見出し画像

サービス広報に役立つリサーチの鉄則

サービスのPRを行う「サービス広報」の仕事では、「データ」を駆使する場面がいくつも出てきます。たとえば、「ニュースリリース作成用のデータ(○○に関するトレンド調査)」「広告掲載用の自社イメージデータ(○○が探せるサイト第一位)」「媒体資料掲載用のユーザープロフィールデータ(性別・年代・各種購買行動)」などなど。

でもPRの仕事では、「ネタが出てこない」「宣伝っぽくなる」「データが役に立たない」など、実際にはデータを駆使するにあたり様々なハードルが発生します。できることは精いっぱいやっているのに、データを活用しようとしてデータに行く手を阻まれるケース、皆さんも体験していませんか?

実は、「リサーチの鉄則」を知っていると、こうした課題は一気に解決します。この記事では、「サービス広報に役立つリサーチの鉄則」と題して、優れた調査リリースの事例研究リサーチデータの取り扱い方のコツを通じて、リサーチスキルを上げてサービス広報を成功させるコツを紹介します。

--------------------------

▼ 1.ネタが出てこない→ネタをつくるのではなく、ありのままを可視化する


広報担当者は自身の目標設定にニュースリリースの発信回数を定めていることがほとんどです。リリース活動は広報担当者の基礎活動量として計測しやすいからです。

その時に発生するのが、「情報発信するためのネタが無い…」という悩み。特に、適当なネタがないがためにやってしまうリサーチの典型例が以下の2パターンです。

a.仮説が無い
・何かが出てくるはず!と期待して、仮説無しにトレンド調査を始める。
・性別でも年代でも結果に差が出ず、アンケートの「取り損」で終わる。
・「しょせんアンケートからは何もわからない!」、という結論に至る。

b.力技に頼る
・これを調べたらウケるでしょ!という刺激力の強いテーマで調査する。
・同じく一時期のインプレッションを重視する一部のメディアにウケる。
・自社のアピールとはブレ出す。(メディア露出KPI≠サービス広報KGI)

もちろんアンケートの手法が「役不足」ということではありません。それであれば調査リリースが広報活動においてここまで一般化することはなかったことでしょう。

サービス広報におけるリサーチの鉄則、1つめは、「ネタをつくるのではなく、ありのままを可視化する」ことです。テーマ設定の成功事例を研究してみましょう。

* * * * *

①テーマの現状をストレートに伝える

駅や電車内では「迷惑行為」への注意喚起を促す告知がよく出ています。このお知らせをランキング形式の公共広告にして、車内の中吊りや駅貼りポスターで普及しているのが、日本民営鉄道協会の「駅と電車内のマナーに関するアンケート」です。

広告を見て直接このアンケート結果を見に行く人はあまりいないかもしれませんが、協会のウェブサイトで公開されている調査結果には、このパートのトピックである、調査リリース時のネタ(テーマ)との向き合い方を知るヒントに満ちています。

日本民営鉄道協会「駅と電車内のマナーに関するアンケート」

画像1

調査は10年以上続く定期調査で行われており、駅や電車内の迷惑行為を、(荷物・着席などの)分野別・男女別・地域別に集計しています。前年との傾向比較も行われており、これを見たらどういう行動が迷惑に当たるのか、よくわかります。

民鉄の調査のポイントは、「テーマの現状をストレートに伝える」ことに徹しているところにあります。迷惑行為を分類してランキングを広告に掲載していますが、決して直接的に「これがだめ、あれがだめ」と糾弾せず、調査結果を事実として伝えています。

一般的に、マナーアップを促す取り組みは社会にとって必要ですが、公共掲示物が警告だらけになると場が殺伐としますし、(マナーを守っている人によっては)「なぜそこまで事業者に上から言われなければいけないのか」と軽い反発を招いてしまいます。

そこで、アンケート結果データを使うと、伝え方がマイルドに収まります。客観的な視点から可視化・言語化された内容は、「状況はこうです」というストレートニュースなので、見る人に「あ、自分も気を付けなくては」と思わせるだけの説得力を持ちます。

民鉄のアンケートに関しては、調査タイトルのうまさも光ります。タイトルは「マナーに関するアンケート」となっており、「迷惑行為に関するアンケート」とはなっていません。

