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スタジアム周辺人口×集客数データでレノファ山口の未来を考える データアナリストへの道#25

デジタル技術を活用して地域課題の解決を図る山口県のデジタルコミュニティ「デジテック for YAMAGUCHI」の中の人、ハラマルです。

インスパイアされてみた

文系のデジタル素人の私(ハラマル)がデータ分析に臨むこのシリーズ、実は、今回、別の分析作業をしていたところなんですが、レノファ山口の小山会長のnote記事にインスパイアされて、こちらの分析をしてみました。
(やりかけの作業は、後日、作成したいと思います。)

その記事とは、レノファ山口の新体制発表会見で用いられていたデータに関するものです。
この中で、地域の人口について最も分かりやすい指標は「半径15km圏人口」ではないか、という御意見がありました。

確かにこれは非常に同感するもので、私もいろんな分析をしてみましたが、都道府県の人口は当然のこと、市町村人口となっても、人が集まっているエリアとそうでないエリアがあるので、一概に分析できないんですよね。
特に市町村合併で規模が大きくなっている市などは、粒度を高めて詳細に分析するためのデータってなかなかないなぁと思っていました。

そして、驚いたのは、この「半径15km圏人口」でみた場合、我がレノファ山口(山口市)は、Jリーグ全クラブ(J1~J3)合わせた60チーム中58位!という衝撃的なデータを提示していただいています。
実は、58位は同率なので、うちより下は1チームのみという現状です。
え~、そんな不利な状況でお客さんを集めているの…?

小山会長の記事を見て初めて知ったのですが、「15km圏人口マップ」というサイトがあり、各都市の15km圏人口の数字を記載してくれています。
すごい便利だな~と思ったのですが、よく見ると、日本の人口は2015年(平成27年)の国勢調査のデータが使われているようです。

実は、私、これとは全然別件で30年後の将来推計人口を可視化したばかりです。
この15km圏人口のデータと、将来人口推計を組み合わせられないか、考えてみました。
それが今回のお題です。

結論から言うと・・・10km圏なら将来推計人口と組み合わせられましたので、その様子をご報告します。(中途半端…)

「e-Stat」使ってみた

さて、「将来推計人口」というデータはありますが、これは市町村単位のものです。どうやったら、特定のポイント(市町村役場?)から半径〇km以内の将来推計人口というものが導けるでしょうか?

まず、半径〇km以内の人口ということを算出できるものがないか探してみました。
ネットで探して見つかったのが、「統計地理情報システム」という無料のツールです。

「e-Stat」というのは国の統計にかかるポータルサイトですが、その中に地理情報を扱えるシステムがありました。「地図で見る統計(jSTAT MAP)」というものがあるので、こちらを利用してみましょう。

まず、維新公園(みらスタ)を中心に設定し、半径10kmの円をエリアに設定します。
本当はここで半径15kmにしたかったのですが、上限値が315㎢だったため、泣く泣く半径10kmにしました。

次に、このエリアを対象に、統計データを当てはめるのですが、この中に「将来推計人口」というデータがありました。
やった、これなら特定の範囲内の将来推計人口が分かりますよ。
ただし、昨年末に発表された最新値が反映されていないようなので、今回は、2015年に公表されたデータ(システム上の最新値)を使ってみます。

データの選択画面 ※2015年に作成された将来推計の2050年分を選択

その結果が下図になります。みらスタから半径10kmの将来推計人口です。
同時に2つ作れましたので、2020年と比較してみました。

jSTAT MAPにより作成した将来推計人口(みらスタから半径10km圏内)左:2050年、右:2020年

こちらを見ると、2020年時点では15万8千人いた人口が、2050年時点では14万5千人に減ってしまっていることが分かります。
減少率で言うと8.2%になります。
これは、レノファの観客増員に向けて大きな痛手です。

さらに、こちらのJSTAT MAPでは、地図上の指定したポイントから、徒歩や車で到達できるエリアを設定することができました!

みらスタを起点として、車で15分圏内・30分圏内・60分圏内の図

これなら、もう少し現実的な分析ができるかなと思ってやってみました。
みらスタを起点として、一番オレンジ色が濃い範囲が車で15分圏内、次に濃いのが30分圏内、一番薄いオレンジが60分圏内となります。

この機能を使って、例えば自家用車で60分圏内人口を算出しようと試みたのですが、こちらも面積315㎢が上限値となって算出できませんでした。
上の三段階で言うと、車で15分圏内のみが315㎢未満で算出することができ、エリア内人口の2050年推計は13万6千人でした。

この数値は半径10km圏内の93.7%でしたので、まあ、先ほどとほぼ同じくらいと考えていいでしょう。
「半径10km圏内」というのが非常に分かりづらかったと思いますが、「車で15分ちょっとの範囲」と考えることで、イメージしやすくなったと思います!

