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「あの日」のみらスタを人流データで分析してみた データアナリストへの道#10

デジテック for YAMAGUCHI 運営事務局 兼 Y-BASEスタッフのハラマルです。相変わらずのレノファ山口ネタですが、今回はちょっと趣が違いますよ。Tableauではない新しいツールを使ってみました!

先日、ヤフーさんにセミナーの講師をしていただいたところですが、その際に紹介のあったビッグデータの分析ツール「DS.INSIGHT」を使ってみたいと思います!
講師を務めた永岡さんに操作方法を詳しく教えてもらいながら、ビッグデータ分析にチャレンジしてみました。

この「DS.INSIGHT」は、ヤフー社が保有するビッグデータを分析できるもので、初心者でも扱えるような工夫がされていることが大きな特徴です。主に位置情報などを分析できる「Place」と、人々の検索情報などを分析できる「People」という機能があります。また、ターゲットとする層の興味関心が分かり、ペルソナ設定に活用できる「Persona」という追加オプション機能もあるそうで、マーケティングにも活用できそうです。

さて、ここからが本題です。
何が肝心かというと、そんな便利なツールで「何を分析するか」ですね。
私の興味関心といえば、山口県が誇るプロサッカーチーム「レノファ山口」です。

Place機能

人流データの仕組みは、スマートフォンにインストールされたヤフー系列アプリのうち、位置情報の取得に同意をされた方のGPSデータを匿名化・統計化しているそうです。特定のキャリアに依存していないということが特徴ですね。
また、実数の割合から、全体人口へ拡大推計するアルゴリズムが組み込まれているそうで、このツール上に表示される数字が、そのまま、おおよその全人口数となるそうです。(この推計処理の段階で、個人が特定される危険性のある特殊値を省いたり、端数を丸めたりしているそうです)

エリアの指定

さて、ここから、少し分析に入ってみたいと思います。
「DS.INSIGHT」にはいろいろな機能が備わっていますが、今回は、指定した範囲の人流分析をしてみます。範囲は、任意の範囲とすることができます。ヒートマップのマス目を指定することもできますし、指定した地点から半径○mという指定もできます。
今回は、みらスタの中心から半径150mを指定してみますね。

エリアの指定

これくらいだと、北側のグランドや、西側のテニスコートも含まれないので、サッカー観戦に来られた方の抽出ができそうです。指定した範囲を「みらスタ」と登録しまして、この範囲内の人流データを見てみます。

人流の分析

こちらが、今年の6月(23日まで)の「みらスタ」の人流です。

令和4年6月 範囲「みらスタ」の人流

この狭い範囲で、人の多さが大きく変化している日がありますね。6月22日(水曜日)と12日(日曜日)に山がありますね。
これ、何でしょう?・・・私は答えを知っています。

さらに、時間別の詳細も見ることができます。それがこちら!

「みらスタ」の日付・時間帯別人口ヒートマップ

これを見ると、12日より、22日の方が、遅い時間に人が多い状況になっていますね。
うんうん、そうです。答えを知っている私は納得のデータです。

ちなみに、22日の20時の状況をヒートマップで見てみると、この範囲だけ人が多いのが分かりますね。スタジアムの興奮が伝わってきそうな絵ですね(笑)

22日20時のヒートマップ

属性の分析

次に、この指定した範囲内にいる方たちが、どこの市から来ているかを分析してみます。(そんなこともできるんですね!)
12日の場合は、こんなカンジです。

12日の範囲「みらスタ」にいた方の属性

トップが宇部市からの来訪です。続いて、防府市、周南市、山陽小野田市となりますが、その次が、岡山県岡山市北区!その後も、倉敷市や岡山市が続いています!

そうです、この日は、レノファ山口 v.s. ファジアーノ岡山の試合が行われました。確かに、この日の岡山のゴール裏の熱量はすごかったです。こんなに岡山からサポーターが駆け付けていたんですね!
残念ながら、この日の試合はレノファが負けてしまいましたが、岡山サポの応援がその一因になっていたような気がします。

続いて、22日の来訪者の状況はこちら。

22日の範囲「みらスタ」にいた方の属性

12位に神戸市があります。
そうです、この日は、天皇杯で、レノファ山口 V.S. ヴィッセル神戸の試合が行われた、(個人的には)歴史的な日です。
おや、広島や福岡からも来訪がありますね。

確かに、私が聞いた範囲でも、「福岡に住んでいる子供がこの試合を観に山口に帰ってくる」という話をお聞きしましたので、神戸周辺からのヴィッセルサポーターの来訪と、福岡・広島から山口県に帰ってくる方が多かったのでしょう。
神戸周辺からの来訪は想定内ですが、福岡・広島からの帰省?は想定外ですね。新しい発見です。

また、この22日の「来訪者」の属性を見ることができます。「来訪者」とは、その時間の指定範囲内に滞在していた方のうち、「住民」を除いた、他の市町村から来られた方です。

22日の「来訪者」の属性

すると、男性の方が多く、年代では10代が一番多いことが分かりました。20代・30代より、40代が多いですね。平日ナイターだったので、子育て世代の参加は難しく、少し時間が作れる世代の訪問が多かったのでしょうか?
こうしたデータは、今後の平日ナイターの試合における、チケットや売店の売り上げに活かせるかもしれませんね。

行動の分析

さらに、この両日の時間ごとの人流を比較することもできます!

12日と22日の比較

12日の試合は13時キックオフでしたので、そこに目がけて人が増えていることが分かります。また、日曜日ということもあって時間の都合がつきやすかったのか、その前から緩やかに増えています。

一方、22日の方は、キックオフが19時からだったので、仕事が終わってから?の17時以降に急激に人が増えたのが分かりますね。
同じような人の多さでも、滞在時間の長さが違うので、もしかしたらお店の売り上げなどにも影響が出ているかもしれませんね。
また、交通手段も急激に混雑していた可能性もありそうです。
思い返すと、神戸戦では、みらスタのお店に急に列ができたような気がします。この動きが分かっていたなら、急激に人が増える前に、売店に行っておけば良かったです。試合前にビールを1杯買い損ねたのを思い出しました。

興味・関心の分析

そして、ヴィッセル神戸との試合となったら、多くの山口県民が興味を持っていたのは、何でしょうか!?

答は明らかのような気がしますが、ここで「興味関心キーワード」を見てみます!これは、他の地域に比べてこの地域で多く検索された地域特有のキーワードです。特徴度が高い順に表示されているそうです。

6月の範囲「みらスタ」で検索された特徴あるキーワード

6月のキーワードの最初にあるのは「イニエスタ 天皇杯」でした!
やっぱりね~、みんな興味あったんですね~。残念ながら来訪は実現しましたが、ワクワクして待っていたことがうかがえます。
予想通りですが、その予想が合っていたことが確認できるというのは、非常に素晴らしいですね。こういったツールがないと、普通は答え合わせができませんからね。それに、こんな簡単な問題ばかりではありませんからね。

今回は、人流データを扱ってみましたが、とても扱いやすい設計になっていたと思います。その分、何をどう分析するかが問われるのかもしれません。
こうしたデータが活かされていくように、いや、活かせるような分析ができるようになるといいですね。

それにしても、試合があると、岡山や神戸という敵地からだけでなく、広島・福岡からも人を呼び寄せることができるっていうのは、素晴らしい力ですね!
また、もっと県内からもたくさんのサポーターに駆け付けて欲しいですね。頑張れ、レノファ!

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