実際、ウェブサイトの調査結果ページでは、『お客様が「うれしかった」「心が温まった」と感じた行為』として、Goodエピソードも載せており、ガンガン警告を出すのではなく、電車利用者各自の美意識に訴えかけるつくりになっています。

「ただふつうにアンケートを取っても、つまらない結果になってしまう!」「なんとかネタをひねり出さねば…」と悩んでいる人も多いと思いますが、広告プロモーションならいざ知らず、調査リリースではその思考が強いほどブレていきます。

テーマを見る時の「観点」が確かなら、テーマの現状をストレートに伝えるだけで有益な情報を発信することができます。ここで紹介した民鉄のアンケートが良い事例です。ぜひ勇気をもって、ありのままを取る調査を実施してみてください!

* * * * *

②テーマと発信元の立場を合わせる

ファッションの聖地として不動の地位を占めるSHIBUYA109では、情報の発信源であり続けるために、生のリサーチを徹底しています。昨今のタピオカドリンクブームも、109が発信した「渋谷・原宿エリアの飲み比べ」がブームを大きく牽引しました。

109のマーケティングリサーチを機能を担うのが「SHIBUYA109 lab.」です。来館者に館の店頭でヒアリングアンケートを実施したり(月1回)、高校生/大学生を集めたグループインタビューを実施したり(週1回)、定期的なリサーチを徹底しています。

そんなSHIBUYA109 lab.から、「20歳前後の女性のハッシュタグ検索行動」を協同調査した結果がニュースリリースされました。

SHIBUYA109 lab.「ハッシュタグ(#)」に関する意識調査 リリース

画像2

特に見どころは【2】ハッシュタグ検索ランキングです。FOOD/FASHION/COSME/OTAKATSUの各分野で、検索結果に見る20代の消費行動を分析。ハッシュタグの複合検索ワード・表記ゆれ・固有の言い回しがわかります。

たぶん調査テーマ自体は、私たちの誰もが思いついて良さそうな部類のものです。①の「駅と電車内のマナーに関するアンケート」結果同様、何も狙ったり付け足したりせず、ただ実態を観測しているだけの内容。

でも、このリリースが面白いのは、調べる分野の中に「OTAKATSU」(オタク・ファンの活動)が入っていたり、企画・分析のうまさで一線を画す仕上がりになっています。日頃のリサーチを重ねている成果でしょう。

そして一番のポイントは、「テーマと発信元の立場」が合っていること。若い女性のトレンドといえば109!さすがよくわかっている!と賞賛したいくらい、調査結果が自社のブランド(サービス)と紐づいています。

調査リリースを行う時は、調査テーマと発信元の立場が合っていることが、結局一番インパクトを持ちます。文字にするとごく当たり前なのですが、こうなっていないケースが実に多いので、あえて書いています。

「流行っているからタピオカを分析しました」「これから○○のシーズンだから調べました」というのは、メディア向けのネタとしてはいいかもしれませんが、自社のブランド構築には寄与しづらくなっています。

Twitterの傾向を見ていても、特にバズっている(拡散されている)ツイートは、つぶやき内容と本人の立場がマッチしています。調査リリースでも、「この企業が言うなら間違いない」という信頼感をつくるには、自社のサービスに紐づいたテーマを選択することが一番なのです。

--------------------------

▼ 2.宣伝っぽくなる→調査データのロジックで、サービスのニーズを導く


自社のプレスリリースを書いていると、どうしても宣伝っぽくなっていきます。商品・サービス性能・機能の特徴をうたっていったら、結果的に営業臭が出ていた…という状況は割とふつうに起き得ます。

「広報センス」が高い人は、こういう時に自社のニュースを社会事化する「戦略PR」をやってのけるのですが、商品開発は必ずしも社会性・公共性を意識して行われるわけではないので、通常は苦戦します。

そこで、広報センスを補うために身につけたいのが「リサーチ力」です。データを組み合わせて、自然とサービスのニーズが浮かび上がるロジックをつくれたら、広報センスを大きく補うことができます。

サービス広報におけるリサーチの鉄則、2つめは、「調査データのロジックで、サービスのニーズを導く」ことです。

私は雑誌の記事中に出てくるアンケートをよく分析しているのですが、女性ファッション誌『with』に出てくるアンケート活用法は、特にPR視点で大きな学びになります。以下で見ていきましょう。

