・そしてまぞっほのあの一番の名台詞の出どころも…

と言った感じで、ダイの大冒険ファンならたまらんファンサービスの連続である。

ヒュンケルの父ちゃんもデザインリファインされてめちゃくちゃカッコよくなってるし、ブラスじいちゃんも悪の幹部として出てくるし。
こんなモブキャラいたなぁって感じで、至る所でダイの大冒険のキャラの若かりし頃の姿が登場する。

あの6巻ではあのハプニカ王国の大剣豪も登場します。相変わらず戦わないけど…笑


ヒロインも可愛い

あと、ダイの大冒険で大事なのはヒロインの可愛さ。
重要ポイントです。

今作品のパーティの紅一点、レイラがめちゃくちゃ可愛い。
「女僧侶」と「くノ一」、男の子が好きなのどっちも一人のキャラにやらせればエエやん、という天才の発想。さすがです、三条先生。


それをしっかり画に落とし込む作画の人も上手い。見やすいキャラデザ、わかりやすい戦闘シーンを書ける人って何気に貴重。


若かりし頃のフローラ姫もTHE・お姫様って感じでめちゃくちゃ良いし…


ちょいネタバレですが、マトリフの想い人の若い頃もめっちゃ可愛いかった。
最初、年をとった姿で登場するんだけども、こいつ若い頃絶対美人だよな、というのがよく分かるキャラデザで描けてるのも凄い。そして期待通り若い頃はめっちゃ可愛い。

盛り上がり続ける物語

どんどん尻上がりに面白くなってきている。

やっぱマトリフが出てきてからの盛り上がりがすごいかもしれない。ダイの大冒険のころは、引退したエロジジイ感のほうが主で、シリアスを見せることは少なかったけども、こっちのマトリフはかなりシリアスが主でカッコいい。


ダイの大冒険の外伝だから、という面白さよりも、物語としての完成度の高さから、どんどんと面白くなってきているのが凄い。
マトリフの修行編の話とか、ダイの大冒険を知らなくても感動できる。1つのエピソードとして凄く完成度が高い。


6巻では、あのダイの大冒険といえば、な必殺技の片鱗が出てくる。
それが発動するシーンも、演出含めてめちゃくちゃ良い。

そして最後のページに登場するのは、あの魔王軍団長の中でもっとも熱い漢…
続きが気になりすぎる…


とにかく、ダイの大冒険を読んでいた人なら本当に最高な外伝作品なので、ぜひ読んでほしい。
4月に最新刊の7巻が出るのだが、待ちきれませぬ…

このポーズするマトリフってだけでワクワク

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