ガブリエル・アタルは、いかにしてフランス史上最年少の首相になったか。

2024年1月11日 08:55

France24は2024年01月09日に、急速な出世を経て、34歳のガブリエル・アタル(Gabriel Attal)が2024年01月09日火曜日にフランスの新首相に就任した。

急速な出世を経て、34歳のガブリエル・アタル氏が火曜日にフランスの新首相に就任した。特権に染まった背景を持つ初の同性愛者であることを公にした政府首脳は、年金改革を巡る数カ月にわたる抗議活動や議会過半数の欠如、支持率の低さなどで弱体化したエマニュエル・マクロン大統領政府(President Emmanuel Macron’s government)に新たなエネルギーをもたらすと期待されている。

クロン大統領は、特に2024年06月の重要なEU議会選挙を前に、幻滅を感じている有権者の若年層へのアピールも含めて、政府の活性化をアタルに頼っている。

ガブリエル・アタルの最も差し迫った課題は、不人気なマクロン政権が、反移民、反イスラムの綱領で勢力を拡大し続けるマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)率いる極右国民集会を確実に上回る立場にあることを確実にすることだろう。

ヨーロッパの他の地域と同様、フランスの極右勢力は世界的な生活費危機、移民問題、そして政治的階級や大統領に対する社会的距離を保てないとみなされるくすぶっている憤りの恩恵を受けてきた。
ビジネス紙「レゼコー(Les Echos)」のエラーベ月例世論調査(monthly Elabe poll)によると、マクロン大統領に対する国民の信頼率は1月にさらにポイント低下して27%となった。

アタルが大統領に就任したのと同じ日、マクロン大統領の有力な同盟者は、EU選挙での極右政党の躍進が欧州統合の構造を弱める恐れがあるため、ヨーロッパは「統治不能」になる危険性があると警告した。

Xへの投稿でアタルの選択を確認したマクロンは、退任する若い教育大臣に直接語りかけ、大統領が就任した2017年の「卓越性と大胆さ」の精神を取り戻すために、アタルの初めて就任は、「エネルギーと献身」を期待できるとわかっていると述べた。

https://twitter.com/EmmanuelMacron/status/1744685647938416781

Cher @GabrielAttal, je sais pouvoir compter sur votre énergie et votre engagement pour mettre en œuvre le projet de réarmement et de régénération que j’ai annoncé. Dans la fidélité à l’esprit de 2017 : dépassement et audace. Au service de la Nation et des Français.
— Emmanuel Macron (@EmmanuelMacron) January 9, 2024

Madame la Première ministre, chère @Elisabeth_Borne, votre travail au service de notre Nation a été chaque jour exemplaire. Vous avez mis en œuvre notre projet avec le courage, l’engagement et la détermination des femmes d’État. De tout cœur, merci. pic.twitter.com/G26ifKfKzj
— Emmanuel Macron (@EmmanuelMacron) January 8, 2024

フランスの政治制度では、首相は政府の長であり、政策の実施と閣僚の管理を担当する。

しかし、一部の政府重鎮は、閣僚仲間の間で「若いガブリエル」として知られる男の目覚ましい台頭を快く思っていない。

彼の好戦的な姿勢は、前任者のエリザベート・ボルヌ(Élisabeth Borne62)の姿勢とは相反するもので、彼女の厳格な態度は同僚の間で尊敬されていたが、矢継ぎ早に強引な政治を嫌がった。ボルヌはフランスで2人目の女性首相としての在任期間を2年足らずで終え、月曜日に辞任した。

アタルは、このような若さで政界に参入したことで、39歳でフランス史上最年少大統領となったマクロンとの比較を避けられないことになった。歴代最年少首相は、1984年にフランソワ・ミッテラン(François Mitterand)によって、37歳のとき政府首相に指名されたローラン・ファビウス(Laurent Fabius)である。

フランスのメディアは、マクロンが2期目の任期満了となる2027年にアタルが後任となる可能性があると示唆している。アタルは比較的経験が浅いにもかかわらず、政府内で最も野心的な閣僚の一人であることがすでに証明されている。

恵まれた背景を持つ人気者

アタルは保健省でのインターンシップからフランス共和国で二番目に高い官職に昇進するまでに、わずか10年余りしかかからなかった。

アタルは 1989年にクラマール(Clamart)の南郊外で生まれ、3人の妹とともにパリで育った。彼の父親イヴ・アタル(Yves Attal)はチュニジア系ユダヤ人の血を引く映画プロデューサーとして成功し、2015年に亡くなった。
母親のマリー・ド・クーリス(Marie de Couriss)も映画業界で働き、オデッサ出身の正統派キリスト教徒の家庭(Orthodox Christian family from Odesa)の出身である。