* * * * *

①理想と現実のギャップをデータであぶり出す

調査リリースを行う時に、営業志向が強い人がついやりがちな質問があります。
・「あなたはタピオカドリンクを好きですか?」(はい・いいえ)
・「あなたがふだん飲んでいるものをお選びください」(水・ビール・コーヒー・紅茶・タピオカミルクティー…)

ご覧いただいた通りこの形式は、質問が直接的すぎます。答えを「タピオカ」に持ち込みたいことが見え見えです。こういう調査リリースは、皆が想像がつく回答結果になるので、残念ながらデータはあまり参照されません。

もし自然な形でサービスのニーズを導くなら、「理想と現実のギャップ」をデータであぶり出す手法がおすすめです。上記とは似て非なる事例を紹介しましょう。

『with』2019年7月号|「オフィスで着られる上品Tシャツコーデ」
(読者100人アンケート)
Q:通勤でTシャツを着たいですか?(単一回答)→「YES」86%
Q:実際に通勤でTシャツを着ていますか?(単一回答)→「YES」56%
⇒Tシャツ通勤したいのに着られていない人が約半数!!

この特集は、全体では「オフィスで着られる上品Tシャツコーデ」がテーマになっており、誌面でTシャツアイテムのニーズを引き出すために、読者アンケートがリードデータとして使われています。

1問目の回答結果:「通勤着にTシャツを取り入れたい"理想"」(86%)
2問目の回答結果:「実際に取りている人は半数に留まる"現実"」(56%)

理想(1問目)と現実(2問目)のギャップから、紹介するTシャツアイテムの必然性がわかる、素直に上手い!と思える構成です。

リードデータに続く誌面では、「実際は着たいけどうまく着こなせない」という読者の悩みをしっかりと押さえて、「深くあきすぎないネックライン」のようなアイテム紹介を行っており、アンケート結果が特集の中でとても生きています。

この「本当はやりたいけど→できていない(だから商品・サービスが必要になる)」データは高い説得力を持ちます。まさに広報活動の場で、直接的には営業できない時に、ナチュラルなプッシュを可能にするアンケート手法です。

* * * * *

②選択肢と紹介する商品の機能性を対応させる

同じく調査リリースでやりがちなのが、「調査テーマは自社が展開するサービス内容と合っている。でも、トレンド分析の比重が高まりすぎて、自社のサービスPRまでつながらない…」というものです。端的に言うと、ネタの方が強すぎる場合です。

調査結果データとサービスのニーズとうまく紐づけるには、「アンケートの選択肢と商品の機能性を揃える」手法がおすすめです。引き続き女性誌『With』の事例を見てみましょう。

『with』2019年7月号|「梅雨時季だって快適 洗えて可愛いお仕事服」
(読者110人アンケート)
Q:梅雨時季~真夏の間、通勤時やお仕事中の悩みを教えてください(複数回答)→「汗」29%、「ニオイ」20%、「紫外線」16%…
Q:夏服で重視する機能を教えてください(複数回答)→「洗濯機で洗える」36%、「汗ジミ防止」24%、「UVカット」15%…

この記事では、梅雨時の悩みを最初に尋ね、続けて、夏服に求める機能性を尋ねています。これで①同様、商品ニーズを引き出すリードデータが用意できています。

「いや、これと同じ設計はできているんだけど」と思ったかもしれませんね。たしかに、ここまでは皆やります。『With』の誌面が優れているのはここからです。

リードデータに続くファッションアイテム紹介のページを見てみると、商品の機能性別に、「汗ジミ防止」「UVカット」「吸水・速乾」「消臭・抗菌防臭」「接触冷感」などのトピックで梅雨時に使える機能服が紹介されており、アンケート結果の関心の受け皿となる構成になっています。

ポイントは、「アンケートの選択肢」と「商品の機能性」を揃えている(対応させている)こと。汗に対しては汗ジミ防止、紫外線に対してはUVカット、それぞれが対応しており、アンケート結果のデータトレンドと紹介する商品がごく自然にリンクしています。

