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天野祐吉「広告論講義」岩波書店(2002)

もう20年近く前の本なんだね。ちょうどネット広告というか、世の中のデジタル化がちょうど加速し始めた頃の出版。

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今回、ひょんなことから改めて読んでみたが、今でも通じるような良い言葉がたくさん並んでいたのでそれいくつか抜き出しておく。

「広告が売るのは、基本的にイメージです。特殊な例を除いて、商品やサービスを広告が直に売ることはしない。(p.11)」

「いつの時代にも、広告にとって大切になのは”話題”になること、”評判”になることです。「世の中の話題になんかならなくても、その商品を買いたいと思っている人にだけ広告は届けば良いのだ」という人もがいますが、それは大間違いです。今それを買いたいと思っている人にだけ届くのでは、広告は全くペイしない。広告が話題になり、評判になることで、つまりメディアによって増幅されることで、初めて広告は、それを買いたいと思う人を掘り起こしたり、あるいは新品は企業のファンを作り出すという本来の働きをすることができるのです。話題にもならない広告は広告ではないというのが広告の鉄則だと知ってください。(p.74)」

「もともと広告は、ジャーナリズムの一分野です。(p.140)」

「批評とは人の作品をダシにして己を語ることではないか、と言ったのは高名な文芸批評家であるが、広告もまた、商品をダシにして自己を語ることではないか。(p.153)」

「広告は企業にとっては販売促進の手段ですが、消費者にとっては商品やサービスについてのニュースです。広告の作り手たちは生産者から預かった商品やサービスを消費者向けのニュースに仕立てる仕事をしているわけで、その”ニュース化”がうまくいけばいくほど、その商品やサービスを世の中の話題にしたり、評判にしたりすることができる。その分、販売の役に立つことにもなります。(p196)」

デジタルがマーケティングとセールスの境目をなくしていくような今だからこそ、あらためて”広告”の意味や役割、”広告”がするべきことを考える味わい深い言葉じゃないだろうか。

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