思考力を伸ばすには? 【第3回】そもそも思考力とは何か
こんばんは、データインサイトの中西です。
休日に思考力を伸ばすことをテーマとしたnoteを連載しています。
前職BCGでの経験と2020年に創業した弊社「データインサイト」でのインターン生等の思考力を伸ばすサポートをしてきた経験をふまえ、思考力を伸ばすことについてロジカルシンキングなどの書籍を読んでもピンと来ない多くの方に向けて、思考力を伸ばすためのプロセスをできるだけわかり易く解説しています。
まずは【導入編】として、思考力を伸ばすサポートをしているなかで、皆さんから質問される以下について説明していきます。これらは今後の記事を通じて読者の皆様に思考力を伸ばしていただくためにも重要な内容となります
【導入編】
1.BCGにおける人材育成のトレーニングプログラムはどのようなものか?
2.そもそも思考力とは何か?地頭力は鍛えられるのか?
3.なぜデータインサイトではインターン育成に注力するのか?
4.どのようなインターン生が大きく成長するのか?
本日は2つ目の話です。
2.そもそも思考力とは何か?
まず本題に入る前に前置きをさせてください。基本的に私の書く「思考力を伸ばすには?」関連の記事は、学問的/研究的な内容ではなく、実用性を重視した実践的な内容としております。そのため、言葉の定義や本来の意味合いとは異なる用途で書くこともあるかと思いますが、過度に言葉やその定義にとらわれず、わかりやすさ重視で直観的に書いていきます。
ただし、本日のテーマでは言葉の意味合いの理解そのものが、思考力を伸ばすことに必要となると考え、あえて言葉の定義のような話もさせていただきます。もともとこういったアプローチで説明をする経験に乏しいことから、もし分かり辛い・ややこしいと思う点がありましたら、ぜひコメントでご指摘頂けると嬉しいです。
さて、それでは本日の本題に入ります。
思考力とは何か?考えるって?頭を使うって?・・・誰もが一度は思考力や思考について漠然と考えたり、誰かに問われたことがあるのではないでしょうか。
「考えること(=思考)を考える」というと哲学的ではありますが、「思考する力(=思考力)を考えること」は生活したり学んだり仕事をしたりするうえで基礎となる重要なテーマです。
もっとも、多くの方は「思考力とは何か?」と問われても明確には答えられないことでしょう。思考や思考力について深く考えた経験がなかったり、深く考えようとしてた経験があっても自分なりの明確な解を持ちあわせていない方が大半なのではないでしょうか。
実際に、"思考力" とは定義によって様々ですが、「考える能力」や「考える力」、狭義で「論理的思考力」のことを指すケースもあります。もう少し具体的に「自身が有している知識や経験をもとにして考える力」というような説明も可能です。
ところで、そもそも "思考" "知識" "経験" ってどう違うのでしょうか。
その意味合いの違いを適切に理解いただくことが、思考力とは何か?を考えるうえで、思考力を伸ばすうえでも必要となります。そのため、ここからはそれら3語の違いを考えてみたいと思います。
"思考" "知識" "経験"の言葉の定義の違い
(※この段落は細かな内容になるため、飛ばして読み進めていただいても構いません)
広辞苑で "思考" を引くと以下のような説明が出てきます
同様に "知識" はこのような説明
そして、"経験" は以下の通り、ちょっと複雑な説明が、、
普段意識せずに使っている方が多いと思われる "思考" "知識" "経験" という3語の辞書的定義では、納得感がないわけではないものの、具体的にしっくりとイメージできるような手触り感はありませんね。確かに言われてみればそうだな程度の感覚かと思います。
もう少し多くの人がしっくり来そうな説明に直すとこんな感じでしょうか。要するに、、、
・"思考" 何かを思うこと、知識や経験に基づき考えること
・"知識" 見聞きしたり学んだりした結果として認識/理解していること
・"経験" 何かを見聞きしたり行動したりした過程(体験)を通じて、身に着けた知識や技能のこと
体験は何か行動することですが、それにより何かを身に着けることで経験と言えるようになりそうです。
また、それぞれ3語には因果関係がありそうです。体験したことが知識となりそれらが経験となる。知識や経験が思考に繋がる、、、など
上記説明に関連する用語として、体験、技能/技術、他にも類似用語としてスキルやノウハウ、ナレッジなどもありますが、話が複雑になり本題から離れてしまうので、考察はこの程度に留めます。
"思考力" の言葉が示す "思考"の意味とは?