「トレンド分析はトレンド分析」「サービス紹介はサービス紹介」と、調査リリース内の話題が分断されるのは、この落とし込みが無い・弱いからです。アンケート結果を見てから出方を決めるのではなく、選択肢を構成する時点で、自社のサービスラインナップに照らしてアンケートの選択肢を設計するようにしましょう。

--------------------------

▼ 3.データが役に立たない→画になるデータから逆算してアンケートを設計する


「1.ネタが出てこない」のパートで、「とりあえずアンケートをやってみて、出たなりの結果を考察する」方法が良くないことをお伝えしました。終着点が自分でもわからないのですから、「アンケートをやってみたけどデータが使えない」のは当然です。

これとは真逆で、私はアンケートを行う前から「アウトプットの画になるデータ」をイメージしています。広報でアンケートデータを使う場合、統計的な精度よりもサービスとのつながりが重要なので、どうしたらデータが活きるか?を先に考えるのです。

サービス広報におけるリサーチの鉄則、3つめは、「画になるデータから逆算してアンケートを設計する」ことです。

具体的な話をしましょう。私は総合ECサイトのセレクトショップ開業プロジェクトを担当していた時、マーケティング・法人営業・バイヤー・店長・広報の役割をすべて兼務していました。もちろんすべて本職ではないので(笑)、リサーチ力だけが頼りです。

以下は店舗開業時に行った一連の広報活動で、「オフィスグッズ・ビジネスギフトのニーズ」のアンケートを軸に、「ターゲット層のマーケティング情報収集×同テーマでの調査リリース×店頭で開催する展示フェア」を連動させて、グランドオープン時にNHKニュース取材を獲得した時の事例です。

* * * * *

①図表化・展示化を前提にデータを収集する

担当したセレクトショップ開業プロジェクトは、もともとはピンチヒッター的に受け継いだ仕事で、事業計画上開業まであと半年しかない!しかも物件すら決まっていない!ところからのスタートでした。当然バイイングの足が追い付かないので(冬に出すチョコレートは半年以上前に買い付けてないといけないなど)、開店時に目玉商品は揃いません。

そこで自身だけでもできることを考え、アンケートを使ったネットユーザーの贈り物ランキングを発表することにしました。店は内装施工もスタッフ採用もすべてギリギリで進行していたので、ターゲット層の情報収集をしつつ、店舗ニーズを調査リリースで打ち出しつつ、アンケートの上位品目を展示フェアで店頭販売する、という手段に賭けたのです。

r1_おくったギフト・もらったギフト

ネクタイ・マグカップより観葉植物・加湿器にニーズあり??
今どき欲しいオフィスグッズは癒し環境&自分で買わない物!


【贈り物でもらったことがあるもの】
1位 お菓子 (56%)
2位 ボールペン (55%)
3位 ハンドタオル (47%)
4位 マグカップ (44%)
5位 メモ帳 (32%)

【贈り物で今後もらってみたいもの】
1位 お菓子 (32%)
2位 観葉植物 (29%)
3位 万年筆 (29%)
4位 腕時計 (23%)
5位 加湿器 (21%)

パネルの図表と展示場の様子を見てもらってわかる通り、調査計画時から「図表化・展示化を前提にデータを収集する」ことを心がけました。

アンケートの狙いは当たり、もらったことがあるもの→「お菓子・ボールペン・ハンドタオル・マグカップ・メモ帳」などが安定の上位、もらってみたいもの→「癒し環境(観葉植物・加湿器)、高いもの(万年筆・腕時計)」と、上手い具合に贈答時のギャップを引き出すことができたので、それを見出しに使っています。

後はアンケート結果を調査リリース+展示フェアへと落とし込み、パネルを見て回遊して楽しんでもらう→実際に対応する商品を購入してもらう動きに結びつけていきました。

画像8

「もらってみたいもの」のアンケート結果から、当時流行の兆しを見せていた「ミニ観葉植物・デザイン加湿器」を取り揃えるとすぐに人気商品となり、その後何度か続いたテレビ取材対応時に、メインを張る商品として活躍してくれました。

店の開業は商業施設自体のオープンと同時だったのですが、目の肥えたデベロッパー関係者からも企画を高く評価され、ありがたいことにその後全国でも有数の売上を持つ人気SC・商業施設に出店の声をかけてもらうきっかけになりました。

