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広告が「情報を欲している人に、欲している情報を的確に伝える」「情報を提供することで消費者の選択肢を増やす」という勘違い。

あくまで、広告会社、マーケティング会社のリアルな役割としての勘違いという話です。

特に就活中の大学生の方にどうして広告会社やマーケティング会社を志望したのですか?と聞くと、

・情報を欲しい人に対して、その人が欲している情報、適切な情報をを的確に伝える仕事してみたいと考えています。そのために広告を使ってやっていきたいです。

・広告を使って様々な情報を消費者に提供することで、消費者の選択肢を増やしていきたいです。消費者がより多くの選択肢を持つことでより豊かな社会を作っていきたいです。

といった話をしていただくことがあります。

一見、広告を、世の中の情報を整理し消費者のより良い消費生活のためになる事業として捉えて、そのような社会的な意義を持った仕事をしていきたいと考えているようです。

ところが、これらはビジネスとしての広告の役割としてはちょっとずれているんですね。

まず「情報を欲している人に、欲している情報を的確に伝える」というポイントですが、じつはこれ、メディアの役割なんです。
特にGoogleのミッションを調べてみるとよくわかると思うのですが、「Googleの使命は世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすることです」と書かれています。
https://about.google/

テレビや新聞雑誌などのメディアも同様ですね。メディアも、不特定多数の消費者(読者)の知る権利、知りたい情報を取材し提供していくことやエンターテイメントの提供が役割だといえます。

いかがですか?まさに、「情報を欲している人に、欲している情報を的確に伝える」という役割そのものだと思います。なので、「情報を欲している人に、欲している情報を的確に伝える」事をしたい方は広告会社ではなく、Googleへの就職を目指しすべきなのではないか?ということが言えるかと思います。

一方、「情報を提供することで消費者の選択肢を増やす」ですが、消費者は選択肢を増やしたいと思っているでしょうか?

例えばこんな記事です。
・モノを「選べない」消費者が増えてしまった
https://leveragelabo.com/blog/mindchange

・選ばない消費-選択肢が増えすぎた消費社会の新たな需要
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=77562?site=nli

・「選ばず買いたい」消費者心理の最新事情
https://business.nikkei.com/atcl/interview/15/238739/032200285/

これらの調査や考察などから考えると、消費者がこれ以上選択肢を求めているかといえばどうやらそうでもない、ということが感じられるのではないでしょうか?

では本題ですが、じゃぁ広告やマーケティングの役割ってなんでしょうか?

実は、広告の定義やこうあるべきと言う考え方はあるのですが、よりビジネス的に、ベタな商売的に言えば、
このブランドが他のブランドよりも優れていることを購入対象者に伝えて、消費者に自社のブランドを選択してもらう
ということになります(他の方から怒られそうな言い方ですね笑)。

つまり、「情報を欲している人に情報を」に、ではなく「買ってほしい人に、情報をつたえ」ですし、「選択肢を増やす」のではなく、「(どっちかといえば選択肢を減らして)自社を選択してもらう」という事になるんですね。

いわば、「○○といえばXXだよねぇ(これは第一想起”Top of Mind Awareness”といいます)」という状況を作るという様々な施策の一環として広告があるのです。

ちょっと今回は、ベタな商売っぽく書いてみましたが、きれい事だけじゃなくてよりビジネスに直結した立場にあるんだということも理解してほしいなと思います。


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