思考とは要するに「何かを思うこと、知識や経験に基づき考えること」であると述べました。
”思考" は辞書的な定義もそうですが、読んで字のごとく "思うこと" と "考えること" に分けられます。"思うこと" は「感覚・知覚」的であり受動的である一方、"考えること" は比較的に能動的であると整理できます。
"思考力" の言葉が示す "思考" に関しては、(弊社メンバーやBCGの元同僚などに聞いた結果として)受動的な脳の働きではなく、能動的な脳の働きを示すことが多くの方の感覚に馴染むようなので、ここからは思考のなかでも能動的な ”考えること” であると定義し、"思考力" = "考える力" としてここから先の話を進めていきます。
"思考" "知識" "経験"の意味合いの違い
さて、"思考力" を正しく捉え、伸ばしていくために、思考/知識/経験のそれぞれの意味合いの異同を正しく理解することが重要です。
特に、思考力の言葉が表す "思考" が能動的な脳の働き、すなわち考えることであるとすると、【思考】と、【知識・経験】は全く別概念として捉える必要があります。
まず、能動的に考えるか/否かで大別できます。
・思考とは、(能動的に) 考えることそのものを指します
・知識・経験は、(能動的に) 考えた結果として得られることも含まれますが、(能動的に) 考えなくとも得ることが可能です
そして、前述の言葉の定義の通り、思考とは「知識や経験に基づき」考えることであり、思考力を伸ばすために "思考力" を考えるうえでは、【思考】と、【知識/経験】は性質の異なるものであると捉える必要があります。
・・・そんなことは当たり前じゃないか?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でもこの当たり前のことを、当たり前すぎて多くの人が的確に理解できていない(わざわざ的確に理解しようとしない)ということを、これまで目の当たりにしてきています。
そして、的確に理解していると感じている方の多くも、思考力を伸ばそうと考えているにもかかわらず、「思考するのではなく」、「知識を増やそうとしたり」、「経験をたくさん積もうとしたり」します。
その結果として、当たり前のことにもかかわらず、多くの方が思考力を伸ばし切れずに、つまりポテンシャルを発揮しきれずにいます。
これまでに私が思考力を伸ばすサポートをしてきた多くの方が実際にそうでしたし、学力や学歴、職歴などにあまり関係なく同様の傾向でした(もちろん学力の高い方ほど思考に関する素養が高いため思考力も伸ばしやすいですが、当たり前のことを理解しきれていないという点で共通しているという話です)。
ここまで話して既にピンと来られてる方は、この先のnoteの記事を読まずとも、自身で思考力を伸ばしていける方と感じますのでスキップしていただいても良いかと思います。
逆にピンと来てない方は、きっと私のことを「何かこの人変なことを言ってるな」と感じていることかと思います。ここからは論理的に、思考と知識/経験の違いの重要さや、それがなぜ思考力を伸ばすことに繋がるのか、順を追って説明していきますので、読んでいただいた方が良いと思います。
思考 と 知識/経験の違いが、なぜ思考力を伸ばすことに繋がるのか
まず、先ほどお伝えした通り、【思考】と【知識/経験】の違いを理解し、それらを混同しないことが大切です。
この違いを正しく理解されている人は意外と少なく、所謂IQ・EQの高い(思考力の高いであろう)人であっても、また前述の通り言葉の定義としての違いを理解されている人であっても、この点は混同されている方が多いです。そのため、現時点で何となくしか理解できていなくても全然気にしないでください。
ここで、これらの言葉の定義の違いを再掲します。但し、思考力を考えるうえで、前述の通り、思考の定義から "思うこと" を除き "考えること" に絞ります