う~ん、本当は、こちらの自家用車60分圏内くらいのデータが得られるなら、スタジアムに通うことができる範囲内の人口ということで分析してみたかったのですが、非常に残念です。
注意事項を読んでみると、どうやらサーバーの負荷軽減のため上限値の設定があるそうです。確かに、上限値ないと、いろんなシミュレーションしちゃいそうですね。

ですが、例えば徒歩や、近場から車でお客さんが来られるお店だとかの場合は、マーケティングなどに活用できると思いますので、使ってみてはどうでしょうか?

ちなみに、車の場合は30分が上限値なので、60分で算出する際には、速度を倍(時速40km→80km)に変更してみました。

「RESAS」使ってみた

次に、ネット検索で見つけたのは、こちらも国が提供していて無料で使える「地域経済分析システム(RESAS)」です。

こちらで、「人口マップ」「将来人口メッシュ」という機能を使ってみます。
こちらでは、施設を選んで、その施設周辺の人口の将来推計が分かるようになっていました。
みらスタは「公園」の区分になかったため、体育館で維新百年記念公園を選択しています。
そして、残念なことに、こちらも将来推計人口のデータが2015年のもの(昨年発表されたものではなかった)と、半径10kmが上限でした。

RESASの将来人口メッシュの画面

そうすると、下の図のようなカンジで出力されました。こちらの方が、現在から将来分までまとめて数字が分かるので、先ほどのjSTAT MAPより簡単な操作で出力できますね。

「指定範囲の人口変化を見る」をクリックした画面

数字を見てみると、2020年は15万8千人、2050年は14万5千人となっており、さきほどのjSTAT MAPで算出したものと80人程度しか違いませんでした。同じデータを使っているから当然かもしれませんが、ほぼ同じ精度ということで安心しました。

ということで、2つの無料ツールであれば、半径〇kmの将来推計人口を算出することができることが分かりました。
今回は、操作が簡単なRESASを使って、スタジアムからの半径10km圏内の将来推計人口をデータとして拾ってみましょう!

というと簡単そうに聞こえますが、60クラブもあるし、各クラブのスタジアムが登録されているわけではないので、公式HPからスタジアムの位置を確認しつつ、それとほぼ同じ位置にある施設を探してという作業を繰り返すことになりました。そこそこの作業量でした…。

「Tableau」使ってみた

それでは、私が収集したデータを、小山会長が公開してくれていたスプレッドシートに付け加え、そのデータを、データ分析ツール「Tableau」に投入!
(小山会長、データを使わせていただきました。ありがとうございます。)

注意事項

まず、注意事項を整理しておきましょう。

将来推計人口は、2015年のもので、昨年公表された最新値のものではありません。

また、スタジアムの位置から半径10km人口は、私が一つ一つ手作業で確認しながら見ていったので、もしかしたら間違いがあるかもしれません。
スタジアムによっては、近隣に施設の登録がなかったところもあるので、その場合は直近の箇所を選択するなどしました。その辺り、精度を保証するものではありません。

そして、ここの段落は最後に追記しているんですが、クラブによっては新スタジアムに移るところもありますが、2023年時点のスタジアムの位置で算出しています。
最後に気づいたんですが、やり直す気力がなく…。失敗したなぁ。

平均入場者数と半径15km人口

それでは分析の内容です。
まず、平均入場者数と半径15km人口のデータで各クラブの状況をプロットしてみました。(半径15km人口は小山会長が使われていた数字です。)

縦軸を半径15km人口にしています。小山会長の記事にあったとおり、レノファ山口は下から2番目の位置になります。
横軸に2023年の平均入場者数を設定しました。

平均入場者数と半径15km人口

さて、これを見てみると、J1チームはかなりバラツキがあるものの、J2・J3は密集している傾向があるようですね。
レノファ山口は、平均入場者数も、J2の中で下位で、J3の上位陣には抜かされている状態です(泣)

これをもう少し分かりやすくするために、「傾向線」というものを入れてみました。算出方法などはよく分かっていませんが、1つの操作でこんなことができるので、Tableauは素晴らしいツールだと思います。

平均入場者数と半径15km人口(傾向線を追加)

そうすると見えてきたのは、J1の傾向線(赤)は水平に近いので、半径15km人口に関わらず平均入場者数は安定している傾向が強いことが分かります。
J2(緑)とJ3(青)は、半径15km人口と平均入場者数が比例関係に近いことが分かります。
つまり、J1クラブの方はある程度固定のサポーターの方が支えている一方、J2とJ3は、サポーターの支えがあっても周辺人口が少ないと入場者数が少ないということですね。

サポーターとしては逆かなと考えたいですね。周辺人口に関わらず、サポーターが支えているようなクラブがJ1に行っているということなんでしょう!