* * * * *

②TV放映テロップレベルまでキーワード洗練させる

このグランドオープン施策をきっかけに、開店当日、NHKニュース取材を獲得することができました。「NHK首都圏ネットワーク」の中で、ネット通販事業者の新たな取り組みとして、アマゾン・楽天などの新サービスと並び、まだ開業4年ちょっとのECサイトのセレクトショップが取り上げられることになったのです。

画像5

取材は、ECサイトの会員アンケートに基づくフェア企画についてや、来店客に対するECと実店舗の使い分け店頭インタビューなど、単独で5分間の放映。当時、「オムニチャネル」がビジネスのバズワードだったので、そこを意識しながら、サービス側の代表者としてキャスターのインタビューに応答しました。

画像6

意識したのは、「TV放映テロップレベルまでキーワード洗練させる」こと。テレビ取材ではシーンカットをたくさん撮ることはあっても、話者のコメントはほぼワンチャンスしかありません。ニュースリリースのように推敲しながら完成形を決めることはできませんし、なんなら自分の発言がそのままテロップになってなぞられたりします。

画像7

ですので、アンケートの結果を活かして、最初のひとことでズバッと店舗の特徴を言えるよう整理しました。この時は、「実店舗出店の狙い」や「来店顧客の動向」にフォーカスが当たることは予測できたので、「ECで人気の商品」「実店舗でしか買えない商品」を用意しておいて、売場を使って店の位置づけを簡潔に伝えていきました。

こうして見てみるとやや出来過ぎなのですが、やっていることは本当にこれまでの要点に沿っているだけです。「ネタをつくるのではなくありのままを可視化する」「複数のデータを組合わせてサービスのニーズを導く」など、変に来店者プレゼントなどで奇をてらうことなく、リサーチの原則に従った広報活動を徹底しました。

この取材では、創業以来はじめてNHKに社名が出る快挙となり、しかも何度も画面に登場しているので広告換算価値では破格の成果を収めています。

このパートの冒頭に、「画になるデータ」をつくると紹介しましたが、それは調査リリースや展示パネルで見る人を楽しませるデータセットはもちろん、TV放映のテロップになっても生きるキーワードリストも指しています。

--------------------------

▼ まとめ


<サービス広報に役立つリサーチの鉄則>

・ネタをつくるのではなく、ありのままを可視化する
(テーマの現状をストレートに伝える、テーマと発信元の立場を合わせる)

・調査データのロジックで、サービスのニーズを導く
(理想と現実のギャップをデータであぶり出す、選択肢と紹介する商品の機能性を対応させる)

・画になるデータから逆算してアンケートを設計する
(図表化・展示化を前提にデータを収集する、TV放映テロップレベルまでキーワードを洗練させる)

* * * * *

あらためて記事の要点を整理していくと、リサーチを使った広報活動では、シンプルに世の中のトレンドや自社のサービスを見せていくことがポイントです。無理に考察をひねり出したり、ウケをねらっていくことは一切不要。自社なりのアプローチで調べていったら、結果的に面白い結果になっていた、という状態が最高です。

つまり、広報活動のステップとしては、世の中のトレンドを追いかけ回すよりも、自社サービスと自社ユーザーの理解の方が大事。この意味では、広報担当もマーケターと同じくらいサービスについての理解力が求められます。そして、自身がマーケターでなくてもサービスへの理解力を上げるのが、記事中にある「リサーチ力」です。

私は常々、リサーチャーでなくても、それぞれの専門職において、もっとリサーチを活用して欲しいという思いを持っていて、このたび、ビジネスの中でふつうに使う機会があるリサーチの技術を厳選した本を10月末に出版しました。

それがこちら。『売れるしくみをつくる マーケットリサーチ大全』(明日香出版社)です。

画像3

この本では、広報職の人がよく使うアンケートの質問文と選択肢のサンプル、アンケート分析時に必要な分析のモデルも入っています。私自身も勤め先の会社での職種区分は広報だったりするので、ぜひこの機会にリサーチの魅力に触れてもらえたら嬉しいです。(全国の書店で発売中)

* * * * *

Twitterをやっています。今回の記事のように、調査リリースやリサーチを使ったプロモーションを分析する投稿をしています。よかったらフォローしてくださいね★


いただいたサポートは執筆休憩時のお茶請けなどに大切に使わせていただきます★