・"思考" 知識や経験に基づき考えること
・"知識" 見聞きしたり学んだりした結果として認識/理解していること
・"経験" 何かを見聞きしたり行動したりした過程(体験)を通じて、身に着けた知識や技能のこと
つまり、"思考" とは、(何度も同じことを言いますが) 考えることです。知識や経験に基づき考えることです。考えること自体、考えることそのものを指します。
そして、"知識" が豊富な人が、思考力も高いというわけではありません。結果論として、思考力が高く・好奇心旺盛な人が多くの情報に触れ・考えることで知識が豊富になることは多いですが、逆では論理が成り立ちません。
たくさんの知識を蓄えていることで、難問に対しても考える取っ掛かりが得られやすく、思考し易くなるということはありますが、それは思考力に繋がる間接的な要素であり思考力そのものではありません。
また同様に、"経験" の豊富な人が、思考力も高いわけでもありません。たとえ漫然と考えなく多くのことを経験しても、自分の思考力には結びつかず学びは乏しいでしょう。逆に経験は浅くとも、必死に考え抜き、試行錯誤を繰り返すことで多くの学びを得ることで思考力は高まります。
ちなみに、"知恵" とは、❝ 物事の理を悟り、適切に処理する能力(広辞苑より)❞ と定義されますが、思考力とは相関があります。
一般に「おばあちゃんの知恵袋」などの言葉から、経験が豊富にあるといつか身に付くものが知恵だと思っている人もいますが、それは違います。
数多くの経験の過程で、考え・工夫して試行錯誤を繰り返すことで(PDCAサイクルを回すのと同じですね)、最適な方法論を導き出している状態=物事の理を悟り、適切に処理する能力を備えている状態こそが「おばあちゃんの知恵袋」の言葉が示す "知恵" そのものですので、思考力と相関があるといえます。
あらためて思考力とは何か?
"思考" の定義は「知識や経験に基づき考えること」であり、思考とは考えること自体、考えることそのものを指します。知識でも経験でもありません。
もし、この記事の読者の方のなかで、思考力を伸ばそうと考えているにもかかわらず、ひたすらに知識を増やそうとしているのであればそれは筋悪なアプローチと言わざるを得ません。
もう少し具体的に説明すると、思考力を伸ばそうとしている方が、
ひたすらに思考力に関する「ロジカルシンキング」「論点思考」「仮説思考」などのビジネス書を読み漁ってたとしても、
そこで得た知識を活かして実際に自分の頭で考えないことには、思考力が伸びることには決して直結しないということです。
(もちろん、既に述べた通り、知識や経験を増やすことで間接的に思考の引き出しが増え、結果として思考力が伸びるということはあります)
本連載の第1回でも書きましたが、私の前職BCGでの経験や、現職でのインターン生の育成経験をふまえても、書籍等からインプットする論理だけでは思考力を高めることは困難で、実際の取り組みやその振り返りを通じて自分の頭で考えて行動し、その試行錯誤を繰り返さない限りは思考力が大きく伸びることはありましぇん。
つまり、「Input → Thinking → Outputの一連のサイクル」を繰り返して「試行錯誤」していくことでこそ、思考力を大きく伸ばしていくことができます。
ここまで読み進めていただいた方は、「思考力とは何か?」について理解を深めていただけたことでしょう。
そして、思考力を伸ばすために、思考力が示す "思考" についての理解と、知識/経験との意味合い違いを的確に理解することが如何に重要かをご理解いただけたことと思います。
(・・・もしそうでない場合はコメント等でご指摘ください)
なお、思考力を伸ばすためより具体的なアプローチは今後展開していきます。
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