J2とJ3だけにした場合はこんなカンジです。

平均入場者数と半径15km人口(傾向線を追加)※J2とJ3のみ

この操作は、フィルターをかけるだけ(1ステップ)でできます。気軽にグラフを変形できるのがTableauの良いところですね。

都市部にあるクラブが飛びぬけている傾向がありますが、他は密集していますね。
レノファ山口は、J2とJ3の傾向線よりも下に位置しています。これは、「この平均入場者数に必要となる半径15km人口よりも下回っている」ということなので、つまり、周辺人口が少ない割には入場者数が多いと言えます。
これはポジティブな要素ですね。

平均入場者数と半径10km人口

次に、半径10km人口を見てみましょう。
この5kmの違いは何?ですが、次に分析しようとしている将来推計人口が半径10kmしか取れなかったから、という理由だけです。特に意味はありません。

先ほどの半径15kmはおそらく市役所を中心としたものだったと思いますが、半径10kmの方はスタジアムを中心としています。
敢えて違いを言うとすると、市役所から半径15kmというと、ホームタウンの中心部人口という意味合いが強く、スタジアムから半径10kmというと、スタジアム周辺の人口という意味合いが強い、でしょうか。
そんな違いがデータとして出てくるものなのか、ちょっと見てみましょう。

平均入場者数とスタジアムから半径10km人口(傾向線を追加)

平均入場者数と半径10km人口(2020年)をグラフにしてみましたが、見た目は半径15kmとほぼ同じのようですね。
J2とJ3だけにして、先ほどのグラフと並べてみましょう。

平均入場者数と半径15km/10km人口 上段が15km,下段が10km

クラブによっては、中心点が市役所かスタジアムか、10kmか15kmかで影響が出ているところがあります。スタジアムの位置などが影響しているんでしょう。
ただ、全体としては大きな違いはなさそうです。つまり、次は将来推計人口を分析しますが、半径10km圏内で見たとしても、全体の傾向は半径15kmと同様と考えてよさそうですね。

半径10km圏内人口の推移

それでは、苦労して集めた半径10km圏内の将来推計人口のデータを可視化してみましょう。
まずは全クラブを並べてみたのがこちら。

スタジアムから半径10km圏内の将来推計人口の推移

う~ん、レノファ(赤)は圧倒的に不利な状況にありますね…。
ちょっと数が多すぎて分かりづらいので見方を変えてみましょう。2050年時点の半径10km圏内将来推計人口と、2020年時点からの増減率を並べてみました。

半径10km圏内人口の2050年時点(上段)と2020年からの増減率(下段)

上段(青)が2050年の将来推計人口、下段(オレンジ)が2020年からの増減率です。
これを見ると、川崎フロンターレのスタジアムから半径10km人口の多さが目につきますし、なんと、川崎フロンターレとアビスパ福岡、FC琉球の3クラブのみ、2050年人口が2020年より増加になっています。うらやましすぎますね…。

半径10km圏内人口の2050年時点

ただ、レノファ山口も、上図のとおり、人口が少ない地域の中でも、スタジアム周辺人口の減少率が低い(1.0に近い方でとどまっている)ので、これは一つ、良い材料ですね。

入場者数の最大/最少と平均

次に、クラブ別の入場者数の、最大/最少と平均値を並べてみました。
(久々に作成したダンベルチャート!Tableau独特のスタイルで面白いんですが、作るの結構難しいんですよw)

クラブ別入場者数 最大(青)/最少(緑)、平均(赤)

まず目につくのが、最大値(青)が飛びぬけているクラブがいくつかあります。
このうち横浜Fマリノス以外は、国立競技場で試合開催したときの観客数のようです(小山会長のデータ)。
さすが国立、すごいなぁ。

レノファ山口の最多入場者数は7,022人で、ホーム最終戦の町田戦でした。(権田選手、乾選手が来た清水エスパルス戦ではなかったですね。天気予報が悪かったのが影響しているかもですね。)
J2残留が決まった後の試合でしたが、「山口県ホームタウンデー」として、山口県民の方の割引があったりしたので、いつもより多く観客がいらっしゃったのかもしれません。

ここで、こうしたスポット的にでも集客が多かった試合について、「集客の爆発力」とでも言うのでしょうか、最大値が平均値に比べてどれくらい大きいかで表してみることにしましょう。
こういう試合はきっと、サポーター以外の普段はあまり試合を観に行かないけれど行ってみようかという方も多くいると思います。
そうなると、周辺人口や都道府県人口と関係しているのではないかと考えて、グラフにしてみました。