アタルはパリ中心部にある私立学校エコール・アルザシエンヌ(École alsacienne)に通い、後に名門サイエンス・ポ大学(Sciences Po university)を卒業した。 17歳で社会党(Socialist Party)に入党し、2007年の大統領選挙では当時の大統領候補セゴレーヌ・ロワイヤル(Ségolène Royal)を支持した。

フランソワ・オランド(François Hollande)大統領の下で元保健大臣(former health minister)であり、彼の同級生の母親でもあるマリソル・トゥーレーヌ(Marisol Touraine)は、2012年にアタルに仕事を提供し、それがきっかけで、パリ南西郊外の自治体ヴァンブ(Vanves)の地方議員として23歳で保健省のフルタイムの職に就いた。

アタルは、マクロンの初期の「アン・マルシェ!(En Marche!)」に参加するために社会党を最初に離党した一人だった。2016年に運動に参加し、1年後の 2017年に国民議会(National Assembly/フランス下院/France’s lower house of parliament) に選出された。

彼は29歳で教育副大臣(deputy minister of education)に就任し、戦後の第5共和制下で史上最年少の政府メンバーとなった。
フランスで16万6176人の命を奪った新型コロナウイルス感染症のパンデミック中、アタルはジャン・カステックス元首相(former PM Jean Castex)から政府報道官に任命され、すぐに有名になった。

2022年から2023年にかけて予算局の次官(junior minister in the budget office)を務めていたアタルは、大きな物議を醸したマクロンの年金改革法案を擁護(Macron’s hugely controversial pension reform bill)した。その後、2023年7月に、最も注目度が高く政治的に敏感な閣僚の1つである教育大臣(education minister)に任命された。

フランスの公立学校では近年、生徒と教師間の暴力事件が起き、国内で激しい議論が巻き起こっており、緊張が高まっている。
先月、フランス北部の学校で12歳の女子生徒が包丁で教師を脅迫した。
10月にはイスラム過激派の学生が元教師を刺殺する事件が起きた。
そして、国民に衝撃を与え、あふれ出る悲しみを引き起こした事件として、2020年10月にパリ郊外で47歳の歴史・地理教授サミュエル・パティ(Samuel Paty)が別の過激化した学生に襲われ、斬首された。

自身も在学中にいじめを経験したアタルは、近年生徒の自殺が相次ぎ大きく報道されたことを受け、いじめ問題への取り組みを最優先に取り組むと約束した。彼は、自身も元教師としてこの問題に強い関心を持っているブリジット・マクロン大統領夫人(First Lady Brigitte Macron)とこの問題で協力している。

彼の最も物議を醸した行動は、着任して2か月も経たないうちに、一部のイスラム教徒の女性や少女が着る長いローブであるアバヤの着用を生徒に禁止(banned pupils from wearing abayas)したことだった。フランスの世俗的価値観に対する挑戦とみなされ、この禁止令は国中に怒りの波を引き起こした。

批評家らは、このゆったりとした衣服は宗教を「これ見よがしに」表示するものではなく(フランスの学校では2004年から禁止されている)、禁止されるべきではないと主張した。

アタル自身が左派出身であるにもかかわらず、この動きにより多くの右派有権者の間で人気が高まった。

アタルはフランス初の同性愛者であることを公表した首相であり、マクロン率いる与党ルネサンス党の幹事長である38歳の国会議員ステファン・セジュルネ(Stéphane Séjourné)と民事提携関係にある。アタルは、マクロン氏の初任期中に教育省の次官を務めていた2018年に、昔の同級生が本を出版した際にアウティングされた。

アタルは政府内で最も人気のある人物で、先週発表されたオドクサ調査(Odoxa survey)では世論調査回答者の3分の1以上が同氏の首相就任の可能性を支持している。

大統領に近い関係者はAFPに対し、「若者、世論、そして欧州の選挙運動を主導する実際の、あるいは潜在的な能力が選択に違いをもたらした」と語った。

マクロン大統領が大統領任期の最後の3年間に向けてチームを微調整しようとしているため、今週はより広範な政府改造が行われることが予想されている。

日本の岸田首相は、周囲にアタルのような人材を育ててこなかった。

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2024年01月08日---フランスのマクロン大統領、政府改造で新首相の指名へ
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2024年01月04日---米国政府のトップ官僚で過半数の承認を得た人はいない。
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https://www.france24.com/en/tag/élisabeth-borne/
https://www.france24.com/en/tag/laurent-fabius/

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