桂浜

企業への志望動機が「〇〇の仕事を通じて地方創生に関わりたい」な人

「え?」と思われる方もいると思いますが、たくさんの面接をしていると「私は〇〇県の出身なのですが、地元の魅力を広告を使って世界中に広めたいと考えています」と、広告業界への志望動機を話してくれる人が毎年出てきます。

私「なるほど。地方創生ですね。どのような仕組みとか仕掛けを考えていますか?あるいは、どのような広告主を想定していますか?」
候補者「広告主ですか?あまり考えていないのですが、地元の魅力を日本中や世界中に広めて地元の活性化に携わりたいです」
候補者「特にインターネットは、国境を越えていけるものなので、少ない予算でも世界に対して影響力を発揮することができます」

続けて以下の質問をしたこともあります。例えば、

「その仕組みはどのようなものを考えているのか」
「広告費の費用負担はだれがすることになるのか」
「あなたの地元を世界にアピールするだけの魅力は、どのようにつくりあげていくのか」
「魅力を世界に伝えた結果として、地元がどうなれば良いと考えているのか。例えば、ふるさと納税の金額が増えるのが良いのか、特産物が売れるのが良いのか、それとも観光客が増えるのが良いのか」
「それをする為に、あなた自身が今できることはなにか」
「その仕事を通じて、あなた自身が成し遂げたいことはどういうことなのか」
「その仕事は、会社にとってどのようなメリットがあるのか」

といった感じです。つまり「広告を通じた地方創生」という目標を志望の動機として答えてくれたので、「それではその具体的な方法を、もっと詳しく考えだけでも聞かせてください」との趣旨で深掘りをした質問です。

ただ、ほとんどの方が「それはまだ考えきれていません」「まだわかりません」という回答しかしてくれたことがないのが実情です。つまり「広告を通じた地方創生」という動機のようななんかいい感じのキーワードが出てきた時点で安心して思考が止まってしまう人がとても多いのです。

ただ、ごくまれに以下の様なことまで、答えてくれる方がいらっしゃいます。

「自分の実家が古本屋を経営しているのですが、おそらく父の代で廃業することになると思います。それを地方創生のヒントとしながら、古本、風土に関する書物などを文化として捉え直すことから始めてみたいと考えています。田舎であれば、保管のための土地はいくらでもあるし、ネットを使えばどこからでも集められるし、どこにでも配送ができると思っています。そこに情報交換とか伝達という意味での広告の仕組みを加えると、なんか面白いものができそうな気がするんですが。。。」

もちろん、アイディアとしては稚拙だったり、実現に向けてはまだまだハードルが高いことはあります。でも、この場はアイディアコンテストやビジネスコンテストの場ではなく、採用面接の場です。ビジネスモデルとしてその成立は難しいことかもしれないけど、その打開のために何かアイディアを絞ろうとしている人と、単に目標となるようなキーワードが見つかった時点で止まってしまった人。さて、どちらの方が、面接官は「一緒に働く仲間としてジョインして欲しい」と思うでしょうか。

では、どうすれば良いのか。

「地方創生に関わりたい」「地元に何か貢献するようなことをしてみたい」という動機は、いま志望している企業の事業にぴったりマッチしているわけではないかもしれません。でも、将来のキャリアを考えた時に「これから仕事をしていく」動機や目標として持っている人はたくさんいることでしょう。であれば、それを諦める必要は全くないですし、そのやりたい事をこの会社で(あるいは業界で)で実現するためにはどうすれば良いのか?といった具体的な事を何通りも考えてみる事を是非、お勧めします。

例えば、「広告を使った地方創生」を自分の将来のキーワードにしたいと強く思うのであれば、「地方創生_広告」で検索してみると、たくさん事例が出てきます。これを片っ端から読んでみてください。論文で言うなら、先行研究のリサーチと言うところです。どのようなプロジェクトが今までに生まれて、あるプロジェクトは成功し、あるプロジェクトは頓挫し失敗し、そんな事例がたくさん出てきますので、その中で自分だったらどのプロジェクトに加わりたいか、自分ならそのプロジェクトに何を付け加えられるのかなどなど。。。そんな事を考えてみると、より自分のやりたいことや、その企業への志望動機が固まってくると思います。

そんなアイディアがないと、面接官には「あぁ、またか...」とか「あぁ、はい。是非ともやってあげてください。地元には喜ばれると思います」と思われて終わっちゃいます。

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