最大人数/平均人数と人口 左:スタジアムから半径10km、右:都道府県人口
赤丸:レノファ山口

レノファ山口(赤)は、スタジアムから半径10km人口で見ても都道府県人口でみても、傾向線よりも下(最多/平均の数値が低い)に位置しています。
つまり、同じ人口規模のクラブに比べて、集客の爆発力が低いということでしょうか。
いや、ここはサポーター目線で、集客のポテンシャルが残っていると考えたいです。
同じような規模でいうと、長野パルセイロやカマタマーレ讃岐、ガイナーレ鳥取などは爆発力が高い(表の上側に位置している)ので、こうしたクラブの集客の仕掛けやイベントが参考になるかもしれません。

ダンベルチャートに戻っていただき、最少値(緑)は、最大値に比べてそんな開きがない傾向ですね。
(といっても、最少値が我が軍の最大値を超えているクラブがいくつもあるんだがw)

レノファ山口の最少入場者数は2,223人で、7月の平日(水曜日)に開催されたナイターの山形戦でした。
エスナイデル監督が就任した後、3試合連続無失点で迎えた試合でした。(結果、4試合連続無失点かつ勝利!という試合でした!みんな、もっとスタジアムに行けばよかったですね!)
試合に対する事前の期待値は高かったと考えられますが、入場者数が少なかったのは、何といっても平日の夜(19~21時)だったからでしょう。

他のクラブにも似たような状況だったのではないかと推測します。
日程の都合上、平日ナイターは仕方ないものと思っていますが、こうしたときは、なかなか遠方から来てくださいとも言いづらいので、是非、スタジアムに近くにお住まいの方が積極的に観戦に訪れていただきたいですね。
ということで、スタジアムから半径10km人口と最少入場者数を見てみます。

最少入場者数と半径10km人口 (縦軸:最少入場者、横軸:半径10km人口(2020年))

レノファ山口(赤)は、傾向線に近い位置に位置していますね。
つまり、スタジアム周辺人口が少ない割には、平日夜の試合に観戦に来ていただいていると評価できると思います。
良い傾向ですが、ただ、同じ規模でも、何倍も上がいるので、そこを目指したいところです。

まとめ

レノファ山口の小山会長にインスパイアされてデータ分析してみましたが、いかがでしたでしょうか。

将来推計人口については、ツールを見つけて苦労してデータを取ってみたのですが、どこのスタジアムも同じような傾向だったので、実はあまり分析に活用できませんでした。(笑)こんなこともありますね。

分析の結果、レノファ山口は、ホームとしているみらスタ周辺の人口が、他のクラブに比べて著しく少なく、これが集客の少なさにつながっていると考えられます。

ただ、J1のクラブは、周辺人口に関わらず一定の集客があるので、それを言い訳にしていてはいけないかと思います。
実際、同じような規模のクラブでも、集客の爆発力が高いところもありますので、そうしたところを参考に、新たな仕掛けが必要だと思います。

また、弱みを克服するためには、人口規模に比べてまだまだ集客のポテンシャルが残っているので、試合への興味なのか、スタジアムまでの移動手段なのか、集客につながっていない要因を見つけて対策していくことも必要です。
個人的には、こちらの記事にも書きましたが、観戦に行ったことはあるが冷めてしまっている方が多いのではないかと思っていますので、再び観戦に行く気になってもらえるような草の根活動を継続していこうと思っています。

良い材料としては、みらスタ周辺人口は、他のスタジアムに比べて30年後の人口減少率が低いこと、周辺人口の少なさの割に平日の夜に集客できていることがありました。
例えば、平日夜の試合時には、スタジアム周辺の方を積極的に観戦に御案内して、末永くクラブを愛してもらうような仕掛けがあってもいいかもしれません。

う~ん、さらっと書きましたが、30年後って、私はもう高齢者ですね。
その時に、健康な状態で観戦できるのか、レノファ山口がどのカテゴリーにいるのか、スタジアムが今のままなのか、という不確定要素は多々ありますが、今後30年間も観戦し続ける前提になっていたことに気が付きました
なかなか面白い自己分析でした。

今回の分析は以上になりますが、私もデータ分析してみたいなという方がいらっしゃいましたら、「デジテック for YAMAGUCHI」の研修などを受けていただければと思います。
今年度開催したTableau研修については、今後、別のスタッフが報告させていただこうと思っています。

また、今回はオープンになっているデータだけを扱ったのでこれくらいしか分かりませんでしたが、各企業や団体がお持ちのデータを使えば、もっと企業活動などが可視化でき、今まで気づけなかったヒントが見つかるかもしれません
会社のデータを可視化してみたいな、と思われた方がいらっしゃったら、やまぐちDX推進拠点「Y-BASE」までお問合せいただければ、無料でデータサイエンティストがサポートさせていただきます。

最後に、励みになりますので、これまでの記事を読んで面白かったら、是非、「スキ」を押していただければと思います。

長文になりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。